日本郵政グループ女子陸上部が初の書籍化! 髙橋監督×担当ライターが語る「創部10年の軌跡」

日本郵政グループ女子陸上部が初の書籍化! 髙橋監督×担当ライターが語る「創部10年の軌跡」

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今年6月、日本郵政グループ女子陸上部「POSTIES(ポスティーズ)」の10年間の軌跡をまとめた書籍『日本郵政グループ女子陸上部 つなぐプライド』(陸上競技社)が発行されました。髙橋監督と、書籍制作に携わったライターに、本書が世に出るまでの舞台裏や秘話を伺いました。

髙橋 昌彦(たかはし まさひこ)監督

髙橋 昌彦(たかはし まさひこ)監督

2014年のチーム創部から監督を務める。実業団女子駅伝の最高峰大会「クイーンズ駅伝」で、創部10年で4度の優勝を誇る。また2016年から現在までの間、翌年の出場シード権が与えられる「クイーンズ8」入りも9年連続で達成している。

寺田 辰朗(てらだ たつお)さん

寺田 辰朗(てらだ たつお)さん

陸上競技専門のフリーライター。『陸上競技マガジン』編集部に12年勤務後、独立。数値データから、そのなかに潜む人間ドラマを見つけ出すなど、専門誌出身のライターとして陸上競技の"深い"情報を紹介している。

西口 大地(にしぐち だいち)さん

西口 大地(にしぐち だいち)さん

読売新聞社記者。2005年読売新聞に入社し、静岡、福島などの支局勤務を経て2010年末から東京本社。現在は運動部に所属し、2016年から2021年まで陸上競技担当として日本郵政グループ女子陸上部の取材に携わった。

創部から10年間の出来事を、多くの方に知ってもらいたい

――今回、書籍が発行されるにあたって、どのような経緯があったのでしょうか?

髙橋監督:日本郵政グループ女子陸上部が2024年で創部10周年ということで、節目の年に、これまでの活動をまとめられるといいんじゃないかと思ったのがきっかけです。記念アルバムでもよかったんですが、チーム関係者だけではなく一般の方々や全国の社員にも、チームがどのように誕生し、成長してきたのか知っていただきたかったんです。

そのためには、読み物として手に取ってもらえる書籍がいいんじゃないかと思いました。陸上競技のことをよく知るライターさんなら、現場のことを理解しながら、選手やスタッフをはじめとした沢山の関係者の言葉を上手く引き出して書いてくれるはずだと思い、寺田さんに相談したんです。

寺田:たしか、北海道の網走でお話ししましたよね。今から2年前でしたかね。

髙橋監督:ただ、寺田さん1人だと大変だろうし、それに、現場サイドのストーリーだけではなくて、会社の経営陣サイドのインタビューもあったほうがいいと思ったので、寺田さんとも仲のいい西口さんにも声をかけて、お二人に執筆をお願いすることになりました。

左から、西口さん、寺田さん、髙橋監督

――書籍の構成から取材まで、どのように進めていったのでしょうか。

寺田:私が構成を企画して、監督たちからもアドバイスをいただきながら作っていきました。選手はもちろんチームのスタッフやOG、日本郵政グループの経営陣、さらにはチームを色々な角度からサポートした関係者にも取材をお願いしました。

西口:OGの方々には、軒並み喜んで取材を受けていただけましたね。オリンピアンになるような選手は一般メディアで記事になる機会も多いですが、その裏側で活躍していた選手はなかなか日が当たっていなかったので、自分たちの物語をあらためて活字にして読めるというのはとてもうれしいということでした。そうした、日本郵政グループ女子陸上部の歴史のなかで大事な役割を果たした選手に取材をさせていただけたので、貴重な機会でしたね。

「チームを陰で支えてきたOGへの取材は貴重だった」と語る西口さん

クイーンズ駅伝4度の優勝! なぜ「チーム戦」に強いのか?

――この10年を振り返って、特に印象に残っている出来事はありますか。

髙橋監督:そうですね......、やはりクイーンズ駅伝での4回の優勝はどれも印象的です。特に初優勝(2016年)のときは、本当に優勝なんて全く意識もしていなかったですし、クイーンズ8(8位入賞)も難しいだろうと思っていたくらいで、キツネにつままれたかのような感覚でした。

寺田:確かに、創部3年目でクイーンズ駅伝優勝なんて普通ではありえないことです。2019年に高卒ルーキー4人(6区間中)をメンバーにしての優勝も、これまたありえませんよ(笑)。

西口:私も2019年の優勝は印象的ですね。自らが取材をした駅伝でもあったのですが、オーダー表(メンバーリスト)をぱっと見たときにルーキーが4人も並んでいて、正直驚きました。しかも、その選手たちが伸び伸びと力を発揮しての優勝。さらにびっくりでした。

2019年クイーンズ駅伝 ©フォート・キシモト

――本書でも触れられていますが、クイーンズ駅伝の歴史上、この10年での優勝は日本郵政が4回で最も多い。この「チーム戦」の強さについて、お二人はどう見られていますか。

寺田:力のある選手がいて、個々に結果を出すチームというのはほかにもあります。でも、日本郵政グループ女子陸上部の場合は、チームで臨む駅伝で特に結果を出している。チームになると力が出せる"何か"があるんでしょうね。詳しくは書籍を読んでいただきたいです(笑)が、ひと言でいえば「チームワーク」でしょう。

おそらくチーム一期生でトラックとマラソンで五輪2大会に出場した鈴木 亜由子(すずき あゆこ)選手を中心として、チームの仲がいいというのが大きな理由の一つ。先輩後輩で遠慮し合うことがなく、相談したり、練習でも思い切り競い合える雰囲気があるんですね。選手同士はもちろん、スタッフとも話がしやすい雰囲気があって、それが競技力の高さにつながっているんだと見ています。

西口:2019年は、監督が体調を崩されて長期不在でした。でもそこで、スタッフの皆さんが、懸命に心を砕きながらチーム運営をしていった。そのなかでの、ルーキー4人のクイーンズ駅伝出場でした。取材を通してわかったんですが、それが本当にプラスアルファというか、額面じゃ推し測れない力を発揮して、優勝につながったんです。普段からのチームづくりの重要性、そして監督の采配の妙を、あらためて感じましたね。

「太田選手の活躍は、大きなターニングポイント」

――書籍が世に出て、周囲から反応はありましたか?

寺田:太田琴菜(おおた ことな)選手の出身大学のコーチからお礼の言葉をいただきました。「太田のことをこういう形で書いてくださって、本当にありがたかったです」と。

西口:やっぱり太田選手の活躍というのは、チームの歴史のなかで大きなターニングポイントだったと思います。ケガの時期を耐え抜いて、2021年のクイーンズ駅伝で復活。結果的に優勝はできませんでしたが、チームをすごく活気づける活躍になりました。

それが2024年、4回目の優勝につながってもいるんですよね。チームを支えているのは一部の選手だけじゃないというのを伝えられる存在が、太田選手なんじゃないかと思います。それを活字にできたことで、恩師の方にも喜んでいただけたのかなと思います。

昨年のクイーンズ駅伝で太田選手はアンカーを務め、区間1位の走りでチームの優勝を決めた

今後の日本郵政グループ女子陸上部に期待すること

――この10年の振り返り、そして今後の目標をあらためて教えてください。

髙橋監督:女子陸上部の創部当時の大目標は、「2021年の日本郵政グループ150周年までに駅伝で優勝」「東京オリンピックの代表選手を出したい」というものでした。それがどちらも達成できて、その後の選手たちの活躍もあって、本当にいいチームができたと思っています。

ただし、一年一年では、私が体調を崩したり選手のケガがあったり、うまくいかないこともありました。毎年スクラムを組み直して、調整しながらやっているというのが正直なところです。

チームは、社員からも地域からも、誰からも愛されるというのを理想にしていますので、そのためにも強いチームであり続けないといけません。また、社員の方々との交流を活発にして、日本各地域への貢献もして、チームの価値を高めていきたいと思っています。

さらに言えば私も60歳になりましたので、後継者をしっかりと育てていくことも視野にいれています。選手を育てるのと同様に指導者を育て、あとに続いてくれる存在を作っていきたいですね。

――執筆を務めたお二人は、チームにどのようなことを期待されますか?

寺田:毎年クイーンズ駅伝で優勝するというのはかなり難しいと思いますが、それでも優勝争いには常に絡んでほしいですね。そうすればこのチームに入りたいと思ってくれる選手が出てくるでしょうし、社員も誇らしく応援してくれると思います。

西口:私たちマスコミには、常に客観的な立場から取材をしなければならないというスタンスがあります。とはいえ、この選手を取材したい、このチームを追いかけたいという思いにさせてくれる存在もあり、それが日本郵政グループ女子陸上部、そしてその選手たちなんですよね。

寺田:一つ補足をすると、本書の執筆にあたっては評価が甘くならないように気をつけました。西口さんが言うとおり、日本郵政グループ女子陸上部は本当に魅力あるチームと選手なんです。

西口:そうですね。そのうえで、応援したくなる存在であり続けてほしいというのは、取材者としての私たちの願いでもあります。

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