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みらいの郵便局、始動!Vol.7 会見レポート! 産学官が動き出す、デジタルアドレスの次章

事業 2026.4.02
みらいの郵便局、始動!Vol.7 会見レポート! 産学官が動き出す、デジタルアドレスの次章

INDEX

郵便や物流はもちろんのこと、行政や金融、ECなど、社会のさまざまな分野で活用されている「住所」。重要な情報である一方、表記揺れや利便性・効率化の面で課題を抱えています。日本郵便株式会社は、そんな住所課題の解決を目指し、業界やサービスを超えた共創型のコンソーシアム「デジタルアドレス・オープンイノベーション」を発足しました。コンソーシアムの出発点ともなる会見の様子をレポートするとともに、コンソーシアムの推進に携わる担当者にプロジェクトへの思いを伺いました。

「デジタルアドレス・オープンイノベーション」の出発点となる発足発表会に共創パートナーが集結!

2026年1月、都内で「デジタルアドレス・オープンイノベーション」コンソーシアムの発足発表会が行われました。

登壇したのは、日本郵便の小池 信也(こいけ しんや)社長をはじめ、共創パートナーである企業や学術機関の代表者の方々です。

小池社長

「コンセプトは、『未来の住所を、共創しよう。』です。本コンソーシアムは住所にまつわる諸課題を共有し、その解決に向けた検証をして次につなげる共創の場です。住所の扱いをシンプルで使いやすいものにするための仕組みづくり、活用事例の深掘りを始めます」(小池社長)

コンソーシアムは、発足時に参画した産業界および学術機関を中心とした共創パートナーで構成され、総務省とデジタル庁がオブザーバーとして助言を行います。

「共創パートナーの皆さまと手を携えながら、ご意見やご要望を伺い、この枠組みに深みを持たせていきます。住所課題を解決することで、企業やご利用いただくお客さまの利便性向上につなげ、社会的なインフラとして日本の発展に貢献できればと考えています」(小池社長)

会見には共創パートナーの代表者らが出席

【共創パートナー】※五十音順
<産業界>
アパグループ
アフラック生命保険株式会社
GMOメイクショップ株式会社
株式会社セールスフォース・ジャパン
Packcity Japan株式会社
楽天グループ株式会社
<学術機関>
国立大学法人東京大学 空間情報科学研究センター

共創パートナーの一員であるアパグループと楽天グループから、コンソーシアムへの期待の声を伺いました。

元谷 一志(もとや いっし)さん

アパグループ 社長 兼 最高経営責任者(CEO)

元谷 一志(もとや いっし)さん

チェックイン時における住所の記入はお客さまにとって負担になっています。デジタルアドレスを活用することで、その煩わしさから解放されますし、アパホテルが掲げる「Time is Life」の精神に沿ったものだと感じています。「デジタルアドレス・オープンイノベーション」は慣例的な枠組みを変えるものであり、これまで推進できなかったことが動き出すのではと期待しています。

松村 亮(まつむら りょう)さん

楽天グループ株式会社 専務執行役員 コマース&マーケティングカンパニー プレジデント

松村 亮(まつむら りょう)さん

日本郵便とは、戦略的提携から配送の効率化に向けた取り組みを推進してきました。デジタルアドレスのプロジェクトにかかわる外国籍の社員からは「日本の住所は複雑で難しく、デジタルアドレスを使うと負担が軽減できる」という期待の声も上がっています。共創パートナーとなり協業の幅を広げるとともに、新たな価値創造を目指していきたいと思います。

2026年度は「EC・物流業界」「金融・保険業界」「宿泊・観光業界」を重点的に取り上げ、議論を進めていきます。そして、共創パートナーを起点に、多くの分野へと広げていく予定です。さらに、今後も参加パートナーを広く募集しながら、2026年5月から本格的な活動を開始します。

「これまで、正しい住所を標準化させるという社会全体としての理解や取り組みは十分ではありませんでした。これからはコンソーシアムを通じて、物流の効率化にとどまらず、住所を起点に業界やサービスを超えた広がりを目指していきたいと考えています」(小池社長)

その力強い言葉から、新たな価値創出を目指すプロジェクトへの強い意欲が伺えました。

共創パートナーと連携しながら、次世代にふさわしい"住所のあり方"を描いていく

「産学官」を巻き込んで住所のイノベーションを起こす

「デジタルアドレス・オープンイノベーション」コンソーシアムの発起人である日本郵便の武さんにお話を伺いました。

武 聡志(たけ さとし)さん

日本郵便株式会社 DX戦略部 課長
株式会社JPデジタル サービスデザイナー/クリエイティブ・ディレクター 兼務

武 聡志(たけ さとし)さん

2024年、日本郵便株式会社に入社するとともに株式会社JPデジタルに在籍。デジタルアドレスのサービスデザイナーとして、デジタルアドレスの価値創造および価値共創の2つの領域を担う。コンソーシアムの発起人として、企画立案からWeb・動画のクリエイティブ・ディレクション、キービジュアルのデザイン、コンセプトライティングまで、本プロジェクトのクリエイティブ制作全体を手がける。また、各省庁や東京大学への提案・参画交渉を行い、共創パートナーやオブザーバーの参画推進にも携わる。

――改めて、「デジタルアドレス・オープンイノベーション」とはどのような取り組みでしょうか。

武:個人向けのサービスとして始まったデジタルアドレスを、いかにサービス事業者や個人事業主の皆さんに導入してもらうかが次の打ち手となっていました。「デジタルアドレス・オープンイノベーション」では、産学官を巻き込んで、一つの思想としてイノベーションを起こす"束"のようなものをつくっていきます。

――コンソーシアムには産業界から6社が共創パートナーとして参画しています。それぞれの業界には、どのような住所課題があるのでしょうか。

武:例えば、保険会社には多くの代理店がありますが、住所情報が契約単位で管理されているため、同一人物が複数契約している場合、住所情報が契約ごとに重複して登録されている状況です。そこで、複数の契約を名寄せする手段としてデジタルアドレスが有効な打ち手になると考えます。

――ECにはどのような課題がありますか。

武:ECサイトでは"顧客情報を入力する際の項目数をどれだけ減らせるか"という課題があり、デジタルアドレスは、エントリーフォーム最適化(EFO)(※)に貢献し、離脱率を減らすことができると考えています。

※Webサイトの会員登録や購入ページにある入力フォームを改善し、ユーザーがスムーズに入力を完了できるようにする施策

――さまざまな業界でデジタルアドレスの活用が期待できますね。物流業界ではいかがですか。

武:転居した場合など、荷物のお届け先住所が更新されておらず、配達先で「あて所尋ねあたらず」と判断され、持ち戻るケースが多発しています。デジタルアドレスで住所の最新化を自動的に行うことによってそうしたケースを減らし、物流の効率化を支援できると考えています。

――街中では宅配ロッカーの設置も進んでいます。近い将来、どのような課題を解決できる可能性があるでしょうか。

武:これも一例になりますが、東京駅のような広大な敷地でも住所は「東京都千代田区丸の内1丁目9-1」と一つとなっており、敷地内に複数ある宅配ロッカーの場所をそれぞれ示す方法がありません。今は住所に加えて駅構内の出口名と構内図を付けて場所を示していますが、近い将来の構想では、デジタルアドレスに緯度・経度・地理空間情報(※)を連携することで、宅配ロッカーの具体的な位置情報やロッカー番号まで示すことができると期待しています。

※空間上の特定の地点または区域の位置を示す情報

確かなデータを伴いながら、産学官で連携して推進

――学術機関から東京大学の空間情報科学研究センターが共創パートナーとして参画しています。

武:私が研修員として参加していた東京大学のデザイン研究プログラムでの最終プレゼンテーションの場で、藤井 輝夫(ふじい てるお)総長に講評をいただく機会がありました。その際、デジタルアドレスの取り組みについてお話をしたところ、非常に面白い施策であるとの評価をいただきました。そこで、関連する研究分野の先生をご紹介いただけないかとお願いしたところ、地理空間情報研究の第一人者である空間情報科学研究センターの関本 義秀(せきもと よしひで)教授をご紹介いただき、参画につながりました。

会見に臨む関本教授

――学術機関からはどのような反応がありましたか。

武:住所や特定の場所を示し、社会共通のキーとしてさまざまな情報と連携できるデジタルアドレスという発想は、日々住所に向き合っている日本郵便だからこそ生まれた施策です。学術機関からもこの点に関心を持たれ、研究データをどのようにデジタルアドレスと結び付けていくかについては、今後コンソーシアムのなかで議論が進んでいくと思います。

――「デジタルアドレス・オープンイノベーション」を産学官で取り組む意義は何だと思いますか。

武:デジタルアドレスは、土地に紐づく住所から、人に紐づく住所へと進化することで、住所の価値を最大化する新たな"住所の社会インフラ"になり得るものです。一方で、一民間企業だけで社会に浸透させるのは容易ではありません。行政や自治体のサービスには、住所に関係する手続きが多く、安全性や有効性をしっかりと示しながら進める必要があります。そのためには学術機関と連携し、確かなデータを伴いながら、産学官で連携して推進することが重要だと考えています。

産学官の連携による共創型コンソーシアムで住所課題の解決を目指す

ポジティブな思考で描く「デジタルアドレス・オープンイノベーション」のこれから

――2026年5月にキックオフが予定されていますが、今後の展望を教えてください。

武:まずは共創パートナーの皆さまと、各業界におけるワーキンググループを立ち上げ、その業界特有の住所課題を洗い出します。そして、その後は課題の解決に向けた未来へのロードマップを北極星を掲げながら描いていく予定です。このプロセスは約1年かけてPoC策定を行いながら進めます。来年度末ごろにはコンソーシアムの活動報告会を開催する予定です。その後、実現可能性の高い施策から順次、各パートナー企業の皆さまのサービスに順次導入していただく構想です。

――「デジタルアドレス・オープンイノベーション」の将来的な理想像はありますか。

武:住所や位置情報という社会的基盤を軸に、産学官の共創によって新たな価値を創り出すプラットフォームとして機能することを目指しています。この仕組みが広がれば、サービスや体験がより楽しく便利に進化していくはずです。そんな未来を、ポジティブな思考で共創パートナーの皆さんとワクワクしながら描いていきたいと思います。

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