お客さまへの提供価値のさらなる向上を目指して。アフラックと日本郵政グループが共催する「Acceleration Program」とは?

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アフラック・インコーポレーテッドおよびアフラック生命保険株式会社と日本郵政グループ(日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険)は、2007年来、戦略提携パートナーシップを深化させ続けており、2018年に「資本関係に基づく戦略提携」に合意、2021年には、日本郵政グループが掲げる「お客さまと地域を支える『共創プラットフォーム』」の実現に向けて戦略提携をさらに発展させることにより、さまざまな取り組みを推進してきました。その取り組みの一つに、イノベーション創出力に優れたスタートアップと協業し、新たな事業の創出を目指す「Acceleration Program(アクセラレーションプログラム)」(アフラック生命、Aflac Ventures Japan※、日本郵便、かんぽ生命の共催)があります。この取り組みの概要や成果、今後の展望について、Aflac Ventures Japan、日本郵便、かんぽ生命の担当者にお話を伺いました。
※アフラック生命の子会社。日本における保険事業、ならびに保険外事業とのシナジーが見込まれるスタートアップへの投資や「Acceleration Program」をはじめ、スタートアップとの協業機会の創出に関する役割を担う。

Aflac Ventures Japan株式会社 パートナー
工藤 杜人(くどう もりと)さん
2021年より現職。これまでにオンライン専用保険の開発とデジタルマーケティングなどに従事。新規事業推進の経験と社内ネットワークを活かし、現在は保険事業との協業をテーマにスタートアップとの事業共創と投資をリード。

株式会社かんぽ生命保険 経営企画部 みらいデザイン室 課長
塚原 健二(つかはら けんじ)さん
2022年より現職。以前所属していた商品開発部では引受基準緩和型商品の開発に携わった。現在はAcceleration Programなどの企画・運営を担当。

日本郵便株式会社 地域共創事業部 課長
花塚 翔(はなつか しょう)さん
2024年より現職。ゆうちょ銀行から出向中。Acceleration Programのほか、地域発で新規事業を創出するローカル共創イニシアティブなど、各種新規事業を担当。
共催だからこそ生まれる、多様な企業とのつながり
――はじめに、Acceleration Programの概要を教えてください。
花塚:会社を成長させていくためには、既存事業の効率化に加え、新規事業の創出が求められます。スピード感をもって業務改革や新規事業創出を進めていくには、優れた技術やテクノロジーが必要です。そこで、弊社を含めた各社の課題感や注力領域を公開したうえで、最先端の技術をお持ちのスタートアップを広く募集し、その方々との協業を目指していくのが「Acceleration Program」です。

――どういった背景からプログラム実施に至ったのでしょうか。
塚原:少子高齢化やニーズの多様化など、外部環境は大きく変化しています。つまり、既存の取り組みだけではお客さまのご要望にお応えしていくことが難しくなっているんです。こうした課題を解決するためには社内だけでなく、社外の皆さんと協業していく必要があり、特に、さまざまなアイディアや技術をもつスタートアップと、私たちがもつ顧客基盤や事業基盤をかけ合わせることで、お互いの発展につながるような取り組みをしていきたいという思いが、プログラムの実施へとつながりました。

――共催することの意義はどんなところにあるのでしょうか。
工藤:アフラック生命では、Aflac Ventures Japanを通じてCVC(Corporate Venture Capital)の機能をもっており、スタートアップの皆さんとさまざまな接点がありました。しかし、プログラムを当社だけでなく他社と共催することで、そのインパクトは断然大きくなりました。2022年にかんぽ生命とスタートした当初は100社に届かない応募数でしたが、2024年から日本郵便が加わっての共催になると100社を超え、国内のピッチイベントでもかなり上位に入る規模感のプログラムに成長しています。

花塚:アフラック生命に採択された企業のピッチがとてもよかったので、後々、お話をさせていただき、日本郵便との協業につながったケースもあります。そういった当社でやっていただけでは起こり得ない、さまざまな企業の皆さんと接点をもてるようになったのは、アフラック生命、Aflac Ventures Japan、日本郵便、かんぽ生命で共催することの大きなメリットであると感じています。
重視しているのは、理念への共感とお互いの成長につながるかどうか
――Acceleration Programの選考の流れを教えてください。
工藤:書類による一次審査、面談による二次審査を経て、ビジネスパートナーを決める最終審査が行われます。その最終審査にあたるピッチイベントがプログラムのメインで、アフラック生命、Aflac Ventures Japan、日本郵便、かんぽ生命の経営陣やスタートアップ・エコシステム(※)で活躍されている外部の著名なゲストの前でプレゼンを行い、質疑応答を経て協業する企業を決定していきます。
※内閣府が企業の創設やイノベーションの促進を目的として進めている事業で、スタートアップをさまざまな面からサポートする枠組み。


2025年は174社の応募があり、最終的に14社がピッチイベントに登壇しました。私どもとしてはこの狭き門をくぐり抜けてきた方たちに対して、「特別な舞台をご用意したい」という気持ちがあります。

――これまでのピッチイベントで、どんなシーンが印象的でしたか。
工藤:スタートアップの皆さんは、ご自身で立ち上げた事業に熱い思いをもって全力で取り組んでいらっしゃいます。特にピッチイベントまで残られた方々の情熱には目を見張るものがあり、張りつめた緊張感のなか、すばらしいプレゼンテーションが行われます。そして、採択された瞬間の歓喜の様子。そうした姿には、毎回、本当に心を打たれます。

花塚:既存の枠では考えられないような新しいアイディアや、「こんなサービスができたらいいよね」といった話をたくさん聞くことができたのが印象的でしたね。
――選考基準や協業にあたって重視していることをお聞かせください。
塚原:お客さまとしっかり接点をもち、一人ひとりに寄り添ったサービスとなっているか。また、利益につなげられるサービスを展開できるかどうかを重視しています。そのうえで未来へのワクワク感があり、お互いの企業理念にしっかり共感できる点も大切にしています。
工藤:スタートアップ事業が継続的に成長していけるかどうかです。それから、インパクトや先進性はもちろんですが、やはり塚原さんがおっしゃるとおり、私たちのビジョンに共感していただけること。思いを共有しながら協業していけるかどうかは、非常に重要だと思っています。
花塚:今後、事業の実現可能性の検証から実装まで、長いお付き合いになりますので、お互いの相性といった書類では見えない部分も重視しています。 そして、私たちだけでなくスタートアップの皆さんにとってもメリットになる、両者の成長につながるサービスであるかどうか、という観点も大切です。
実装効果だけではない、共創がもたらす社員への刺激も大きな成果
――プログラムの実施を通じてどのような成果が得られましたか。
塚原:サービスの提供や事業の効率化につながった事例は、すでにいくつか出ています。例えば、かんぽ生命では、誰でも簡単に高品質な動画を作成できるツールと作成した動画を共有するプラットフォームを提供する企業とともに、社員向け研修資料や周知資料、お客さま向けの説明資料を動画で提供する取り組みを進めています。社内への影響という点では、スタートアップの皆さんの熱意やスピード感に、弊社の社員一同、大きな刺激を受けています。

工藤:アフラック生命でいうと、在宅介護をされている方々のお悩みに寄り添い、その緩和や解決のサポートをワンストップで提供するサービスである「くらしと介護サポート(※)」や、あらゆる場面でがんに関するお悩みやお困りごとをご相談いただけるコンシェルジュ機能を備えた「よりそうがん相談サポート」は、スタートアップのアイディアを採用したものになります。いずれもアフラック生命にとって重要なサービスで、プログラムの大きな成果だと考えています。
※「くらしと介護サポート」は、アフラック生命とかんぽ生命が協業して在宅介護関連サービスを検討し、両社においてサービスを展開している。
プログラムを盛り上げ、オープンイノベーションをもっと日常にしていきたい
――プログラムに携わる担当者としてのやりがいをお聞かせください。
花塚:最先端の技術・サービスに触れ、今までにない新しい取り組みについて考えられることは、非常に刺激的でやりがいを感じます。

工藤:採用されたスタートアップの皆さんと各事業部門のメンバーは、年末までに具体的な協業の方向性についてディスカッションし、その成果をピッチイベントの審査員たちの前で語る「協業Demo Day」に取り組んでいきます。こうしたプログラムの最終段階の様子を見ていると、当社のオープンイノベーションの風土醸成に少しでも貢献できていることを実感し、やりがいにつながっています。
塚原:さまざまなアイディアの種をもったスタートアップの皆さんとの、出会いの場を創出することに携われるのは大きなやりがいですね。その種をいっしょに育て、成長させていくことは決して簡単ではありませんが、それも含めて充実感を得られています。
――Acceleration Programを、どのように発展させていきたいですか。
花塚:プログラムの実施期間に限らず、オープンイノベーションに積極的に取り組んでいくことが日常になるような風土をつくっていきたいです。そのために、まずはプログラムへの参加者を増やし、社内全体のイベントとして盛り上げていきたいですね。
工藤:私自身、スタートアップの皆さんと出会うことで、改めて世界は広いと気づかせていただき、視野が広がりました。そうした感動を、より多くの社員に味わってもらいたいですし、それが会社の未来への原動力にもなるはずです。そのためにも、スタートアップの皆さんの提案を全社員が聞ける場をつくっていきたいです。

――今後に向けて強化したい取り組みや、改善したい点があれば教えてください。
塚原:まずは継続することが大事だと思います。採択されたアイディアがサービスとして実装され、「こんな新しいことができるんだ」と実感する社員が増え、自分でもやってみようと気持ちが動く。そうした前向きな気持ちが広がっていくよう、プログラムのさらなる認知度の向上に努めていきたいです。
花塚:スタートアップの皆さんに協業したいと思っていただくために、私たちもしっかりとしたプレゼンスが必要です。いつの日か協業が実現してお互いがもっと成長していけるような関係を、より多くの方々と築いていく。そうした理想を実現していくためにも、オープンイノベーション活動のさらなる強化に力を尽くしていきたいと思います。

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