企業の災害対策に貢献! 防災ゆうストレージが開く「備え」の新しい選択肢

INDEX
「防災ゆうストレージ」は、2022年に日本郵便株式会社と寺田倉庫株式会社が共同で立ち上げた防災サービスです。緊急時に必要なものや大切なものをあらかじめお預かりし、地震などの災害の際、日本郵便の配送網を通じて全国各地にお届けします。
これまで個人のお客さま向けにサービスを提供してきた「防災ゆうストレージ」が、法人向けサービスも開始。企業の災害対策という課題に防災ゆうストレージがどのような可能性を持つのか、日本郵便の森山さんと宇治さんにお話を聞きました。

日本郵便株式会社 事業共創部
森山 由梨(もりやま ゆり)さん
2015年、日本郵便株式会社に入社。郵便局、東京支社での勤務を経て、2025年より現職。 新規事業の企画・運営に携わる。
※取材時の所属を記載しています。

日本郵便株式会社 事業共創部
宇治 大和(うじ やまと)さん
2021年、日本郵便株式会社に入社。郵便局、近畿支社での勤務を経て、2025年より現職。 新規事業の企画・運営に携わる。
※取材時の所属を記載しています。
法人ニーズに対応。「社員がいる場所」に備蓄品を届けるサービス
――「防災ゆうストレージ」とはどのようなサービスなのか、改めて教えてください。
森山:防災ゆうストレージは、もしものときに備えて必要なもの、大切なものを安全な場所に預けていただき、災害が発生した際には指定の場所までお届けするサービス(※)です。 モノだけではなく、価値をお預かりするという想いのもと、数々の保管事業を展開する寺田倉庫さんと、全国津々浦々の物流ネットワークに強みを持つ当社が共同で企画。2022年2月にまずは個人のお客さま向けのサービスとしてスタートしました。
※長期化して不便や不安が募る避難生活の質を向上させるもの、または自宅の被災などでなくしたくない大切なものをお預かりするサービスです。災害発生後、すぐの配送を確約するものではありません。災害の状況によって配達の遅延や困難な場合もありますことをご承知おきください。
誕生のきっかけは、過去に震災を経験した社員の声です。「避難生活が長期化するなかで、必要なものを事前に備えておく大切さを痛感した」という経験談と、「自宅が被災し、思い出の品まで失ってしまった」という切実な声が、立ち上げの原点となっています。
――個人のお客さま向けだけでなく、今回、法人へも提案を広げたきっかけは何でしょうか。
宇治:昨今、企業におけるBCP(事業継続計画※)が求められており、たとえば物流業界では商品発送拠点の分散を実施しているなかで、自社の防災対策としては災害時の備蓄品を会社の倉庫にまとめて保管している企業が多いことがわかってきました。ただ災害発生時、社員がテレワークで自宅にいたり、災害発生後には被災地に向かって業務を行うケースもあったりと、有事の際に必ずしも会社にいるとは限らず、備蓄品が行き渡らないケースもあり得ます。そこで、 社員のいる場所に合わせて備蓄品を指定の場所に届けられる仕組みがあれば、法人ニーズに応えられると考え、提案を開始しました。
※災害やテロなどの緊急事態が発生した際に、企業が損害を最小限に抑えながら、重要な事業を継続・早期復旧するために立てる計画。
――法人向けとして提案するにあたり、工夫した点はありますか。
森山:すでに開始している個人向けサービスをベースとして、サービス内容を法人向けにカスタマイズし、法人向けのチラシや提案資料を用意する必要がありました。とはいえ、単純に記載を変更するだけではニーズを満たす資料にならないと考えまして、防災イベント等で知り合った企業さまや防災ゆうストレージにご興味をお持ちくださった企業さまとのご相談を少しずつ重ねながら、防災備蓄品の発送にかかる労力やBCPなど実際に導入いただく際に課題となるであろう内容を反映した資料やチラシの作成を進めていきました。また専用ボックスの一括納品や請求書払いの対応など、法人ならではのご要望があることがわかり、体制を整えました。その結果、各企業からご関心をお寄せいただく機会が増えてきていると感じています。
――実際にサービスを導入されている企業はありますか。
宇治:今般、初めて導入いただいたのが、エレベーター・エスカレーター事業を手がけるジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社(以下、JES)さまでした。最初は郵便局のポスターやチラシをご覧になった、担当者の石川さまからご連絡をいただいたのです。お話を伺うと、「災害が発生した場合、社員は全国各地に設置しているエレベーターの復旧作業のため現地へ向かう」とのことで、まさに当サービスとの親和性を強く感じ、ご提案を進めさせていただきました。
さらにお話を伺うなかで、「いざというとき、少しでも現地で働く社員の力になれるよう準備をしたい」という石川さまの熱い想いにも触れ、防災ゆうストレージの存在意義を改めて実感しました。
災害現場を支える社員を「防災ゆうストレージ」で支援
防災ゆうストレージの法人サービスの初回導入先となったJESは、エレベーター・エスカレーターのメンテナンス専門会社。国内拠点158(2026年6月1日時点)、海外関係会社6社(2026年3月末時点)、連結2,286名(2026年3月末時点)の従業員を抱えています。防災ゆうストレージは企業の災害対策にどう貢献し得るのか。実際にサービスの導入を推進した同社技術本部の石川さんにお話を伺いました。

ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社 技術本部 開発部 開発サポート課 課長代理
石川 正造(いしかわ しょうぞう)さん
――防災ゆうストレージを導入する前は、災害への備えとしてどのような準備をされていましたか。また、課題はありましたか。
石川さん:本社、各拠点の倉庫に防災備蓄品を保管しています。ですが、災害時にはエレベーターの復旧対応で多くの従業員が最寄りの現場へ向かうため、倉庫へ取りに行ったり現地へ発送したりするのに多くの時間をさけません。そのため、各拠点に備蓄品はあってもいざというときに活かしきれないおそれがあり、そういった点が課題でした。
――そのような課題があるなかで、防災ゆうストレージのどんな点に着目されたのでしょうか。
石川さん:被災地などこちらが指定した場所にゆうパックで防災備蓄品を送れる点に魅力を感じました。これなら、従業員が活動する場所の近くまで必要なものを届けることができますから。備えとして安心ですよね。私は本社社員として、有事の際に現地で働いていただいている従業員の力になりたいと考えていたので、利用できて良かったと思っています。
――災害への備えという点で、今後企業として大切にしていきたいこと、そして、防災ゆうストレージに期待することを教えてください。
石川さん:JESには、いざというときに災害が甚大な各地へ向かう従業員がおります。そしてその先には普段ご利用いただいているお客さまがいます。エレベーター・エスカレーターのメンテナンスを担う企業として、BCPをさらに強化することが、従業員とお客さまの安心につながると考えています。防災ゆうストレージには、緊急時に備蓄品を必要な場所へ届けることで、各拠点で働く従業員を支える存在であり続けてほしいと期待しています。
企業の災害対策の新たな選択肢となり、防災に貢献したい
最後に、防災ゆうストレージの今後の展望について、日本郵便の森山さん、宇治さんに聞きます。
――全国に拠点や社員を持つ企業に対して、本サービスはどのように貢献できると考えていますか。
宇治:JESさんのように「災害発生拠点へ出向く社員の後方支援」という形で、防災ゆうストレージが企業の災害対策に付加価値を提供できると考えています。また最近では、社内や各拠点の倉庫に保管しきれない備蓄品を預けていただき、必要な拠点へ発送できる「シェア型備蓄」としての活用もご提案しています。「備蓄品を購入して社内に保管する」しか選択肢がなかった企業の災害対策に、防災ゆうストレージを新たな一手として加えていただければ幸いです。
――災害への備えという観点で、今後企業に求められる対策についてどのように考えていますか。
森山:災害の多い日本では、個人・法人を問わず防災対策の重要性が高まっています。JESさまのように「社員の活動を支える防災」も大切ですし、「企業から個人のお客さまに向けて備えをご案内する」アプローチも同様に重要だと考えています。例えば、ペット用品は災害時に入手しにくいものの一つです。ペット用品を扱う企業が、ペットのための防災備蓄の必要性をお客さま一人ひとりに伝えることも、いざというときに頼られる企業としての取り組みになるのではないでしょうか。
――防災ゆうストレージを通じて実現したいことや、担当者としての想いを教えてください。
森山:2022年2月の個人向けサービス開始から携わるなかで、防災ゆうストレージは多くの災害と復興を経験し、全国各地に拠点のある当社ならではの事業だと実感しています。災害は起きないに越したことはありませんが、災害大国である日本では備えは欠かせません。防災ゆうストレージを新たな災害対策の選択肢として取り入れていただき、個人・法人問わず、防災への貢献の一旦を担っていきたいと考えています。
■「防災ゆうストレージ」のご案内はこちら
https://www.post.japanpost.jp/life/you_storage/introduction/index.html
■「防災ゆうストレージ」に関する記事はこちら
https://www.jpcast.japanpost.jp/2022/02/222.html
https://www.jpcast.japanpost.jp/2023/02/319.html









