もしものときに地域のお客さまの「生活」と「こころ」を支える「防災ゆうストレージ」サービスが誕生

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「いつもの暮らし」を支え、「思い出」を守る

日本郵便では、防災向け宅配型トランクルーム(※)「防災ゆうストレージ」を2022年2月1日からスタートしました。宅配型トランクルームサービスのパイオニアである寺田倉庫株式会社(以下、寺田倉庫(株))と共同企画したもので、避難生活が長期にわたる場合に、自分にとって必要な日用品や災害でなくしたくない大切なものを事前にお預かりし、必要なときに必要な場所へ日本郵便の配送網を使ってゆうパックでお届けする、これまでにない防災サービスです。
「防災ゆうストレージ」には、「じぶん用支援物資」と「大切なものエスケープ」の2つの使い方があります。

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※宅配型トランクルーム:段ボール単位で(本サービスでは専用ボックスを利用)荷物を預けられる保管サービスで、出し入れは宅配便で行う。収納が十分にない都市部の家が、主に衣替え衣料や日常的に使用しないものなどを預けることが多い

※配送可能地域、お届け日数などはゆうパック約款によります。災害の状況により、配達が遅れる場合や、配達が困難となる場合もあります。

利用者ご自身が預けるものを準備し、専用ボックスに格納していただくため、自分やご家族にカスタマイズした品々が必要な場所に届きます。料金は、毎月の保管料が宅配型トランクルームサービスの中でも最安値と同等の275円(専用ボックス小)、480円(専用ボックス大)となっており、このほか初期費用や取り出し・再入庫料金が掛かります。

もしものときに、地域のお客さまの不便や不安感を軽減したい、そんな思いを込めサービスを開発

「防災ゆうストレージ」は、全国の郵便局社員の声がヒントとなり生まれました。企画・開発した4人の担当者に開発秘話やこだわりを聞きました。

日本郵便 本社 デジタルビジネス戦略部 新規ビジネス担当
(左から)主任 吉永 翠(よしなが みどり)さん 係長 村松 志緒(むらまつ しお)さん 課長 網師本 祐季(あじもと ゆき)さん 主任 森山 由梨(もりやま ゆり)さん

自分に必要なものを預けておき、必要なときに取り寄せる

ーー 「防災ゆうストレージ」は、市販の防災グッズなどとは違う視点で生まれたサービスですね。

網師本:はい、そうです。避難生活が長期化した場合に、不便さや不安感を軽減し、避難生活の質を向上させ、避難中の気持ちを和らげるものを事前にご自身で準備し備えておく、というものです。2~3日だったら我慢できても1週間近くやそれ以上になると、自分にとってはこれが無いととても無理だと感じることがあるはずです。

網師本:何かしらパッケージになっている物資が届くのではなく、あくまでご自身にとって必要なものを専用ボックスに詰めていただければ、ご希望の場所にお届けします。例えば度数のあった眼鏡やコンタクトレンズ、自分サイズの下着や洋服、愛着のあるあったらほっとするものなど、お客さまそれぞれが必要だと感じるものを詰め込むことができます。

村松:被災させたくない大切な思い出の品を預けることもできます。実際に多くのものを失った被災者の方々のお話を聞くと、アルバムがなくなったことがとてもつらかったとお話しされます。アルバムや卒業証書、家族からの手紙など、自分にとってはかけがえのない品物はたくさんあるはずです。
そうした大切なものや長期化した避難生活で必要なものをしっかり保管できるよう専用ボックスの仕様にもこだわりました。

ーー 専用ボックスは大きさも2種類ありますが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?

網師本:私たちとしては、段ボールではなく、繰り返し使えて資源の無駄にならないものを採用したいという希望が大前提としてありました。宅配型トランクルームを手がける寺田倉庫(株)と共同企画したことで、ボックスの耐久性や密閉性などについて的確なアドバイスをいただき、実際のボックスもご提案いただきました。
採用した専用ボックスは、避難先で机や椅子がわりにも使うことができ、保管するだけでなく使い勝手のよい容器にしました。

ーー 料金についても使い勝手がよさそうな設定です。

村松:月額の保管料金は他の宅配型トランクルームサービスと比較しても最安値と同等です。同サービスのパイオニアである寺田倉庫(株)と協業することで、この価格を実現しました。そのほかに初期費用や荷物を出し入れし送る費用なども掛かりますが、毎月払う料金を抑えられるのはご利用者にメリットを感じていただける点ではないかと思っています。

森山:私も同じ思いです。私は、これまでも新規事業の開発に携わってきましたが、「防災ゆうストレージ」は、お客さまのもしもに備えられる、今までにない新しいサービスです。有事の際もお客さまの生活に寄り添うサービスとして、自信を持っておすすめできます。

吉永:世の中には、防災商品もたくさんありますし、宅配型トランクルームサービスもすでにありますが、「防災ゆうストレージ」は、すごく救われたと思える瞬間があるサービスだと思っています。私自身「こんな視点があったんだ!」と強く感じましたし、ぜひ全国の方々に利用していただきたいです。

<留意点>本サービスは、長期化し不便や不安が募る避難生活の質を向上させる、または災害でなくしたくない大切なものをお預かりするサービスです。災害発生後、すぐの配送を確約するものではありません。災害の状況によって配達の遅延や困難な場合もありますことをご承知おきください。

地域と深い交流がある郵便局だから、このサービスを提供したい

ーー 今までにないこのサービスは、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

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村松:日本郵便の全国の配送網を活かした新しいサービスが何かできないか、というところからスタートし、どなたかの大切な何かを預かり、必要なときにお届けする一連の流れがご提供できればと考えました。そこで、従来の倉庫業の概念をさらに深化させ「モノだけではなく、価値をお預かりする」という理念に基づき、数々の保管事業を展開する寺田倉庫(株)にお声がけし、協業することになりました。

網師本:都市部での利用が進んでいる宅配型トランクルームサービスですが、一方で地方部ではあまりなじみがありません。
そこで、地方の郵便局社員も参加するオンライン会議を寺田倉庫(株)とともに実施した結果、大きな家や納屋などがある地方の家庭では、都市部の住宅にみられるような収納スペースに不満を抱えているケースは少ないことがわかりました。また、アイディアを出し合ううちに、地震や台風に代表される自然災害が日本各地で発生している状況から「防災・災害」にかかわるサービスであれば需要がありそうだと確信し、本サービスが生まれました。

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村松:日本郵便は、災害時こそインフラとして社会を支えることが重要な役割だと多くの社員が認識していると感じます。そして郵便局には窓口があり、日々の暮らしの相談をできる社員がいます。だから、このサービスを提供したい、提供できると考えました。

網師本:郵便局で働く社員は、日ごろから地域やそこに住む方々のさまざまな相談に応じながら深い交流を築いています。そして、防災士の資格を持っている郵便局長も数多くいます。ですから、各家庭で専用ボックスに何を入れたら一番よいのか、アイディアがたくさん出てくると思います。お客さまがサービスに興味を持たれたら、いっしょに考えて提案できます。

村松:こうしたお客さまとの接点は、当社にしかありません。「防災ゆうストレージ」は日本全国に配送網があるからだけでなく、郵便局があるからこそ、その特性が活かせるサービスです。そこに住む方々に困ってほしくないという思いで、いろいろなご提案が生まれるといいな、と思っています。

網師本:郵便局は、有事の際でも、「いつもに近い暮らし」や「安心」をお届けできる存在だと思っています。

みなさんに使ってほしいから、こんなところもこだわりました

ーー お客さまとの接点である郵便局の社員に、本サービスをより深く知ってもらおうと郵便局向けの業務指示文書とともに動画も作成したそうですね。

網師本:多くの社員に、文章で読むよりわかりやすくサービスを伝えたいと思いました。私たち4人も出演し、概要だけでなく、サービスへの思いや誕生の背景なども盛り込んでいます。私自身がお客さまにサービスをご説明する場合、企画者の想いやサービス誕生の背景を知っている方が話しやすいと思ったからです。お客さまからお問い合わせがあったときの対応についても紹介しています。また、サービスを知ったフロントラインの皆さんから頂いた質問やアイディアについては、ポータルサイトの専用ページの中で随時お応えしていますので、お客さまへ説明するときの参考にしてもらいたいです。

吉永:撮影が初めだったので、冷や汗が5リットルぐらい出るほど緊張しました(笑)。

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村松:吉永さん、森山さんの2人は、育休明けでこのチームに合流してもらいましたが、本サービスを紹介するイラストの構成も行い、経験を活かしたアイディアを出してくれました。描かれている家族の構成やその動作、専用ボックスに入れる品々、イラスト全体の印象など、日々の生活の視点が活かされています。

網師本:イラストは、大手企業のデザインを数多く手がける松本セイジ(まつもと せいじ)さんにお願いしました。私たちの要望を松本さんの世界観で表現してくださった、こだわりのビジュアルです。

松本セイジ(イラストレーター)

松本セイジさんのコメント

「私自身、大阪で阪神・淡路大震災、東京で東日本大震災を経験しました。その恐怖は、今でも鮮明に覚えています。災害が起きないことを願っていますが、もしものときに少しでも気持ちが楽になればという想いで、イラストを描かせていただきました」

ーー 「防災ゆうストレージ」は、日本の防災学の第一人者であり、東日本大震災の際、岩手県釜石市の小中学生が無事に避難した「釜石の奇跡」の礎を築いた片田 敏孝(かただ としたか)氏(東京大学大学院 情報学環 特任教授)が監修しています。

村松:片田先生には、これまでにないユニークなサービスだとおっしゃってもらいました。先ほどからみんなが話しているように、本サービスに手ごたえは持っていましたが、実際に防災を研究し、災害の実情をご存じの片田先生にご評価いただけたので、もしもの時に役立つサービスになると自信に繋がりました。

網師本:片田先生には、心のよりどころになるサービスだと感じていただけたようで、私たちにとっては片田先生からいただいた言葉が、よりどころとなってサービスのリリースまで頑張れました。

吉永:自然災害は、日本全国どこで起きても不思議ではなく他人ごとではないので、みなさんのもしものときに、きっと手助けになるサービスです。

森山:これまでの災害でつらい思いをされた多くの方が全国にいらっしゃいますので、「これは必要だ」と私自身も実感できたこのサービスが広がってくれればと心から思っています。

「防災ゆうストレージ」の詳細はWebサイトでもご確認いただけます。本サービスについてご不明点やお悩みごとがありましたらWebサイトの「お問い合わせ」ページからお問い合わせください。

「防災ゆうストレージ」の詳細はこちら

防災ゆうストレージ

※撮影時のみマスクを外しています

            

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