私のオンとオフ スイッチインタビュー 特技を活かして「安全運転」で地域に貢献! 全国の高校で唯一の「二輪車競技部」で指導をする郵便局社員

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約24,000ある郵便局をはじめ、全国で働く日本郵政グループの社員。この企画では、それぞれの立場で仕事に取り組む社員の姿勢と知られざるプライベートでの横顔、そんなオンとオフの両面で活躍する社員の魅力ある個性を掘り下げていきます。今回話を聞いたのは、熊本県の清和郵便局に勤務する本田 和幸(ほんだ かずゆき)さん。郵便局で配達業務を担当する一方、全国の高校で唯一の二輪車競技部の外部監督として高校生たちに安全運転技術の指導をされています。その活躍の様子とオンとオフの意外な共通点に迫ります。

清和郵便局
本田 和幸(ほんだ かずゆき)さん
2021年、日本郵便株式会社に入社。二輪車両での配達業務に従事。
人と人との距離の近さが心地よい地域で勤務
――清和郵便局のある山都(やまと)町はどのような地域ですか。

本田:少子高齢化でお年寄りの多い地域ですが、お客さまとの距離が近く、温かみのある地域です。例えば、農家のお客さんが、「野菜が余ったけん、持っていかんね(持っていって)」と声をかけてくださったり、お届けした荷物に対して「これ、〇〇におる私の孫からたい」と教えてくださったり。おじいちゃんおばあちゃんっ子の自分としては、皆さんすごく接しやすいです。
――郵便局に入社したきっかけはなんでしょうか。
本田:以前は熊本県の中心部の方で働いていたのですが、やはり大好きな地元で働きたいと思って戻ってきました。先に清和郵便局で働いていた地元の同級生から「うちの局で配達員を探しているから、やってみないか」と誘われて、バイクの運転も好きだったので入社することにしました。

――業務としては二輪車両での配達がメインとのことですが、仕事でやりがいを感じる部分はどんなところですか。
本田:荷物を届けた際、お客さまから温かい言葉をかけていただけることがやりがいにつながっていますね。夏場などに「お茶ば、一本やるけん」とか、本当にささいな会話なんですが、それがうれしいですね。

――配達するときに、意識していることや、気をつけていることはありますか。
本田:安全運転はもちろんのこと、郵便物を間違いなくお客さまのもとに届けるということに一番気をつかっています。同じ名字の方が多く住む地区もあるので、しっかり氏名を確認してから配達することが大事です。当たり前のことかもしれませんが、常に気を引き締めながら配達に取り組んでいます。


バイクが必要不可欠な地域だからこそ生まれた部活「二輪車競技部」
――本田さんが外部監督を務められている熊本県立矢部高等学校(以下、矢部高校)の二輪車競技部について教えていただけますか。

本田:設立の経緯からお話しすると、矢部高校では、学校の許可を得てバイク通学をしている生徒が昔から多くいました。そこで、生徒の安全運転の意識を高め、技術の向上を目指すことを目的として、1996年に二輪車競技部が立ち上がりました。
主な活動内容は、二輪車両の安全運転技能で競う「二輪車安全運転大会」の大会種目に沿った運転技術の練習、ほかには中型バイクなどの免許取得に向けた練習も行っています。
――学校がバイク通学や、バイクの部活動を認めているというのが珍しいですね。
本田:バイクは危険な乗り物というイメージで禁止する学校も多いですが、山都町は坂道が多く、徒歩や自転車だけでは通学困難な地域なんです。そのため、矢部高校では、バイクに乗せて、安全運転技術や交通ルールを学ばせるという指導方針をとっています。
――なぜ、本田さんが二輪車競技部の外部監督を務めるようになったのでしょうか。

本田:実は矢部高校二輪車競技部の出身でして。子どものころから刑事ドラマなどの影響でバイクには漠然とした憧れを持っていました。いざ矢部高校に入学してみたら、バイクの部活があるということだったので、じゃあ入ってみようと。社会人になってからも、二輪車安全運転全国大会の「大型クラス」で優勝したいという目標があったので、後輩の指導プラス、自分の練習もかねて、二輪車競技部に顔を出していたんです。そこからコーチを経て、監督に就任したという感じですね。

――実際に本田さんご自身は、二輪車安全運転全国大会「大型クラス」での優勝経験があるとお聞きしていますが、監督としてはこれまでにどのような成績をおさめていますか。

本田:自分が監督に就任した前年(2020年)に、二輪車安全運転全国大会がなくなってしまったんです。ですので、監督としては全国大会には行けていないのですが、コーチ時代は、毎年、指導した生徒が二輪車安全運転全国大会に出場していました。
――コーチや監督のやりがいはなんでしょうか。
本田:やはり、生徒が成長する姿を見られることには大きな喜びを感じます。また、仕事で配達をしているときに、二輪車競技部の子がバイク通学する姿を見かけることがあるのですが、発進のときにちゃんと後方確認をして安全運転を実践しているのを見ると、「ちゃんと教えたことをやってるな」とうれしくなりますね(笑)。
――外部監督として今後取り組んでいきたいことはありますか。

本田:実は全国大会に続き、2023年を最後に二輪車安全運転熊本県大会が廃止になってしまい、生徒のモチベーションをどう維持するかが課題となっています。そこで取り組もうと考えているのが、二輪車競技部の活動を外に広げることです。いままでのように学校のなかだけで指導するのではなく、ほかの高校のバイク通学をしている生徒さんや、一般の初心者ライダーさんなどに、矢部高校の生徒が安全運転の技術を教えていくような形をつくり、二輪車両の交通事故を減らすことに貢献できればと思っています。
「二輪」という共通点で、オンとオフの相乗効果が生まれている
――配達の仕事と外部監督の活動が、相乗効果を生むことはありますか。
本田:どちらも二輪車両の運転なので、直結していますね。競技大会の練習で培った技術が配達業務に活きたり、逆に配達で地域を走っているなかで気づいた安全運転のポイントを二輪車競技部の生徒にアドバイスしたり、そんな相乗効果があります。

――両立をするうえで気をつけていることを教えてください。
本田:仕事は仕事、監督は監督と区切りをつけて取り組むことです。例えば部活の日に残業になってしまいそうなときには、急いで仕事を終わらせようとはせず、顧問の先生に練習メニューを伝えて指導をお任せし、自分は配達に集中するようにしています。あくまで自分の主軸は郵便局での仕事ですので、その優先順位は間違えないように意識しています。
郵便局の仕事も、二輪車競技部も、自分一人の力でできることではありません。オンもオフも無理なく継続的に取り組めるよう、職場の方々や、学校の先生、ほかの外部指導者の方とも連携をとりながら、両立に取り組んでいます。


郵便局社員としても外部監督としても、地域に貢献していきたい
――郵便局社員と、二輪車競技部の外部監督、2つの活動を両立させることで、将来どのような姿を目指していきたいですか。
本田:いずれの活動を通じても、地域に貢献できる存在を目指したいです。最初にお話ししたとおり、山都町は高齢の方が多い地域です。配達は地域の方々と接する機会の多い仕事でもありますので、配達業務を通じて地区の方々を見守ることにつながればいいなと思っています。また外部監督の活動に関しても、交通事故を減らしたいという思いとともに、生徒たちを指導することで、少しでも大好きな地元の役に立てればという気持ちでかかわらせていただいています。

やはり自分は山都町という町も、住んでいる人も大好きなので、この地域を少しでも盛り上げることができたらうれしいですね。

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