街とつながるJP百景 Vol.4 敷地内に精米所開設! 米どころ・富山のニーズに応える水橋郵便局

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日本全国にある2万4,000もの郵便局。それぞれの郵便局の景色は、その街で働く人、暮らす人とのつながりによって作られています。本企画では、地域と協力しながら、ユニークな取り組みをして独特の景色を作りだしている郵便局をピックアップ。第4回は、富山県富山市 水橋郵便局を紹介します。

精米所がある郵便局~お客さまの反応は~

雄大な立山連峰が南東部にそびえる一方、北部は魚介類の宝庫・富山湾に面する、北陸地方の中核都市・富山市。水橋郵便局は富山湾から約1キロの場所にあり、周囲には住宅や農地のほか工場などが点在しています。開局は1874年。地元住民や在勤者の拠りどころとなって、150年近くの歴史を重ねてきました。
2022年5月、そんな水橋郵便局の正面入口横に開設したのが「精米所」。地域に根付いた企業である、株式会社タイワ精機と連携した取り組みです。

水橋郵便局局長の中林 謙也(なかばやし けんや)さんは、精米所開設についてこう話します。

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水橋郵便局 局長 中林 謙也さん

「私自身精米機を使うユーザーの一人ですし、この近隣は精米所がないので、車で少し離れた場所に行かなければならない不便さは知っていました。なので、郵便局の敷地内に精米機が設置されれば、地元の方にとっては非常に便利になると思いました」(中林さん)

2020年から水橋郵便局に勤務する、花染 さくら(はなぞめ さくら)さんは、個人的に精米所を利用した経験がほとんどなく、「正直、あまりピンときませんでした」とのこと。

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水橋郵便局 花染 さくらさん

「でも、新米シーズンには、30kgの米袋を20袋も送るお客さまもいらっしゃって、高いニーズがあることはわかっていました。また、精米所開設後、お客さまから『精米のスピードが速いし、重たい米袋を長い距離運ばなくても済むのも楽で便利』とお聞きして、納得しましたね。水橋郵便局に精米所を設置したことの価値を実感しました」(花染さん)

実際に、精米所を利用しているお客さまにもインタビューしてみました。水橋郵便局の近くに住む米農家の男性は、こんな感想を話してくれました。

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「ほかの精米所に比べて高速なので、これまでの半分ほどの時間で済みます」と喜びの声も

「毎月、水橋郵便局から、子どもや孫の計4世帯にそれぞれ10kgずつのお米を送っています。今までは、車で遠くのショッピングセンターにある精米所に行っていましたが、自宅から車で約5分の水橋郵便局にできたので、とても便利になりました。精米機の性能もいいですね。また、精米所の目の前に車を止められるので、4世帯分のお米、計40kgを精米所に運び入れるのも楽で助かっています」

精米所を"コミュニケーションツール"に「愛される郵便局」へ

精米所の設置後、水橋郵便局には、いくつかの"変化"が起き始めているそうです。

「お米はかなり重いため、いくら精米所が近い場所にあっても、お客さまのなかには自力で局内に運び入れるのが大変な方もいらっしゃいます。そうした場合は、台車を使ってお手伝いすることも。また、お米が精米所の床にこぼれてしまったときなどは、一緒に片づけをすることもあります」(中林さん)

このようなシーンが増えたことによって、以前よりもお客さまとの距離感が縮まった感覚があると、中林さんは言います。

「お手伝いをしながらちょっと世間話をしたり、ときには郵便局の商品・サービスについて質問を受けて、回答したり。そうした会話からお客さまのお考えやニーズを知ることができています」(中林さん)

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精米所設置後に"うれしい変化"があったと語る、中林さん(右)と花染さん(左)

また、花染さんは、精米所を介して、お客さま同士の新たなコミュニケーションが生まれていることに気づいたそう。

「窓口の順番待ちのお客さま同士で『お米を送るんですか?』、『そう。これ、郵便局前の精米所で精米したばっかり。速いし、運び入れるのがラクだし便利よ。使ってみたら?』といった具合に、会話が弾んでいるシーンを目撃しました。こんな感じで口コミが広がっていくんだろうなと思いましたね」(花染さん)

中林さんは、例年9月からの新米シーズンが待ち遠しいとのこと。

「毎年この時期は一気にお米の発送数が増えます。そのころまでには『水橋郵便局の精米所』はさらに地域に浸透しているのではないかと。富山のおいしいお米が、水橋から全国へ大量に送られていくことに期待しています。精米所をある種の"コミュニケーションツール"として活かし、お客さまから気軽に来ていただける、愛される郵便局を目指します」(中林さん)

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「水橋橋まつり」で有名な水橋地域にある水橋郵便局。お客さまロビーからも見える事務用のキャビネットには、美しい橋の絵が描かれています

郵便局と精米所の親和性とは?

水橋郵便局に設置されている精米所を管理・運営する株式会社タイワ精機 代表取締役社長の高井 良一(たかい りょういち)さんは、今回の郵便局への精米所の設置のアイデアを最初に聞いた時のことを、こう振り返ります。

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株式会社タイワ精機 代表取締役社長 高井 良一さん(右)と、取締役 営業部長 石仙 博男さん(左)

「ぜひ一緒に進めていきたいとお答えしました。精米所を多くの方に利用していただきやすくするには、やはり、多くの人が集まる場所に設置することが大切です。そのため弊社はこれまで、ショッピングセンター、ドラッグストア、ホームセンターなどに精米所を設置してきました」(高井さん)

そして、郵便局は人が集まる場所という点に加え、別の点でも適していると、高井さんは話します。

「精米後のお米は徐々に酸化が進み、品質が落ちてしまう性質がありますが、精米所と郵便局が近接していれば、精米したお米をできるだけ早く発送したい方のニーズにしっかり応えることができます。これは、今までの弊社の精米所の設置場所にはみられなかった利点です。また、差出人が安心して発送できるのはもちろん、受け取る側も、富山のおいしいお米を存分に味わうことができます。水橋郵便局のあるエリアは、弊社の精米所が置かれていなかったこともあり、これから多くのお客さまにご利用いただけることを期待しています」(高井さん)

同社の取締役 営業部長 石仙 博男(こくせん ひろお)さんは、富山において精米所がいかに暮らしに欠かせない存在であるかを説明してくれました。

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「この地域では精米所を利用する人は多いんですよ」と、笑顔で語る石仙さん

「富山県は 『米どころ』ですから、精米機は非常に身近な存在で、かつてはたいていの米農家さんは精米機を持っていました。しかし、今ではかなり減ってしまったため、街中にある精米所のニーズが高いんです。いわば生活インフラですね。郵便局も生活インフラである点は同じ。精米所と郵便局の親和性は、ここ富山では非常に高いと思います」(石仙さん)

さらに、今回の精米所には水橋郵便局オリジナルのある仕様を施したんですよ、とつけ加えてくれました。

精米機を収めている建屋のベースカラーを、郵便局と同じ『赤』にそろえたんです。通常、当社はオレンジ系を基調色にしていますが、全国初の郵便局設置であり、正面入口横という設置場所もふまえて、局舎と一体感が出るように提案しました」(石仙さん)

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"郵便局カラー"の赤色が目を引く精米所。管理・運営する株式会社タイワ精機により、週に1度のペースで清掃や集金などのメンテナンスがされており、お客さまにいつでも気持ちよく、支障なく使っていただけるようになっています

他企業との連携で、さらに地域のお客さまに寄り添う存在に

日本郵政グループは、中期経営計画「JP ビジョン2025」で掲げているように、最大の強みである全国約2万4千の郵便局ネットワークを活かして、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現を目指しています。グループ外の多様な企業等との連携を行うことで、地域のお客さまが、安全・安心で、快適で、豊かな生活・人生を実現することを支えていきます。

※撮影時のみマスクを外しています。

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