大会3連覇中のJPロジスティクス剣道部。プロフェッショナルな総合物流の業務に息づく剣道の精神とは

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前身企業時代を含めて60年を超える歴史と数々の実績を誇る、JPロジスティクス株式会社の剣道部。現在は関西と関東のそれぞれに拠点を置いて活動している。
なかでも関西剣道部は、2026年1月に行われた「第22回国土交通大臣杯剣道大会」の団体戦において、交通・建設インフラ業界の強豪がひしめくなかで見事、団体戦3連覇を達成しました。
そこで今回は、女子コーチに就任した有本さん、監督やコーチ、そして部員の皆さんに、仕事との両立や関西剣道部の強さの源、そして一新された剣道部の「今」について伺いました。

JPロジスティクス株式会社大阪本社コンプライアンス部アシスタントマネージャー
有本 奈未(ありもと なみ)さん
2014年入社。尼崎支店にて、事務職、営業職、貨物事故担当を経験。2021年に大阪本社の品質管理部に異動。2024年7月よりコンプライアンス部に所属。
第77回国民体育大会剣道大会準優勝、第15回全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会準優勝などの実績を持つ。剣道五段。

JPロジスティクス株式会社大阪支店
松崎 貴志(まつざき たかし)さん
2021年入社。貨物事故の担当と並行して、ドライバーの勤怠管理やトラックに荷物を積載する際の指示業務などに従事。剣道四段。

JPロジスティクス株式会社大阪支店
宮城 瑠佳(みやぎ るか)さん
2024年入社。顧客や集配ドライバーとの電話対応を主に、支店への荷物の持ち込み、引き取りに関する顧客対応業務にも従事。剣道四段。
新体制によって紡いでいく新たな歴史
――有本さんが剣道をはじめたきっかけを教えてください。
有本:中学1年生のとき、剣道部の顧問の先生から見学に誘われた友人がいて、その友人といっしょに見学に行ったことがきっかけでした。当時、剣道のことは何も知りませんでしたが、稽古の様子を見て「かっこいい!」と直感的に思い、入部を決めました。それ以来、高校、大学、そして社会人となった現在まで、剣道を続けています。
――では入社のきっかけも教えてください。
有本:もともと保育士を目指していたため、大学では幼児保育を専攻し、幼稚園教諭と保育士の資格取得を目指していました。そんななか、大学時代の剣道部師範が、当社の剣道部師範も兼ねていたご縁で、当社を知りました。その後、剣道部顧問である橋本副社長と、現在女子監督を務める小川さんが大学へ稽古に来てくださり、お話を伺うなかで、とても興味を持ちました。実は小川さんは大学の先輩で、仕事と剣道を高いレベルで両立させている姿に刺激を受け、「私もこの会社なら、仕事と剣道のどちらも妥協せずに打ち込める」と確信し、入社を決意しました。
――現在の業務内容を教えてください。
有本:2024年に新設されたコンプライアンス部で、主に研修の担当として、各支店へのアドバイスや指導にあたっています。研修はオンラインで実施することもありますが、やはり現地に直接足を運ばなければ見えてこないことも多々あります。そのため、現在は2年間で全国のすべての拠点をまわることを目標に、精力的に各地を訪れているところです。
――今年1月からの剣道部は新体制になったそうですが、どのように変わったのか教えてください。
有本:以前は男性の監督が総監督を兼ねる形だったのですが、新体制では男女それぞれに監督・コーチを置く体制に移行しました。私は過去に7年ほど主将を務めた経験がありましたが、新体制への移行を機に女子コーチを担当することになりました。
――大役を務めることになったんですね。コーチとして、どのような指導を心がけていますか。
有本:私は言葉で引っ張るタイプではなく、いわゆる「背中を見せる」ことを意識しています。まずは自分が率先して動くことで、まわりに何かを感じ取ってもらいたいと考えているからです。剣道部の練習は週3日、1日1時間から1時間半という限られた時間で行われます。だからこそ、その短い時間でどれだけ集中し、密度の濃い稽古ができるかが勝負となります。仕事の都合で参加できない部員もいますが、自主練習や出稽古で補うなど、各自が自律的に取り組む姿勢を大切にしています。
――仕事との両立に励む実業団剣道部のなかでも、JPロジの剣道部の強さの理由は何だと思いますか。
有本:どの実業団剣道部も、限られた条件下で活動している点は同じかもしれません。ただ当社の強みは、必ずしも学生時代にトップレベルだった選手ばかりの集まりではない、という点にあると思っています。私たちの原動力は、「社会人になっても、好きな剣道を真剣に続けたい」「もっと強くなりたい」という一人ひとりの純粋な向上心です。自らの意志で続けているからこそ、一回一回の稽古に向き合う熱量が違います。普段は男女ともに仲がよくアットホームな雰囲気ですが、いざ竹刀を握れば一切の妥協を許さない。そんな一人ひとりの高い意識がチームの底力となり、結果に結びついているのだと思います。

JPロジスティクス株式会社西日本事務センターアシスタントマネージャー
小川 優香(おがわ ゆか)さん
2012年入社。剣道六段。女子監督を務める。
――「女子監督」という重責を担うにあたり、選手たちとどのように向き合っていこうと考えていますか。
小川:私は性格的に、みんなを力強く引っ張っていくタイプではないと思っています。監督という立場にはなりましたが、一人ひとりに寄り添う姿勢を大切にしています。何かあったら相談してもらえる存在でありたいです。
――コーチに就任した有本さんは大学時代からの後輩だそうですが、小川さんにとって有本さんはどのような存在でしょうか。
小川:大学時代は先輩後輩という縦の関係が強かったのですが、社会人になってからはその壁がなくなり、関係性がより深まったと感じています。今はもう後輩という意識はあまりなくて、とても頼りになる存在です。
――では今後の展望をお聞かせください。
小川:今年の3月に「第27回全日本実業団女子・高壮年剣道大会」を終えましたが、また次の大会が控えています。結果はもちろん大事にしていきたいですし、どの大会でも上位を目指して努力は続けますが、私としては、そこに至るまでのプロセスも重視していきたいと考えています。大会に向けて、選手がどう稽古に取り組んだのか。その過程も大切に評価できるチームでありたいです。

JPロジスティクス株式会社尼崎支店支店長
三好 恭平(みよし きょうへい)さん
2011年入社。剣道五段。男子監督を務める。
――新監督として、どのようなチームづくりを意識していますか。
三好:剣道部も一つの組織である以上、私が尼崎支店の支店長として意識している「衆知経営」という考え方を大切にしています。リーダーが一人で引っ張るのではなく、まわりの意見をくみ取りながら、組織をつくり上げていくイメージです。剣道部には、小川監督や有本コーチなど頼りになるスタッフ、そして熱意ある部員が大勢います。彼ら全員としっかりコミュニケーションを取り、意見を出し合いながら運営に取り組んでいきたい。全員の思いを一つにすることこそが、何よりも一番の力になると思っています。
――練習に取り組むにあたり、どのような言葉を部員にかけていますか。
三好:われわれは社会人ですから、仕事・剣道・プライベートという3つの時間の並立が基本です。仕事の都合で練習に来られない日もあるなかで、どうやって練習のための時間をつくり出すか。その工夫こそが、実業団の剣道において大会で勝つためのポイントだと伝えています。
――剣道部の強さの源はどこにあると思いますか。
三好:個々の力が優れた選手ばかりが集まれば、確かに強いチームになります。しかし、剣道の団体戦においては、それだけではなく「選手同士の絆の強さ」が、試合の流れを左右する非常に大きな要素になります。当社のようにコミュニケーションがよく取れているチームは、試合の流れをつくるのがうまい。そこが強さの源ではないかと思います。
――では今後の展望をお聞かせください。
三好:9月に行われる全日本実業団剣道大会で頂点を獲ることですね。さらに、2027年1月の国土交通大臣杯では4連覇を目指したいと思います。
総合物流の業務に宿る「礼節」の意識。実務に活きる剣道の教え
――剣道で培ったものが仕事に活きていると感じることはありますか。
有本:それはもう、たくさんあります(笑)。剣道自体は個人競技ではありますが、団体戦もあり、チームワークが大切になります。特に女子の団体戦は3人制なので、1人が負けてしまうと取り返すのが大変。全員で思いを一つにして勝ちをつなげていかなければ結果を残せません。これは総合物流の仕事も同じだと思っています。さまざまな部門で多くの人がかかわるなか、一人ひとりが自分の持ち場で確実にバトンをつなぐことで、初めて荷物がお客さまに届く。この「全員が同じ意識を持ち、つないでいく」ということが双方の共通点であり、業務にも活かされていると思います。
松崎:やはり「礼節」の部分かと思います。剣道は礼節を重んじる競技なので、それがお客さまに対しての言葉遣いや丁寧な対応に活きていると感じます。こうした誠実な対応が、お客さまからの安心感や信頼につながっているのではないかと思います。
宮城:私も同感です。幼少期から習ってきた礼儀作法がお客さまとの電話対応などの場面で活きていると思います。
――松崎さんと宮城さんは、剣道と業務の両立が大変だと思うことはありますか。
松崎:仕事は仕事、剣道は剣道と切り離して考えるようにしています。何より剣道が好きで自ら望んでやっていることなので、両立を大変だと感じることはありません。
宮城:私は入社2年目でまだ業務に不慣れなこともあり、正直に言うと、繁忙期はしんどいと感じることもあります(笑)。でも、それ以上に剣道が好きなんです。今は仕事と剣道、どちらも一所懸命に取り組んでいる最中です。
――部員のお二人から見た剣道部の雰囲気はいかがですか。
松崎:学生時代のような一方的な厳しさではなく、メリハリのある組織です。基本的にみんな仲がいいのですが、やるときはやる。「みんなで頑張ろう」というポジティブな空気がありますね。
宮城:関西剣道部は女子の人数が多く、若い世代も活発です。年齢は離れていても、有本コーチや小川監督のように元気で優しい先輩方のもと、楽しく、かつ真剣に剣道に向き合えています。
感謝を胸に次なる一本へ。物流と剣道、両輪で挑む未来
――松崎さんと宮城さんの仕事と剣道、それぞれの目標は何ですか。
松崎:仕事面では、より迅速に対応できるようスキルを磨き、周囲からさらに信頼される存在になりたいです。剣道部の目標としては、全日本実業団剣道大会に向け、一丸となってさらに上位を目指したいと思っています。
宮城:私は仕事面では、まだまだ助けていただく場面が多いので、一日も早く自分一人で完結できる業務を増やしていきたいです。剣道に関しては、来年3月に開催される全日本実業団女子・高壮年剣道大会で3位以上の成績が残せるよう頑張ります。
――仕事と剣道を両立させるには、やはり会社からの支援やともに働く仲間の理解や協力が必要不可欠ですよね。それについて有本さんはどのように感じていますか。
有本:会社からの支援や職場の皆さんの協力がなければ、両立は難しいと強く感じています。実業団のなかには、道場がなく、体育館を借りて週1回稽古ができるかどうかという環境下で活動されている企業も少なくありません。そんななかで、私たちは恵まれた稽古環境を設けていただき、大会に出場する際も厚いサポートを受けられています。
物流業界は業務の特性上、どうしても拘束時間が長くなる側面がありますが、各拠点の上長を含め周囲の皆さんに「稽古に行っておいで。頑張っておいで」と温かく背中を押してもらえる。その心遣いには、部員全員が本当に感謝しています。だからこそ、私たちは常に会社の看板を背負っているという自覚を持ち、大会で結果を残すことで恩返しをしていきたい。また、コーチという立場からも、大会で十分に力を発揮できるよう指導に励んでいきたいです。















