地域とともに歩む日本郵便・能登半島復興支援への挑戦

地域とともに歩む日本郵便・能登半島復興支援への挑戦

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2024年11月16日と17日の2日間にわたり、石川県金沢市にて能登復興支援イベント「金沢から能登にエール」が開催。当日は、JR金沢駅前にある石川県立音楽堂および金沢駅西イベント会場にて、子どもから大人まで誰もが楽しめるさまざまなイベントが行われました。

このイベントの企画への参画はもちろんのこと、現場で復興支援活動に携わっている日本郵便株式会社 北陸支社 郵便・物流営業部の田井 佐苗(たい さなえ)さんと紺野 真由(こんの まゆ)さんのお二人に具体的な活動内容や復興活動への想いを伺いました。

田井 佐苗(たい さなえ)さん

日本郵便株式会社 北陸支社 郵便・物流営業部 主任

田井 佐苗(たい さなえ)さん

2013年入社。富山県や石川県の郵便局にて3年間配達業務に従事した後、北陸支社に異動となり、現職。

紺野 真由(こんの まゆ)さん

日本郵便株式会社 北陸支社 郵便・物流営業部

紺野 真由(こんの まゆ)さん

2020年入社。入社後は富山県内の郵便局で主に窓口業務を担当。2024年4月から現職。

能登復興支援イベント「金沢から能登にエール」レポート

「金沢から能登にエール」は、能登半島地震や記録的豪雨で大きな被害を受けた能登の復興に向けて、エールを送る目的で開かれたイベントです。イベント会場はJR金沢駅の目の前ということもあり、多くの皆さんが訪れ、温かな雰囲気に包まれました。

イベントは能登町の弥栄太鼓(いやさかだいこ)保存会による迫力ある演奏で幕を開け、日本郵便の加納 聡(かのう さとる)北陸支社長による開会の挨拶と、馳 浩(はせ ひろし)知事による挨拶の言葉が送られました。

会場の石川県立音楽堂
弥栄太鼓保存会の皆さん。勇壮な太鼓の音が響き渡る
挨拶をする馳知事(左)と加納北陸支社長(右)
石川県から提供を受けたワークショップでのはがきに使用する「応援消費おねがいプロジェクト」シールは能登復興支援に一役買っている

会場には、日本に1台しかない移動型郵便局「ポストカー」が登場。3つの投函口は「自分へ」、「誰かへ」、そして「能登のみなさんへ」と書かれていて、送りたい相手へ向けてはがきを投函することができます。

シックなボディカラーが目を引くポストカー(左)、ぽすくまをはじめキャラクターたちも大集合!(右)
限定のポストカードを投函。その場で書いたはがきは無料で差し出しができる

笑い文字はがき作りコーナーでは、誰もが手軽に笑い文字を体験できます。まず顔を選び、笑い文字の代名詞でもあるほっぺの朱入れを入れていきます。そして、誰かを想いながら言葉を書いて想いを伝えます。

笑い文字は受け取る人はもちろん、書いた人自身にも幸せな気持ちを届けてくれる

そのほか、能登の名産品を販売する音楽堂マルシェや、金沢駅西イベント会場ではバンド演奏やダンス披露の催しが行われ、賑わいを見せていました。

能登へのエールを送る今回のイベントは、多くの方々の温かい想いと力強い応援が集まる場となりました。このエールが、能登の復興と元気を後押しする力となることを願っています。

「笑い文字」をきっかけに全国からの支援が能登へ

――これまでに北陸支社が実施した、能登半島地震に対する復興支援活動について教えてください。

田井:北陸支社では、以前から全国のイオンモールを会場に実施する「ふみの日イベント」や「手紙ワークショップ」などのイベントを継続的に実施してきました。2024年1月1日に発生した能登半島地震以降は、それらに復興支援の要素が加わるようになりました。7月7日には、のと里山空港の開港イベントに合わせて「手紙ワークショップ in のと里山空港」を、7月27、28日にはイオンモール新小松にて「ふみの日イベント」を開催しました。

――イベントではどのような企画が催されたのですか。

田井:この2つのイベントでは、来場者に「笑い文字」を使って被災者への応援メッセージと能登からの感謝のメッセージを作成していただきました。「手紙ワークショップ in のと里山空港」で作成した「笑い文字」は「ふみの日イベント」会場で展示された後、能登にある7つの郵便局で順次展示を行いました。また、8月には近江町市場主催の絵画コンクールに合わせて「手紙ワークショップ」を開催し、能登に向けたメッセージの作成や能登の名産品販売などの復興支援を実施しました。

――イベントに「笑い文字」の作成を追加した経緯を教えてください。

田井:もともとは東北支社から北陸支社に「笑い文字」が寄贈されたことがきっかけでした。この感動の輪を広げたいという想いに加え、弊社東北支社主催のKITTEでのイベントで作成された笑い文字はがきを奥能登の7つの郵便局で展示したことに、笑い文字普及協会の代表である廣江 まさみ(ひろえ まさみ)さんが感激され、「自分たちも能登復興支援のお手伝いがしたい」と言っていただき、企画が進みました。

紺野:のと里山空港で行われた「手紙ワークショップ」では、来場いただいた地元の方たちに「私たちは元気だよ」というようなメッセージを送っていただき、イオンモール新小松での「ふみの日イベント」の際には能登へのエールを「笑い文字」に託して作成いただきました。体験者のなかには涙を流されている方もいらっしゃったんです。もしかしたら、心のなかに閉じ込めていた感情を文字として表現することで、何か精神的に解放されたのかもしれませんね。

見る人の心をほっこりと和ませてくれる笑い文字

――笑い文字を書くことによって「癒やし」を得た方もいそうですね。

田井:そうですね。笑い文字普及協会の方々は、単に書き方の指導をされるだけではなく、ほっぺを朱色に塗るときなどに、いろいろなお話をされるので気持ちが癒やされる部分もあったのかもしれないですね。私たちは手紙を書くためのツールは提供できますが、被災された方の心のケアまでは力が及ばないので、笑い文字普及協会の方々に来ていただいてよかったと思いました。

復興支援策を通じて、行動することの大切さを実感

――復興支援施策を実施されているなかで、課題に感じていることはありますか。

田井:北陸支社には災害対策本部があり、いまだに本社を交えて会議を開催しておりますが、そこで話に出たのは、やはり心のケアに関することでした。先ほどの話と重なるのですが、私たちに何ができるのか、できることは少ないかもしれないですが、大切に考えなければいけないことだと思っています。

――北陸支社として企画中の復興支援活動を教えてください。

田井:甚大な被害を受けた珠洲、輪島、穴水、能登の2市2町で「年賀状の作成をお手伝いするイベント」を実施しました。実はこの企画が提案された際に、支社内で「年賀状を出していいのだろうか」という意見が出たんです。「あけましておめでとう」の文字が、被災された方々にどう響くのだろうかと。ですので、2市2町の役場にイベント提案で伺う際も「イベントを行ってもいいのでしょうか」という心持ちで行ったんですね。ところが、役場の人たちからは「すごくいいね。ありがとう」と受け入れていただけました。不安と心配がありましたが、とても喜んでいただけたので安心しましたし、企画してよかったと感じました。

――企画が受け入れられて、本当によかったですね!

紺野:はい。年賀状に関係する復興支援の一つとして、仮設住宅にお住まいの方々に使っていただくための「住所スタンプ」を作成しました。今まではパソコンで年賀状を作成していたけれど被災して壊れてしまったという方や、仮設住宅の住所を覚えられていない方もいらっしゃると思うんです。そんな方々のために、仮設住宅の共有スペースなどにスタンプを置き、気軽にお使いいただけるようにしました。

田井:被災された方のなかには、まだ心情的に「あけましておめでとう」と書けない方もいらっしゃると思います。そこで、住所のスタンプとは別に「実りある一年になりますように」とか「みんなが笑顔になれる一年になりますように」などと文言を変えたスタンプも作成しました。イベントに参加した方のなかには涙を流して喜んでくださる人もいらっしゃいました。

――復興支援活動を通じて、ご自身のなかで何か心境の変化はありましたか。

田井:地震発生から間もないころは、何かをしたい気持ちはあっても、逆に「ありがた迷惑と思われてしまうのではないか」とためらってしまうところがありました。ですが、今回のイベント「金沢から能登にエール」もそうですし、「手紙ワークショップ」や「ふみの日イベント」などを通じて、喜んでくださっている方々を目の当たりにしたことで、アクションを起こす大切さを実感しています。

紺野:私の場合、心境の変化ではなく"認識の変化"という感じです。郵便局は日本全国にあって、当社はそのネットワークで結ばれた企業であることを当たり前のように感じていましたが、ほかの地域に勤める社員から支援していただいたことで、私たちには全国に仲間がいるのだと改めて認識するようになりました。それを心強く感じています。

「イベントは大変でしたが、引き続き能登が笑顔になるように復興支援に取り組んでまいります」とイベントでバンド演奏を披露した、北陸支社の山本 義弘(やまもと よしひろ)さん(中央)

能登復興支援イベントや笑い文字を通じた温かなエールが、能登の未来に明るい希望を灯すきっかけになれば幸いです。これからも日本郵便は地域の一員として、そして地域と全国をつなぐ架け橋として、能登を支える取り組みを進めてまいります。

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