フレスコボールと出合って実感した、「思いやり」の大切さ│私のオンとオフ スイッチインタビュー
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約24,000ある郵便局をはじめ、全国で働く約40万人の日本郵政グループの社員。この企画では、それぞれの立場で仕事に取り組む社員の姿勢と知られざるプライベートでの横顔、そんなオンとオフの両面で活躍する社員の魅力ある個性を掘り下げていきます。
今回、お話を聞いたのは、兵庫県の神戸東垂水郵便局に勤める髙津さん。郵便局で働きながら、ブラジル発祥のビーチスポーツ「フレスコボール」の選手としても活躍中。仕事とスポーツをバランスよく楽しみながら、人生をより豊かに育んできた髙津さん。そのオンとオフの秘訣に迫ります。
神戸東垂水郵便局
髙津 幸佑(たかつ こうすけ)さん
2017年、期間雇用社員として日本郵便株式会社に入社。2020年に正社員となり、2021年より神戸東垂水郵便局で勤務。幼いころは野球少年で、今も仲間と野球を楽しんでいる。
「目配り・気配り」で常にお客さまと同僚をサポート
――郵便局で働くようになったきっかけを教えてください。
髙津:以前はものづくりにかかわる仕事をしていたのですが、ふと、人とかかわる仕事をしてみたいと思うようになったんです。親しい友人が郵便局に勤めているので、いろいろと相談に乗ってもらって、応募を決めました。
――現在のお仕事の内容を教えてください。
髙津:神戸東垂水郵便局で、郵便、貯金、保険すべての窓口業務を担当しています。日によっては、近隣にある別の郵便局で同様に窓口業務を行うこともあります。
――仕事をするうえで、大切にしていることはありますか。
髙津:「目配り・気配り」を一番意識しています。神戸東垂水郵便局にはご高齢のお客さまや、視覚特別支援学校に通うお客さまもよくご来局いただきます。わかりやすくサービスをご案内することはもちろんですが、郵便局から帰られる際に車通りを確認してお声がけをするなど、すべてのお客さまが安心・安全に郵便局をご利用いただけるよう、視野を広げて常に目配り・気配りするようにしています。
――働いてきたなかで、印象的なことは何ですか。
髙津:上司に、私が書く字がきれいだと褒めていただいたんです。以後、文字をより丁寧に書くことを意識したところ、お客さまからお褒めの言葉をいただく機会が増え、お礼状を送付する際に添えた一筆がきっかけでお客さまと良好な関係性を築けたことがありました。丁寧に文字を書くことで、お客さまに気持ちが伝わるんだなと感じた出来事でした。
フレスコボールと出合い、「人見知り」を克服
――髙津さんが取り組まれている「フレスコボール」という競技について教えてください。
髙津:ブラジル発祥のビーチスポーツです。二人一組となり、最低7m離れて、ラケットでボールを打ち合うラリーを5分間続けます。日本の基本ルールでは、審査員がラリーの回数やテクニックから点数をつけて順位を競います。トップ選手同士のペアになると、5分間で550〜600回のラリーが続きます。2025年度からは球速を得点化するスピードガンルールも新設され、時速70キロを超えるような、より高速かつ高度なラリーが繰り広げられています。
――競技の魅力は何ですか。
髙津:フレスコボールは、味方同士でどれだけラリーを続けられるかを競うスポーツです。ほかのスポーツのように相手を打ち負かす感覚は薄く、ラリー相手は敵ではなく味方です。選手ごとに、打ちやすい・打ちにくいボール、取りにくいコース、確実に返せる位置が異なるので、球質を考慮しながら、常にペアのことを思い、ペアでよいラリーをつくっていくというのがフレスコボールの魅力です。そのため、フレスコボールは「思いやりのスポーツ」と呼ばれています。
――フレスコボールと出合ったきっかけは何ですか。
髙津:郵便局の先輩から誘っていただいたのがきっかけです。もともと人見知りで出不精だったため、休日は家にいることが多かったのですが、先輩に背中を押していただき、思い切って地元チームの練習会に参加しました。
――人見知りだったとは意外です! 今はハキハキとお話しされていますね。
髙津:幼いころから物静かな方で、自分から人に話しかけることが苦手でした。そのため、最初は皆さんのなかに溶け込めるか不安でしたが、フレスコボールには「一人にしない」という文化があり、トップ選手も初心者も分け隔てなく、気さくに「いっしょに打ちましょう!」と声をかけ合ってプレーします。そのため、私も自然と場になじむことができ、気づけばフレスコボールに夢中になってしまって(笑)。すっかり人見知りも克服したので、フレスコボールは自分自身を変えてくれたと感謝しています。
ペアは81歳男性! 一生忘れられない思い出の大会
――フレスコボールの活動について、具体的な内容を教えてください。
髙津:大会は年間で8回、全国のさまざまな場所で開催されます。私も大会の都度、遠征し出場しています。練習は、主に週末や祝日に行っていますが、日の入りが遅い時期には、平日でも仕事終わりにビーチに集まって1時間ほど行うこともあります。
――どのような練習を行っているのですか。
髙津:大会前は出場するペアで練習しますが、普段の練習ではペアを固定せず、さまざまな人と組んで打ち合います。そうすることで「誰も一人にしない」というこの競技の理念が実現でき、さらに、さまざまなプレースタイルを経験することもできて、ボールの受け方や打ち方など、技術の幅を広げることにつながります。
――まさに、思いやりのスポーツですね。直近の戦績を教えてください。
髙津:2025年10月に開催された世界大会「JBG須磨フレスコボールワールドカップ2025」に出場し、三人一組で行う「TRINCA(トリンカ)」部門の男子カテゴリで3位に入賞することができました。
――すごいですね!
髙津:ありがとうございます! 世界大会に出場することを目標にしていましたし、入賞することもできたので、とてもうれしかったです。試合に勝つことはもちろんですが、人の心を動かすプレーをしたいと思っているので、それができたこともよかったと思っています。
――これまでのフレスコボールの活動で、一番印象に残っていることは何ですか。
髙津:2022年に、岩手県の陸前高田市で開催された「フレスコボールリクゼンタカタカップ2022」に参加したことです。ちょうどそのとき、いっしょに出場するペアがいなくて、岩手県出身で当時81歳の高橋さんとペアを組むことになりました。お会いしたのは試合前日で、練習はその一日だけ。ですが、大会本番では互いに懸命にプレーし、ベストラリー賞を受賞することができたんです。
試合後、高橋さんが涙ながらに「こんなおじいちゃんの私を支えてくれて本当にうれしかった。ありがとう。君とは生涯のペアだ」と言ってくださり、私も胸が熱くなりました。自分のプレーで人の心を動かせたのは初めてで、生涯忘れられない出来事になりました。今も交流が続いていて、高橋さんからは岩手県産のサンマ、私からは兵庫県産のタマネギを送り合っています(笑)。ありがたいことですね。
「恩返し」の気持ちが両立の源
――郵便局の仕事とフレスコボールの活動、相互で役立っていることはありますか。
髙津:フレスコボールは、相手を思いやることがいい結果につながる競技なので、郵便局で培った「目配り・気配り」のスキルが大いに役立っていると思います。逆に、フレスコボールを通じて人見知りが克服できたことは、郵便局でのお客さまとのコミュニケーションにもいい影響を与えていると思います。
――両立による相乗効果が生まれているのですね。
髙津:そうですね。ただ、大会に出場するときなど、勤務スケジュールを調整していただくこともあります。私が両立できているのも、職場の皆さんのサポートがあるからこそだと思っています。
――では最後に、オン・オフ、両立の極意を教えてください。
髙津:郵便局の仕事もフレスコボールも、「恩返し」の気持ちを軸に取り組んでいます。郵便局で育ててくれた先輩方や、フレスコボールで声をかけてくれた人々との出会いが、私を成長させてくれました。今後は、仕事ではもっと成長できるようにお客さまへの接し方などを学んでいき、ゆくゆくは先輩方のように後輩へ還元できるような立場になりたいと思います。フレスコボールでは、強い選手として成長していきたいのはもちろん、フレスコボールを通じて人生が豊かになった私のような人が増えることも願って、競技の普及にも取り組みたいと考えています。そして、この「恩返し」の気持ちこそが私にとって両立の原動力になっています。
※「JBG須磨フレスコボールワールドカップ2025」は一般社団法人日本フレスコボール協会の登録商標です。
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