1枚のはがきから始まる社会貢献。地域の皆さまへ笑顔を届ける年賀寄付金

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11月1日から販売している年賀はがき。毎年さまざまなデザインや券種がありますが、寄付金付の「年賀はがき・年賀切手」があることはご存じでしょうか。お客さまに寄付金付の年賀はがきをご購入いただくことで集まった寄付金は、日本郵便を通じて社会に役立てられています。今回は、年賀寄付金の取り組みについて、日本郵便の担当者と、寄付金を活用された団体の方へのインタビューを通じてご紹介します。

日本郵便株式会社 総務室 担当部長

中村 章(なかむら あきら)さん

日本郵便株式会社 総務室 課長

飯山 裕昭(いいやま ひろあき)さん

日本郵便株式会社 総務室 係長

織茂 美帆子(おりも みほこ)さん

日本郵便株式会社 総務室 主任

渡邉 真美(わたなべ まみ)さん

寄付金の累計額は519億円。70年以上の歴史を持つ年賀寄付金

年賀寄付金の始まりは、戦後の復興間もない1949年のこと。国民の福祉の増進を図ることを目指して、「寄付金付お年玉付郵便はがき」の発行からスタートしました。

飯山:73年の歴史がある年賀寄付金の目的は、地域や社会の課題解決に取り組む団体を支援することです。時代の移り変わりに伴い寄付の配分対象となる事業範囲が拡大されながら、さまざまな活動を通して地域に役立っています。

寄付金を活用する事業範囲は、法律に定められた10の分野に分かれています。

渡邉:具体的には、団体の福祉や人材育成といった活動に関するもののほか、施設の改修や車両の購入などに充てられます。2022年度分の寄付金は2億円を超えており、全国155の団体に寄付金を配分しました。年賀寄付金の事業が始まった当初は、1円の寄付金が付いたはがきだけの発行でしたが、1991年からは切手も発行しています。年賀寄付金が始まった1949年から現在に至るまで、年賀寄付金の配分額の総額は519億円にのぼります。

寄付金の活用事例と活動団体の担当者さまの声

年賀寄付金は、お客さまが購入した寄付金付「年賀はがき・年賀切手」の代金に含まれており、寄付金分が日本郵便を通して非営利の活動団体へと渡り、地域の貢献活動に活かされます。

飯山:私たち日本郵便総務室は事務局の役割を担っていますが、事務局が選考に直接かかわることはありません。寄付金の助成先の選考にあたっては、審査委員会を設け、有識者が審査しています。有識者が審査した助成先で活用されるのも年賀寄付金の特徴だと思います。

実際に寄付金がどのように活用されているのか、2022年度に活用された事例の一部をご紹介します。

お話を伺ったのは......

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

 末岡 真理子(すえおか まりこ)さま

日本郵便年賀寄付金助成金について、どのように活用されましたか?

末岡:こども食堂をハブとした持続可能な地域づくりのための包括的な食支援事業に活用しました。また、食支援事業に加えて、こども食堂等の子どもの居場所での絵てがみ教室や絵てがみコンクールの企画・実施にも活用しています。すでに開催した絵てがみ教室では、子どもたちが年賀状を書く体験をしました。年賀状を書くにあたって、干支について学ぶこともでき、初めて年賀状を書く子どももおり、はがきや手紙に触れ、文化的な体験をするよい機会になっています。さらに、Web会議形式ですがこども食堂間での交流会を開催したりもしました。

活用した成果や反響はいかがでしたか?

末岡:絵てがみ教室やこども食堂間での交流会を開催したことで、佐賀県内のこども食堂の横のつながりを生み出すことができました。また、この横のつながりの創出に携わってくださった地域ネットワーク団体である「さが・こども未来応援プロジェクト実行委員会」の組織基盤の強化にもつながりました。さらに、郵便局という様々な世代の人が訪れる場所で、「フードドライブ」の取り組みにスポットライトがあたり、取り組みの意義が改めて各所に共有されたことで、持続可能な形で、全国での実施検討に向けた下地となりました。年賀寄付金の活用にあたり、フードドライブを行っている郵便局をまわったのですが、フードドライブの取り組みに携わることが郵便局の社員の方々のモチベーションアップにもつながっているという声を聞いてうれしく感じています。今後は、ほかの地域で同様の事例を継続していければと思います。

年賀寄付金の活用を通じて感じたことや、今後の展望を教えてください。

末岡:郵便局は、つながりの拠点で、まさに地域のインフラです。郵便局があることで、人とのつながりが生まれていると思っていまして、私たちは、こども食堂もそのような「地域のインフラ」となることを目指しています。具体的には、2025年までに小学校区に1カ所のこども食堂がある状態を実現したいと考えていますが、郵便局も2万4,000局あると伺っています。全国にある小学校の数も同じくらいの数なので、こども食堂も地域ごとのつながりが実現できたら......と夢見ています。

子どもたちの笑顔が広がるこども食堂。郵便局のような「地域のインフラ」をめざします。
(写真提供:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ)

単なる"絵入り"ではなく寄付金付がポイント!もっと認知を広めていきたい

全国各地でさまざまな形で地域の皆さまに笑顔を届けている年賀寄付金。着実に社会の課題解決に役立っています。

織茂:助成先の担当者さまからは、感謝のお言葉をいただくことが多くうれしいです。助成先が決まると、助成先の団体とふだん利用している地域の郵便局とで贈呈式を行うこともありますが、その様子を見て、よい取り組みだと改めて実感される方も多いようです。

渡邉:皆さんから「こんなにいいことをやっているなんて知らなかった」「これからもやっていけたらいいね」という意見を聞くと、社会貢献できている事業だと実感できます。一方で、認知はもっと広めていければと思います。

中村: 私自身、郵便局長として郵便局で勤務していた時、年賀はがきの販売経験がありますが、お客さまのほとんどは、寄付金付のはがきを単なる「絵入りのはがき」と認識されていたように思います。お客さまから「絵入りのはがきをちょうだい」と言われた際に、寄付金の使い道などについても、もっとご案内してもよかったかもしれないですね。

現在の寄付金付「年賀はがき・年賀切手」は、はがきは絵入りのものが68円で、その内5円が寄付金です。切手はお年玉付66円と87円の2種類あり、その内3円が寄付金です。

渡邉:はがきは68円のうち5円が寄付金なので、絵入りのはがき分としては63円で無地のはがき代金と同じなんです。無地のはがきよりも5円高いのは絵の代金も入っているからと誤解されがちなのですが、実際には寄付金の分だけなので、絵の代金がかからず寄付までできる特別なはがきなんですよね。

中村:年賀寄付金に関する情報を正しく発信していき、寄付金が、地域の課題解決につながっていることを広めていきたいと思います。

飯山:郵便局の窓口で寄付金付のはがきだとお客さまにおすすめして、寄付金の活用事例を冊子でお見せしたら喜んで購入されたというエピソードも聞いています。お客さまからは、「寒い季節ですが、心が温かくなる取り組みですね」というお声をいただいたそうです。そういったお声をよりたくさんいただけるよう、認知を広めていきたいと思っています。

担当者それぞれが感じる、年賀寄付金の魅力とは?

織茂:年賀寄付金は、年齢や住んでいる地域を選ばず参加できる寄付です。例えばどこかの団体に寄付をしようという気持ちがあっても、寄付金箱にお金を入れるのはハードルが高いと感じる方も、なかにはいらっしゃると思います。年賀寄付金は、はがきや切手という必要なものを買う行為が寄付に直結するので、誰もが気軽に参加できる制度だと思っています。そうした年賀はがきを通じて出来る寄付は、もしかしたら、人生で初めて寄付をする経験になるかもしれません。もっと年賀寄付金の理解が広まって、お客さまから、「寄付金になるのであれば、こちらのはがきを買うわ」と言っていただけるものになるといいなと思います。

中村:はがき・切手についている寄付金は、一つひとつは小さな金額であっても、郵便局が間に入り、全国から集まることで大きな金額となります。私たちは事務局として、この取り組みに携わることができ、誇らしく感じています。

渡邉:1枚のご購入からでも社会貢献につながることが年賀寄付金の魅力と感じています。事務局としてこれからも、こうした年賀寄付金の魅力を、お客さまや窓口等で直接お客さまとやり取りをする郵便局の局員の皆さんへお伝えしていきたいと思います。

飯山:年賀寄付金は、貧困や障がい者支援、高齢者支援といった分野でも役立てられていますので、郵便局として社会の課題解決に貢献できていると感じます。日本の年賀状の文化と併せて、年賀寄付金の事業も末永く続くよう取り組んでいきたいと思います。

寄付金付「年賀はがき」は全国版のほかに、各地域の風物などが描かれた27種類の地方版があります

寄付金付「年賀はがき・年賀切手」を通じて、お預かりした寄付金を大切に役立てている年賀寄付金。新年のご挨拶には、ぜひ寄付金付「年賀はがき・年賀切手」をご利用ください。

※撮影時のみマスクを外しています。

郵政にまつわるエトセトラ Vol.1 年賀状の歴史
「森を守る」年賀はがきが、できました
            

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