多様な人材が活躍できる環境を目指して、仕事と介護の両立を考える介護セミナーをアフラックと共同開催

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日本郵政グループでは、社員の働きやすい環境を実現するための取り組みの一環として、提携関係にあるアフラック生命保険株式会社と合同で、「仕事と介護の両立」をテーマとした社員向けのオンラインセミナーを実施。大勢の社員が参加し、大きな反響を呼びました。
なぜ「介護」というテーマを取り上げたのか、また今回のセミナーを通じて日本郵政グループが実現したいことは何か、セミナーを企画したアフラック生命保険株式会社 ダイバーシティ&インクルージョン推進部の松下 健介(まつした けんすけ)さんと、日本郵政株式会社 人事部の生駒 梓(いこま あずさ)さんにお話を伺いました。

アフラック生命保険株式会社 ダイバーシティ&インクルージョン推進部 課長代理
松下 健介(まつした けんすけ)さん
2014年、アフラック生命保険株式会社に入社。2023年より現職。
日本郵政株式会社 人事部 グループリーダー
生駒 梓(いこま あずさ)さん
2009年、日本郵政株式会社に入社。埼玉県内の郵便局や社風改革推進室を経て、2024年4月より現職。
※取材時の所属を記載しています。
「仕事と介護の両立」は多くの社員が不安を抱いていたテーマ
――最初に、介護に関するセミナーを実施することになった経緯を教えてください。
松下: 2018年12月、日本郵政株式会社およびアフラック(アフラック・インコーポレーテッド、アフラック生命保険株式会社)は「資本関係に基づく戦略提携」に合意しました。この提携は、日本郵政グループ3社(日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険)およびアフラック生命保険によるがん保険に関する取り組みの一層の推進やその他の協業の取り組みを確認するとともに、日本郵政によるアフラック・インコーポレーテッドへの投資※を通じて、双方の持続的な成長サイクルの実現を目指したもので、さらに2021年には日本郵便株式会社、株式会社かんぽ生命保険を加えた日本郵政グループ3社とアフラックで「お客さまと地域を支える『共創プラットフォーム』」の実現に向けた「資本関係に基づく戦略提携」のさらなる発展について合意しました。その取り組みの一つとして「ダイバーシティ推進」を掲げており、具体的に何をしようかとゆうちょ銀行を加えた5社で協議をするなかで、まずはダイバーシティに関するセミナーを合同で実施してみようという話になりました。
※日本郵政は、2020年2月までにアフラック・インコーポレーテッド普通株式の発行済株式総数の7%程度を、信託を通じ取得している。
生駒:セミナーは2021年度から毎年実施していて、テーマは年ごとに変えています。これまで、性の多様性の尊重、男性育休の取得推進、キャリア開発、がんと仕事の両立などのテーマで実施してきました。
――今回、「仕事と介護の両立」をテーマにした理由はなんでしょうか。
松下:やはり社会的に関心の高まっているテーマという点が大きいですね。
生駒:5社で協議をした際も、満場一致でこのテーマに決まりましたよね。
松下:はい。実は私も、今の部署に異動して以来、多くの社員が「将来、家族を介護することになったら仕事を続けられるか」という不安を抱えていることを感じていて、何かサポートできる方法はないかと考えていたところでした。ですので、今回の「仕事と介護の両立」というテーマには、とても共感しています。
生駒:世の中的に介護支援に対する関心や認知はまだ低いと言えます。だからこそ「仕事と介護の両立」というテーマは意義のあるものだと感じています。
当事者の声を反映することで共感性の高いセミナーを実現
――セミナーの内容について教えていただけますか。
松下:90分間のオンラインセミナーで、前半と後半で2つにプログラムを分けて、前半は介護の専門家の方による講義、後半は介護を経験された各社の社員に集まっていただき、専門家の先生のもと、パネルディスカッションを行いました。
――前半の講義の内容はどういったものでしたか。
松下:株式会社ワーク&ケアバランス研究所 代表の和氣 美枝(わき みえ)さんに講師として登壇いただき、介護者の心構えや、仕事と介護の両立の考え方、介護保険の基礎知識などを解説いただきました。
――パネルディスカッションでの人選はどのようにされましたか。
松下:介護と一口にいっても、一人ひとり状況は異なってきます。できるだけ事例に偏りが出ないように、年齢や役職もさまざまな社員に登壇いただき、職場でのコミュニケーションの取り方や、支援制度の利用事例、あとは両立において苦労した点、その苦労をどうやって乗り越えたかなどをお話しいただきました。
――実際に実施してみての反響はいかがでしたか。
松下:どれだけの方に参加いただけるのか不安はありましたが、蓋を開けてみたら非常に多くの方に参加していただけました。「もっと話を聞いてみたいので、今後も実施してほしい」という声もいただきました。
●セミナー参加者の声(一部抜粋)
介護に対しては漠然とした不安を抱いていましたが、セミナーを通じ具体的な対応策や心構えを学ぶことができ、将来に対して心の準備ができました。
ただ情報をインプットするだけでなく、理解を促す内容となっていた点がよかったです。
さまざまな立場や状況の人の話が聞けたことがよかったです。介護をより身近な問題として捉え、理解を深めることができました。
介護をする側が心身ともに健康を維持するためにも、家族や会社と協力し、利用できるサービスは利用し、介護に向き合っていくことが大切であると感じました。
親の介護を負担に感じてしまう自分に罪悪感を抱えていましたが、介護との向き合い方について考えるきっかけとなり、気持ちの面で少し救われました。
部下から相談を受けたときに役立つ心構えが得られたように思います。
●パネリストの方々の声(一部抜粋)
皆さんにお伝えすることで、自分の今の状況を整理することもできました。自分の経験が参加者の皆さんの介護について考えるきっかけや、参考となればうれしいと思っています。
介護の対象者は親に限らず、パートナーやお子さまなど多岐にわたっていました。ほかの方のご経験を共有いただいたことで、自分のなかにあった「介護」=「高齢」という認識も少し変わりました。
今後も仕事と介護の両立のための支援制度を拡充する予定
――日本郵政グループでは、仕事と介護の両立を支援するために、どのような制度を用意していますか。
生駒:主に「介護休業」「介護部分休業」「介護休暇」と、3つの制度を設けています。

――実際にこれらの介護支援制度は社内でどれくらい利用されていますか。
生駒:介護休業を取得した社員は359名(2023年。女性166名、男性193名)ですが、介護にかかわっている社員はこれ以上にいるはずです。あらためて「意識調査」という形で全社員にアンケートを取り、介護状況の実態把握をしようと試みています。
――正確な実態をつかむことで、次の施策の指針ともになりそうですね。
生駒:そうですね。例えば介護部分休業制度に関しては、法律を上回る5年(連続または断続)を取得できるようになっていますが、当事者の方々からしたら、期間の長さよりも単発で何度も取得できる方がうれしい、ということもあるかもしれません。使う方にとって便利で質の高い制度を、今後とも整備していければと思っています。
制度の充実とともに、悩みを共有し合える環境もつくっていきたい
――今後、働きやすい環境を実現するために、取り組んでいきたいことはありますか。
松下:アフラックでは、すべての社員の多様性を尊重し、その能力を最大限に発揮できる環境をつくるダイバーシティ&インクルージョンの推進に積極的に取り組んできました。介護、育児、性の多様性など、さまざまな施策を行ってきましたが、これらはどこか特定の企業の取り組みだけが進めば良いものではないと思っています。今後とも引き続き、日本郵政グループといっしょに取り組んでいけたらと思います。
生駒:日本郵政グループも、アフラックから学べるところは学んで、実態把握から制度の整備まで、今後も進めていきたいと思っています。また、介護に限らない話なのですが、チームのなかでお互いの問題を共有し、社内で支え合える環境をつくっていけたらなと思います。特に介護の問題は、社会的にまだまだ人に相談しづらいという声があります。例えば、今回のようなセミナーを実施することで「そういえば、この間のセミナーでこんな話があったよね」と同僚や上司と会話をするきっかけになるかもしれません。そのように、コミュニケーションを取りやすい環境や風土をつくる支援もしていきたいと思います。
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