地域とともに歩んだ10年。KITTE博多・KITTE名古屋の担当者が語る歴史と未来への想い

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日本郵便株式会社が、大都市のターミナル駅前で展開する商業施設ブランド「KITTE」。全国に4施設あり、そのうちKITTE博多とKITTE名古屋が、2026年で開業から10周年を迎えます。それぞれの施設がこの10年で地域社会にどのような影響を与えてきたのか。施設の運営を担うJPビルマネジメント株式会社の齋藤さんと大村さんにお話を伺いました。

JPビルマネジメント株式会社 博多営業所 課長
齋藤 朋子(さいとう ともこ)さん
派遣社員を経て、2016年に正社員として入社。KITTE博多の立ち上げメンバーとして開業に携わる。現在は施設の運営管理および販売促進業務を担当。おすすめの博多グルメは「ゴマサバ」。

JPビルマネジメント株式会社 名古屋営業所 課長
大村 麻由子(おおむら まゆこ)さん
2014年入社。KITTE名古屋には立ち上げメンバーとして参画。現在は、オフィステナントの担当に加え、各種イベントの企画・運営も行っている。おすすめの名古屋グルメは「たません」。
開業10周年を迎えて。ゼロから形にした「街の居場所」
――それぞれの施設のコンセプトや特徴について改めて教えてください。
齋藤:KITTE博多は、「だれでも、気軽に、毎日でも」をコンセプトに、2016年4月に開業しました。忙しい街のなかにもくつろげる空間や、毎日楽しさやおいしさに会える気軽さ、何でもある便利さを兼ね備えた、誰でも毎日使える「究極の定番」をつくることを目指しています。博多駅に直結しており、地下1階と地上9階・10階には博多エリア最大級の飲食店フロアを構えています。名古屋との大きな違いは、1階から7階にファッションビル事業を展開する博多マルイさまが九州初進出として入居されていること、そして最上階の11階に結婚式場があることです。オフィスフロアがないため、施設全体としては、大型ショッピングセンターという位置付けになるかと思います。

大村:KITTE名古屋は、2016年6月に「なごやらしさと、あたらしさを。」をコンセプトに開業しました。新しい時代の「名古屋らしさ」を発信して、皆さまにワクワクを届けるとともに、ゆったりとした心地好い時間が流れ、街や暮らしに貢献する商業施設を目指しています。名古屋駅に直結する複合ビル「JPタワー名古屋」内、地下1階から地上3階に位置する、34店舗の飲食店を中心とした商業施設となっています。5階から39階はオフィスフロアとなっているので、オフィスワーカーの利用も多いです。
特徴としては、開放感のある吹き抜けスペース「アトリウム」を使用したイベントの展開や、施設の随所にアート作品を配置して落ち着いた空間を演出している点が挙げられます。また、1階にバスターミナルを併設しているため、駅直結という利便性に加え、交通の結節点としての役割も担っています。

――お二人とも「立ち上げメンバー」として施設の開館を経験されています。当時のお気持ちはいかがでしたか。
齋藤:開店前にお客さまが列に並んでいる姿を見て、やっとここまでたどり着いたなと安堵したことを思い出します。私はKITTE博多に施工準備から携わっていましたが、当時はまだ商業ビル運営のノウハウが社内になかったので、多くのパートナーの方々の協力を得ながら手探りで準備を進めました。開業してからも大変なことはありましたが、今思えばこの日の景色がその後の原動力になりました。


大村:私はサポートメンバーとしてKITTE博多の開業日に現地に行ったんですが、あのときの光景は忘れられません。オープン前から建物をぐるっと囲むようにお客さまの列が延びていて、いよいよ始まる空気を肌で感じました。
――その2カ月後に、KITTE名古屋の開業を迎えるわけですね。
大村:はい。KITTE名古屋の開業日は、あいにくの雨でした。開店前にお客さまの列ができ、列が外まで延びてお客さまが濡れてしまうのではないかとハラハラしたのを覚えています。テープカットなども行った開業式典の様子をメディアに取り上げていただいたこともあり、連日多くのお客さまにご来館いただけたのは非常に感慨深かったです。


激動の10年。困難を乗り越え、変わりゆく街とともに
――開業から10年。順風満帆なときばかりではなかったのではないでしょうか。
齋藤:開業した年の11月に、博多駅近くで大規模な道路陥没事故が発生しました。停電により営業ができず、全館閉鎖せざるを得ない状況になったんです。朝からテナントへの連絡対応に追われ、あまりの慌ただしさに自分が何をしていたのか細かく思い出せないほどです。幸いにも復旧が非常に早かったため、大きな影響が出ずに済んだことは救いでした。
――それから10年、周辺環境にはどのような変化がありましたか。
齋藤:福岡市博多区は、かつてオフィス街の印象が強かったのですが、JR博多シティやKITTE博多の誕生によって、ショッピング街としてのイメージが定着しました。特に近年はインバウンドのお客さまが非常に増えましたね。海外から訪れた方が飲食店の前で列をつくっている光景は、今や日常となっています。
大村:名古屋駅周辺も、ここ10年で劇的に変わりました。KITTE名古屋が入っているJPタワー名古屋の完成とほぼ同時期に、大名古屋ビルヂングやJRゲートタワーなど、周辺で大きなビルの開業が相次ぎました。それまで市内で商業の中心地といえば栄エリアをイメージされる方が多かったかと思いますが、名古屋駅前に商業施設が増えたことで、お買い物目的のお客さまの選択肢が広がり、街に新たな活気が生まれていることを感じています。

地域との共生、深まるつながり
――地域とのかかわりについて、これまでに取り組んできたことを教えてください。
齋藤:KITTE博多として、地域のお祭りに参加させていただきました。博多区は「博多どんたく港まつり」や「博多祇園山笠」といったお祭りが盛んで、地域のつながりが非常に強く、地域全体で盛り上げる熱気があります。実は、前館長が「台上がり(だいあがり)」という、山笠の台に乗って指揮を執る、名誉ある役割を務めさせていただいたこともあるんです。

大村:地域のお祭りにそういった形で参加できるのは、KITTE博多がそれだけ地域に浸透している証拠ですよね。
齋藤:本当にありがたいことです。博多駅周辺も企業や商業施設同士の横のつながりが強いので、運営に携わるなかでその絆の深さを日々実感しています。

大村:KITTE名古屋では、地域との連携企画や、産学連携施策を積極的に取り組んできました。その一つが、「THE BATON PROJECT」です。これはイラストレーターの方々にシーズンごとのポスターを制作いただく取り組みですが、2022年より地域の美術系大学の学生さんにも参加いただいています。学生さんの作品を館内に展示することで、日常的に利用されるオフィスワーカーだけでなく、若年層の方々にも施設に親しみを持っていただくきっかけになればと考えています。学校を卒業して10年、20年後も、昔ここに作品が展示されていたんだと思い出話をしながら帰ってくるような場所になったらいいですね。

10周年を通過点に、その先の未来へ
――KITTE博多・名古屋ともに10周年に向けた取り組みを企画されているそうですが、その内容を教えてください。
齋藤:KITTE博多では4月13日(月)から5月10日(日)まで、開業10周年を記念したイベントを開催します。コンセプトは、この地で10年営業を続けられたことへの感謝です。メイン企画は、「10周年記念飲食フェア」です。原価高騰が続く大変な時期ではありますが、多くの店舗にご協力いただき、「1,000円メニュー」や「10周年特別メニュー」をご提供できることになりました。そのほかにもワクワクしていただけるような多くの企画を準備してお待ちしています。

大村:KITTE名古屋でもお客さまに感謝を伝えるため、地元企業とコラボしたノベルティの配布やイベントをご用意したいと考えています。また、名古屋中央郵便局との連携施策や店舗にご協力いただく10周年記念メニューを企画しておりますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思っています。
――最後に、10周年を通過点として、20年後、30年後の展望を教えてください。
齋藤:私たちも開業当初から、「日常的に利用しやすい施設」を目指してきました。その想いはこれからも変わりません。もちろん、時代に合わせたアップデートは不可欠ですが、同時に、変わらない価値も大切にしたいと考えています。「博多に来たならKITTEに行って何か探そう」とか、「何か食べて帰ろう」と思い出していただける存在であり続けることが私たちの願いです。これからも街の皆さまとともに歩んでまいります。
大村:KITTE名古屋単体で何かすごいインパクトを与えるというのではなく、地域の皆さまと連携しながら、名古屋駅エリアの魅力向上に寄与していきたいです。KITTE名古屋が、オフィスワーカーや飲食目的の方だけでなく、名古屋駅に来られた方にふらっと訪れていただけるような、そこにあるのが当たり前だと思っていただける施設になれるとうれしいです。
