日本郵便と地域が共に歩むサステナブルな未来! 奈良県生駒市と郵便局の取り組み

日本郵便と地域が共に歩むサステナブルな未来! 奈良県生駒市と郵便局の取り組み

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奈良県生駒市と生駒市内にある全11の郵便局が、地域活性化と市民生活の質の向上を目指し、2020年、包括的連携に関する協定を締結しました。生駒市内の郵便局は、これまでも生駒市と連携を図ってきましたが、協定締結を機にさらにそれを強化。「自治体新電力会社いこま市民パワーからの電力供給」や「いこま空き家流通促進プラットホームの仲介」「再配達削減(OKIPPA(オキッパ))」「ラッピングポスト制作」など、連携によって生まれた取り組みの分野は多岐にわたります。郵便局と生駒市の取り組みは、2024年12月1日に開催された読売新聞等が主催する「ニッポンの未来フォーラム」でも紹介され、注目を集めています。
そうした取り組みの意義や成果について、施策にかかわる生駒台郵便局長 中村 大輔(なかむら だいすけ)さんと生駒鹿ノ台郵便局長 杉本 浩之(すぎもと ひろゆき)さん、そして生駒市役所の地域活力創生部 SDGs推進課長 木口 昌幸(きぐち まさゆき)さん、総務部 防災安全課長 甫田 和佳子(ぼた わかこ)さん、子育て健康部 健康課長 渋谷 英生(しぶたに ひでお)さんにお話を伺いました。

中村 大輔(なかむら だいすけ)さん

生駒台郵便局長

中村 大輔(なかむら だいすけ)さん

1995年、郵政省(当時)に入省。大阪市内の郵便局で窓口業務を経て、2008年より現職。2016年より地方公共団体担当局長として地域とつながる事業を推進している。

杉本 浩之(すぎもと ひろゆき)さん

生駒鹿ノ台郵便局長

杉本 浩之(すぎもと ひろゆき)さん

2003年、日本郵政公社(当時)に入社。2024年に開催された「第6回地域共生社会推進全国サミットinいこま」の実行委員も務め、地域との連携に尽力している。

木口 昌幸(きぐち まさゆき)さん

生駒市 地域活力創生部 SDGs推進課長 公民連携推進室長兼務

木口 昌幸(きぐち まさゆき)さん

甫田 和佳子(ぼた わかこ)さん

生駒市 総務部 防災安全課長

甫田 和佳子(ぼた わかこ)さん

渋谷 英生(しぶたに ひでお)さん

生駒市 子育て健康部 健康課長

渋谷 英生(しぶたに ひでお)さん

地域の未来を共に考えていくために。奈良県生駒市と郵便局が包括連携協定を締結

生駒市役所

――生駒市と生駒市内の全11の郵便局が包括連携協定を締結した経緯を教えてください。

中村:これまでも生駒市と生駒市内の郵便局は地域安全や災害時の協力などで、共にさまざまな活動をしてきましたが、さらに連携を深めるために締結したのが包括連携協定です。そこには「地域や組織を元気にしたい」という想いが込められています。市に提案するにあたり、まずは小紫(こむらさき)市長に連絡を取らせていただき、市がこれからやりたいことや、郵便局が協力できることなどをざっくばらんに意見交換させていただきました。その後、幾度も協議を重ね、市役所のあらゆる課の方々からご意見を頂戴し、2020年3月に協定が締結されました。

木口:締結の後押しとなったのが、マイナンバーカードやマイナポータルの普及でした。当時、申請に訪れる人で市役所の窓口がパンクするのではないかという懸念があったため、協定前の先行実施という形で生駒市内すべての郵便局に、マイナポータル用の端末(※)を設置していただいたんです。

※本取組は既に終了済みです。

中村局長が勤める生駒台郵便局

中村:せっかく連携協定を締結するなら、特色のある内容にしたいという想いがあり、それが実を結びました。

互いの資源を有効活用し、さまざまな施策を実施

――締結後に取り組んだ施策について、具体的に教えてください。

木口:2023年4月に、生駒市は国から脱炭素先行地域(※)に選定されました。2030年までに対象エリアの脱炭素化をする事業計画があるのですが、その対象施設のなかに、郵便局の建物も入れさせていただき、これまでに市内3つの郵便局がエネルギーの地産地消を推進している「自治体新電力会社いこま市民パワー」からの電力調達に変わりました。さらに、事務委託により、いこま市民パワーのサービスについて説明を希望される事業所に対し、郵便局窓口で申込を受付けていただいています。この協定が締結されたからこそ、実現したことですね。

(※)脱炭素先行地域とは、2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)における電力使用に伴うCO2排出を実質ゼロにするだけでなく、運輸部門や熱利用なども含めて温室効果ガス排出削減についても、国全体の2030年度の目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域。「脱炭素ドミノ」の実践モデル。

中村:環境に配慮した施策としては、置き配バッグ「OKIPPA」の普及も進めています。再配達が削減されると、配達車両から排出されるCO2の削減にもつながります。

甫田:私は災害関係の担当ですので、災害が起きたときに避難所に郵便物を届けてもらうといったことなどを話し合っています。災害は規模や種類により対応が全然違うので、スピードが求められますが、協定を結んだことにより話し合いがしやすくなったと実感しています。

中村:生駒市では、「いこま空き家流通促進プラットホーム」といって、専門家が空き家問題解決をサポートする取り組みも積極的に行っています。郵便局には相続の手続きに来られる方も多いので、協定締結後は事務委託により、空き家について、市や専門家への相談を希望される方に対し、郵便局窓口で「いこま空き家流通促進プラットホーム」への相談申込の取次業務も担っています。

渋谷:私は市制50周年イベントの一環として、ラッピングポストの制作にかかわりました。奈良県高山茶筌(ちゃせん)生産協同組合および奈良クラブと協働し、市内4カ所にラッピングポストを設置しました。奈良クラブのポストについてはお披露目会を開き、生駒市出身で奈良クラブの平松 遼太郎(ひらまつ りょうたろう)選手(現在は他クラブに移籍)にも来ていただきました。

平松 遼太郎(ひらまつ りょうたろう)選手
生駒市、生駒市内郵便局、奈良クラブが協働で制作したラッピングポスト
4カ所のうち2カ所に設置されている、生駒市の伝統的工芸品「高山茶筌」の生産協同組合と制作したラッピングポスト

中村:協定締結後、郵便局は地域との連携も積極的に行ってきました。そんななか、生駒市で障がい者支援活動を行っている一般社団法人 無限に、日本郵便年賀寄付金配分事業(※)に申請することをご提案させていただいたんです。団体の代表が事業を企画し、申請をしたところ、見事採択となり、障がいのある方の社会参加のための施設として、年賀寄付金で「まほうのだがしや 南チロル堂」が建てられました。この店舗では、子どもの貧困対策を支援する取り組みなども行われています。

(※)年賀寄付金配分事業とは、地域社会の持続的発展に貢献することを目的とし、寄付金付年賀はがきなどの販売により集まった寄付金を地域で社会貢献活動を行っている団体に配分する事業。

南チロル堂

――さまざまな施策が次々と実行されていて、すばらしいですね。目に見える形で住みやすい街づくりが進んでいると感じました。

社会を"つなぐ"役割を担い、市民生活の質の向上を目指す

――市と郵便局が連携したことで、お互いのどのような強みが活かせたと思いますか?

中村:生駒市は、情報力もそうですが、それと同時に実行に移すパワーがすごいと思います。おかげで、郵便局だけでは実現できなかったことが形となり動き出すことができました。

木口:市役所と違い、郵便局は各地域に拠点があることが強みだと思います。郵便局といっしょだからこそできる、拠点を活かした施策を今後も常に意識して考えていきたいです。

渋谷:郵便局は市民の方から信頼と安心感があるのも強みですね。幅広い方々が気軽に利用できるという点が魅力だと思います。生駒市は南北に長いですが、それぞれの地域に根付いた郵便局があり、市と連携してくれるのはありがたいです。今後も共に協力しながら市民の生活の向上を目指したいです。

――未来へ向けて生駒市をどのような街にしていきたいですか?

生駒駅前の様子

杉本:生駒市は住宅都市ですので、市民一人ひとりが主体的にかかわっていかないと効果的な取り組みができないという側面もあります。郵便局と共に、市民を巻き込む形で街づくりを進めていきたいですね。

生駒鹿ノ台郵便局と杉本局長

中村:地域が元気になって、住んでいる人も元気になって、企業も元気になってというのが最終的な理想ですね。郵便局は"つなぐ"というのが役割かなって思うんです。人と人をつなぐ、人と商品をつなぐ、企業と企業をつなぐ......。市と連携したことで新たなつながりが生まれているので、今後もつなぐことを大切にしながら、元気な街づくりの力になれればと思います。

1枚のはがきから始まる社会貢献。地域の皆さまへ笑顔を届ける年賀寄付金

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