郵便局が地域の安全拠点に! 空きスペースを「警備会社待機所」に利活用

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2024年5月、郵便局の空きスペースを「警備会社待機所」として活用する施策がスタート。郵便局を含む周辺地域でサービスを提供する警備会社の出動拠点として、2026年5月時点で全国の17局に設置されています。この取り組みが誕生した背景や双方のメリット、成果と今後の展望などについて、ALSOK株式会社の増田さんをはじめ、企画立案者である日本郵便株式会社 東京支社の井上さん、本社 不動産部の奥さん、全国初の導入局で局長を務められていた中国支社の菅原さんにお話を伺いました。

ALSOK株式会社 公共営業部 営業課 課長代理
増田 親一郎(ますだ しんいちろう)さん
2004年入社。警備員として3年半勤務後、埼玉中央支社の営業部に異動。2022年より本社の公共営業部にて、日本郵便株式会社の担当を務める。

日本郵便株式会社 東京支社 総務部 コンプライアンス・安全推進担当 係長
井上 禎智(いのうえ よしとも)さん
2012年入社。2017年に本社管財室の所属となり、2025年より現職に。1,300局におよぶ東京都管内の郵便局の支援、コンプライアンス関係部門にて管理業務を担当。

日本郵便株式会社 不動産部 ファシリティマネジメント室 主任
奥 舞香(おく まいか)さん
2022年入社。豊中南郵便局での研修を経て、2023年に近畿支社にて物販商品の販促を担当。2024年8月より現職。現在は、郵便局の空きスペースに警備会社待機所を設置する施策を担当。

日本郵便株式会社 中国支社 経営管理本部 人事部 担当部長
菅原 哲也(すがはら てつや)さん
1994年、当時の郵政省に入省。広島中央郵便局の総務課を経て、2010年に中国支社に配属。2019年、広島JPビルディングの建設に伴い移転となった、広島東郵便局の総務部長に着任。2024年に児島郵便局の局長として1年間勤務後、現職に。
警備会社と郵便局、双方が直面している課題解決に向けて
――施策のアイディアが生まれた背景について教えてください。
井上:全国津々浦々に郵便局はありますが、業務の効率化や見直しなどで、局内に使用していない場所、いわゆるデッドスペースが生まれていることが課題となっていました。2023年当時、私は不動産部ファシリティマネジメント室でセキュリティ部門を担当していたことから、警備会社の待機所に赴く機会がありました。意外と言ったら失礼ですが、そこで見た待機所は私が抱いていたイメージと違って、雑居ビルの一室のような割と簡素なスペースだったのです。「これだったら郵便局内の空きスペースを待機所として利用してもらうことも可能なのではないか」と思ったことが発案のきっかけでした。
これまで、空きスペースを利活用できなかった背景には、まずセキュリティの問題がありました。金融機関である郵便局内のスペースを社外の方に貸し出すのは難しいのではないかと。しかし、郵便局の警備を担当しているALSOKさんならば、局内に常駐してもらうことも可能ではないか。そう考えて、増田さんに相談したところから始まりました。

増田:待機所というのは、ご契約者さまのオフィスや自宅に設置した防犯センサーが異常を感知した際に、現場へ赴く警備員たちの出動拠点になります。ALSOKでは、全国に約2,300カ所の待機所を構えており、現場へ迅速に駆けつけられる場所に配置することを重視しています。井上さんからお話を伺ったのはちょうど、ご契約先の増加に伴い待機所の配置などの見直しを図っていたタイミングでした。条件に見合う場所、必要なスペースや賃料、駐車場の問題などがあり、なかなかよい物件が見つからない状況でしたが、ご提案いただいた郵便局を利活用する施策は、そんな弊社の課題解決にもつながると考え、参画させていただきました。

奥:今後も業務の効率化や見直しをしていくなかで郵便局の空きスペースが増えていくことが予想されます。そういった場所を貸し出すことで、長期にわたって安定した収入を得られるというメリットがありますので、新しい収益源としてのシナジーを生み出すことができます。また、警備員さんが常駐していることで郵便局の社員の安心感につながりますし、ALSOKさんのロゴが入った車両が郵便局の駐車場に停まっていれば「見せる警戒」にもなると思うのです。近隣地域にとっても、ALSOKさんが近くにいてくれることを実感できて安心していただけるのではないか、と考えました。

3つの選定理由と、よりよい環境づくり
――警備会社待機所の第1号に岡山県の児島郵便局が選定された理由を教えてください。
井上:理由は大きく3つあります。まず1つ目はALSOKさん側で移転を希望されている待機所リストのなかに、児島郵便局に近い待機所が含まれていたこと。2つ目は、管轄する中国支社の担当者と児島郵便局との間で密なコミュニケーションが取れており、この施策実現に向けて機敏に対応いただける状況にあったこと。また、実際に現地確認のために伺った際にも、局長をはじめ、社員の皆さんの対応が非常によく、この方たちならば社外の方とも良好な関係が築いていけるのではと感じました。そして3つ目が場所です。ALSOKさんの業務に最適な立地と、利用スペースの希望面積を確保できること。児島郵便局は、この3つの条件がそろっていたことが決め手になりました。
――局内のどんな場所を「待機所」として活用しているのでしょうか。
菅原:昔は食堂として利用されていた旧調理室と呼ばれるスペースと、その隣にあった倉庫が待機所となっています。私が局長として着任したときは、まだ部屋のリフォーム工事前だったのですが、室内にあった廃棄物はすでに撤去した後だったので、何か特別な準備をすることもなく、数カ月でスムーズに貸し出すことができました。

増田:待機する警備員の人数の関係から30㎡ほどのスペースが必要だったのですが、旧調理室だけでは少しスペースが足りませんでした。そこで内覧の際にご相談したところ、倉庫も使わせていただけることになり、現在は待機所と更衣室兼休憩室として利用しています。とても柔軟にご対応いただきました。
菅原:郵便局の社員にとっても、24時間365日、郵便局にALSOKさんがいてくれるのは非常に心強いです。当然ながら営業終了後は局内が無人になるわけですが、その時間も警備員さんがいてくれる「見えない安心感」があります。気持ちに余裕を持ちながら日々の業務に臨めているのではないかと思います。

――待機所第1号として、設置から約2年がたちましたが大変だったことはありますか。
菅原:初めての試みでしたし、当初は細かな課題もいくつかありましたが、ALSOKさんと相談しながら一つずつクリアして今に至るという感じです。実際、待機所がオープンして、警備員の皆さんがどう過ごされているのかがわかってから対応したこともありますね。
例えば、警備員さんは、待機中は外出できないのでコンビニへ行くこともできない。そんなご苦労があったようです。その話を聞いて、郵便局の食堂スペースに"カップ麺の自動販売機"を設置しました。警備員さんにとって、おそらくほかの待機所にはないメリットではないかと感じています。また"カップ麺の自販機"は郵便局の社員からも思いのほか好評で、郵便局にとっても大きなメリットになりました。これからもお互いによりよい環境づくりに取り組むことが必要だと思っています。

増田:おかげさまで警備員たちからも、環境面がすごくよくなったと喜ぶ声が上がっています。入居前にきれいにリフォームしていただいたり、明るさを考えて照明を付け替えてくださったりと細やかな配慮をしていただきました。待機所の環境改善は業務の効率アップにもつながりますので大変ありがたかったです。
奥:私も児島郵便局に待機所が設置された後に、現地の警備員さんにお話を伺ったのですが、局内のATMを利用できて便利であるとか、荷物を出すのが楽になったという声がありました。郵便局側からも、空きスペース内の廃棄物の処理に合わせてほかの部屋の荷物も整理でき、動線が確保できて使いやすくなったという声もいただいています。

全国に数百局規模の展開を目指して
――郵便局の空きスペースを「警備会社待機所」として活用する取り組みにおいて目指していること、今後の展開についてお聞かせください。
奥:児島郵便局に続き、2025年2月には山口県の宇部郵便局と東京都の東久留米郵便局にも警備会社の待機所を設置し、現時点(2026年5月)では17局となっております。さらに、入居の調整はできていないものの検討を進めている郵便局が100局ほどありますので、まさに全国的に拡大が進んでいる状況です。最終的には数百局ぐらいに増やしていきたいですね。警備会社さんに空きスペースをご活用いただくことは、安心・安全面のみならず、お互いにとって大きなメリットがありますので、少しでも多くの郵便局で展開できたらと思います。

増田:私たちも、今後ご契約先の増加に伴い、待機所の増設や移転を検討する機会が増えると思います。1分1秒でも早くお客さまのもとへ駆けつけることがALSOKの一番のサービスになりますが、その観点からも利便性の高い場所に立地する郵便局に待機所を構えられることは、迅速な出動に大変役立っています。また、郵便局の警備を担当させていただいていることから、一般の物件では難しい要望にも、警備の出動拠点としての本質を理解して対応いただけていることに感謝しています。ALSOKとしても、この施策を活用させていただきながら、さらなるサービスの充実に努めていきたいと考えています。
井上:この施策の企画者として、1局のみで終わることなく、ここまで数を増やせたことを非常にうれしく思っています。ただし、今はまだ通過点にすぎません。今後さらに郵便局内に警備会社待機所が増えて、いわゆるインフラ的に整ったときに、郵便局と警備会社による新たなシナジー効果が発揮されるものと考えています。私自身、そんな未来に期待しています。
【現在設置済の郵便局】
白老郵便局・静内郵便局(北海道)、東久留米郵便局・渋谷郵便局・向島郵便局・大森郵便局(東京都)、津久井郵便局・高津郵便局(神奈川県)、木曽福島郵便局(長野県)、遠江大東郵便局(静岡県)、豊橋郵便局(愛知県)、中京郵便局(京都府)、生駒郵便局(奈良県)、斐川郵便局(島根県)、児島郵便局・倉敷郵便局(岡山県)、宇部郵便局(山口県)

