【クイーンズ駅伝2025】絆でつないだ、感動の準優勝! 日本郵政グループ女子陸上部の健闘に密着
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2025年11月23日(日)に宮城県で行われた、実業団女子駅伝日本一を決める「第45回 全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝in宮城)」。日本郵政グループ女子陸上部・POSTIES(ポスティーズ)は、2位と健闘しました。熱気冷めやらぬ現地にて、レース後の選手・監督に大会を振り返っていただきました。
谷本 七星(たにもと ななせ)選手
2002年広島県出身。2025年入社。
駅伝を得意とし、ルーキーながら1区に抜擢された。
牛 佳慧(ぎゅう かえ)選手
2000年静岡県出身。2023年入社。
ルーキーイヤーから3年連続で2区を担当。
廣中 璃梨佳(ひろなか りりか)選手
2000年長崎県出身。2019年入社。
5年連続で3区を走り、自身が持つ区間記録を更新。各区間で最も印象的な走りをした選手に贈られるMIR賞(Most Impressive Runner賞)を受賞。
カリバ・カロライン選手
2004年ケニア出身。2024年入社。
2年連続で4区を務め、区間新記録の快走。チームを3位からトップに押し上げ、区間賞を獲得。
太田 琴菜(おおた ことな)選手
1995年兵庫県出身。2018年入社。
昨年6区でデッドヒートを制し、ゴールテープを切って大会最優秀選手賞に輝いた。今年は5区を担当。
小暮 真緒(こぐれ まお)選手
2002年埼玉県出身。2025年入社。
ルーキーにしてアンカーとなる6区を務めた。
髙橋 昌彦(たかはし まさひこ)監督
2014年のチーム創部から監督を務める。4度の日本一、来年のシード権が与えられる「クイーンズ8」を10年連続で達成。
昨年に続き上位入賞。10年連続クイーンズ8入りの金字塔も
第45回の節目を迎えた今年のクイーンズ駅伝2025。昨年優勝を飾ったディフェンディングチャンピオンのPOSTIESは、連覇を目指して若手とベテランの力を融合させたチームで出場し、1位と7秒差の2位でフィニッシュしました。
惜しくも連覇はかなわなかったものの、最後まで諦めない粘りの走りを見せ、10年連続10回目のクイーンズ8(来年のシード権が与えられる上位8チーム)入りという金字塔を打ち立てました。
チームを率いる髙橋監督は「3位内を目標にしていたなかで2位という結果は上出来。まずは選手たちに『ありがとう』と伝えたい」と話しました。
1区に抜擢されたのは期待のルーキー
1区(7.0km)を任されたのは、今年からPOSTIESに加わった谷本選手。期待のルーキーが前年度優勝チームの証「ゴールドゼッケン」を背負い、スタートラインに立ちました。
気持ちのいい秋晴れのもと、レース開始の号砲が松島町文化観光交流館前に鳴り響くと、全24チームが一斉にスタート。谷本選手は、スタート直後は集団先頭をキープし快調な走り出しを見せますが、転倒のアクシデントも重なりトップから60秒差の全体14位で牛選手にたすきをつなぎます。
「8位以内で次の選手にたすきを渡せればと思っていましたが、予想以上に体が動きませんでした。転倒もあって、集中力を欠いてしまった影響も大きいです」(谷本選手)
2区(4.2km)を走るのは牛選手。落ち着いた走りでレースを進め、着実に順位を上げる好走で10位までジャンプアップ。安定感のある走りを見せてくれました。
「七星(谷本選手)からたすきを受け取ったときは、1人ずつ抜いていけばいいとポジティブな気持ちで走り出しました。チーム順位を上げることはできましたが、区間賞と区間新記録を狙っていたので、後半はもっと追い込めたらよかったと思います」(牛選手)
2人のエースが登場。怒とうの追い上げで首位に
各チームのエースランナーがしのぎを削る「花の3区(10.6km)」を務めたのは廣中選手。今年行われた東京2025世界陸上で、女子10000mにおいて日本勢初となる2大会連続入賞を果たした廣中選手は、このクイーンズ駅伝でも実力を遺憾なく発揮します。
序盤からトップギアで、次々と前方を走る選手を捉えると、驚異の7人抜きを披露。自身が持つ区間記録を8秒更新する快走で、チーム順位を3位まで押し上げました。
「後半苦しむ場面もありましたが、監督から『とにかくリラックスして笑顔で走ろう!』とレース中に声をかけてもらい、自分の気持ちを乗せながら懸命に走ることができました」(廣中選手)
4区(3.6km)には、昨年初めてのクイーンズ駅伝でトップに立つ積極的な走りを見せたカロライン選手が登場。今年も廣中選手がつくった勢いをそのままに資生堂、エディオンを抜き去ると首位に躍り出ます。その後もペースを落とすことなく、区間記録を7秒更新する10分38秒の区間新記録で走り抜けました。
「途中、チームスタッフから『このままのペースでいけば区間新を狙えるよ!』と言ってもらえたので、最後まで全力を出せました」(カロライン選手)
後続と41秒差の首位でたすきを受け取り、5区(10.0km)を走ったのは太田選手。自分のリズムでペースを刻み続ける太田選手の後ろに、初優勝を狙うエディオンが迫ります。太田選手も負けじと粘りの走りを見せますが、終盤で逆転を許してしまいます。
「後ろから追い上げてくるのはもともと想定内で、レース前に監督からも『積極的にいこう』と言われていたので、一度も振り返らずとにかく前だけを意識して走りました。でも、悔しい気持ちがふつふつと込み上げてきているのが正直なところです」(太田選手)
最終区間まで目の離せない大熱戦
昨年同様、最終区間である6区(6.795km)までもつれ込んだ優勝争い。この大事な場面でアンカーを任されたのは、1区の谷本選手と同じくルーキーの小暮選手。「走る前はいままでの陸上人生で一番緊張していました」と話す小暮選手は、一時は20秒近くトップから離される場面もありましたが、持ち前の粘り強さで必死に追いかけます。
先頭を走るエディオンの選手と追いかける小暮選手が、ゴール地点となる陸上競技場のトラックに姿を現すと会場の熱気も最高潮に。真っ赤なPOSTIES応援団が集まるバックスタンドの一角からは「真緒! 真緒!」とコールが巻き起こります。
大声援に背中を押された小暮選手ですが、惜しくもあと一歩及ばず。トップを捉えることはできませんでしたが、7秒差の2位でゴールテープを切りました。
「琴菜さん(太田選手)からたすきを受け取った際、どんな言葉をかわしたのか忘れてしまうくらい緊張していたのですが、そんななかでも最後まで諦めずに走れたのはよかったです」(小暮選手)
沿道やスタンドから大声援。大会随一のPOSTIES応援団
大健闘の選手たちを支えたのが、沿道やスタンドからの声援。特に5区はコースに沿って仙台中央郵便局、仙台東二番丁郵便局、仙台中郵便局と3つの郵便局が続き、各所から大声援が送られました。
「5区は郵便局が集まり応援団も多い『郵政ロード』という話を聞いていましたが、想像以上に大きな声援でとても力になりました。レース中、苦しい場面はたくさんありましたが、沿道の声援が力になりました」(太田選手)
ゴール地点の陸上競技場の応援団のなかには、遠方から駆け付けた日本郵政グループの社員の姿もありました。
「昨年、テレビの前で優勝する姿を見て『今年は現地で応援したい!』との想いで駆け付けました。選手の皆さんの走りは本当にかっこよくて力を貰えましたし、感動しました。まずは『お疲れさまでした』と伝えたいです」(山形県・糠野目郵便局に勤務する社員)
また、応援団を主催する日本郵便の東北支社に勤める社員は「仙台市内はもちろん、東北6県からも多くの方が集まってくれました。沿道にも赤いジャンパーを着た応援団が駆け付けてくれたので、その声援はきっと選手にも届いたと思います」と話してくれました。
チーム、個人の力を上げて「次の目標」へ
2位という結果を残した今年のクイーンズ駅伝。あらためて選手に今大会を振り返ってもらいました。
次世代のPOSTIESを支える2人のルーキー、谷本選手と小暮選手は次のように話します。
「スタートが重要な駅伝において1区という大役を任せてもらってうれしい気持ちもありましたが、圧倒的に緊張や不安が大きくて『私に務まるのかな......』という気持ちでした。それでも監督からは『七星で走れなかったら、それはもう仕方がないと思っている』と言ってもらい、うれしく思いました。今日の経験を糧に、また来年成長した姿を見せられたらと思います」(谷本選手)
「緊張と不安のなかでスタートしましたが、サポートしてくれた菅田キャプテン(菅田 雅香(すがた みやか)選手)から『自信を持って楽しんでおいで!』と声をかけていただき、最後まで諦めずに走ることができました」(小暮選手)
牛選手と太田選手の2人は、猛烈な追い上げを見せた3区と4区に関して、レースを見守ったチームメイトとして振り返ってくれました。
「3区の璃梨佳(廣中選手)にできるだけいい順位でたすきを渡すことが自分の役目。璃梨佳やカーロ(カロライン選手)の走りは見ていて本当に頼もしかったです」(牛選手)
「璃梨佳もカーロも力のある選手なので、追い上げてくるだろうなと予想はしていましたが、想像以上にすばらしい走りを見せてくれて、チームの流れを大きく変えてくれました」(太田選手)
頼もしい走りを見せた2人のエースは、次のようにこの駅伝を振り返ります。
「東京2025世界陸上が終わってから調子を戻すまでに苦労した部分もありましたが、コーチやチームメイトの力を借りて2年前の自分が立てた区間記録を更新することができました。チームも苦しい状況のなか2位となり"全員駅伝"ができたかなと思います」(廣中選手)
「前日は緊張して寝ることができませんでした。それでも、厳しいトレーニングを積んできたので、思いどおりの走りができ、記録につながったのでうれしいです」(カロライン選手)
最後に、髙橋監督にも話を伺いました。
「3区、4区のどこかでトップには立つだろうと予測していました。おおむね予想どおりのレース結果になったと思います。2位という結果には満足していますが、振り返ってみればわずか7秒差でした。来年以降、この差を取り戻すような練習や準備ができれば再び頂点に立てると思っています。これで、新しい目標ができましたね。
日本郵政グループの"団結の象徴"として誕生したPOSTIESが、駅伝の舞台でみんなの想いの詰まったたすきをつないでいくことには、大きな意味があると思っています。今後もその想いをつないで走り続けますので、引き続きわれわれの挑戦を見守っていただければと思います」
頼れるエースの躍動やルーキーの果敢な走りは、間違いなく次のPOSTIESを照らす希望の光となりました。これからもPOSTIESはファンの期待や応援を胸に前進し続けます。
■日本郵政グループ女子陸上部 クイーンズ駅伝2025 結果
| 区間 | 氏名 | 記録 | 区間順位 | チーム順位 |
|---|---|---|---|---|
| 1区(7.0㎞) | 谷本 七星 | 22分30秒 | 14位 | 14位 |
| 2区(4.2㎞) | 牛 佳慧 | 13分29秒 | 6位 | 10位 |
| 3区(10.6㎞) | 廣中 璃梨佳 ※1、※2 |
32分56秒 | 2位 | 3位 |
| 4区(3.6㎞) | カリバ・カロライン ※1、※3 | 10分38秒 | 1位 | 1位 |
| 5区(10.0㎞) | 太田 琴菜 | 33分00秒 | 8位 | 2位 |
| 6区(6.795㎞) | 小暮 真緒 | 21分24秒 | 2位 | 2位 |
※1 廣中選手、カロライン選手が区間新記録
※2 廣中選手がMIR賞(Most Impressive Runner賞)を受賞
※3 カロライン選手が区間賞を受賞
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