実業団選手は競技と仕事をいかに両立させているのか? 日本郵政グループ女子陸上部の選手たちの職場を訪問

実業団選手は競技と仕事をいかに両立させているのか? 日本郵政グループ女子陸上部の選手たちの職場を訪問

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日本郵政グループ女子陸上部・POSTIES(ポスティーズ)の選手たちは、陸上中距離・長距離のトップアスリートとして競技に打ち込む一方、郵便・銀行・保険といったグループ各社で日々仕事に取り組んでいます。選手たちに、どのように仕事と競技を両立させているのかを伺いました。

鈴木 亜由子(すずき あゆこ)選手

鈴木 亜由子(すずき あゆこ)選手

2014年入社、日本郵便株式会社所属。2019年までPOSTIES初代キャプテンを務め、リオ五輪(5000m、10000m)、東京五輪(マラソン)日本代表。

田島 愛梨(たしま あいり)選手

田島 愛梨(たしま あいり)選手

2023年入社、日本郵便株式会社所属。同年のU20アジア陸上競技選手権大会(韓国)1500m日本代表。

和田 有菜(わだ ゆな)選手

和田 有菜(わだ ゆな)選手

2022年入社、株式会社ゆうちょ銀行所属。翌年の日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競走(クロカン日本選手権)シニア女子の部優勝。

大西 ひかり(おおにし ひかり)選手

大西 ひかり(おおにし ひかり)選手

2019年入社、株式会社かんぽ生命保険所属。2023年アジア競技大会(中国)マラソン日本代表。

杉森 心音(すぎもり ここね)選手

杉森 心音(すぎもり ここね)選手

2023年入社、株式会社かんぽ生命保険所属。高校2年時にU20日本選手権3000m優勝、3年時には5000mで全国高校ランキング日本人トップの記録をマーク(当時)。

郵便・銀行・保険。各社で日々仕事に励む選手たち

――皆さんが普段どのようなお仕事をされているのか、それぞれ教えてください。

鈴木:私と(田島)愛梨は同じ郵便局で内勤をしていて、窓口や物販商品のディスプレイを担当しています。七夕やクリスマス、お正月など季節に合わせたデザインから制作、装飾までを担っています。

田島:二人で一から任せてもらうこともあれば、「こういうレイアウトやデザインがいい」と社員の方から依頼をいただくこともあります。私はもともと細かい作業が好きなので、楽しみながら取り組んでいます。

左から鈴木選手と田島選手。この日はハロウィーンに向けたディスプレイの制作中でした

鈴木:また、配達員への「出発時の声かけ」も行っています。毎朝、配達員の方々が郵便局を出る際に行う日常訓練に立ち会って、「OKです、行ってらっしゃい!」と大きな声で送り出しています。

旗を振って、日常訓練を見守ります

――ゆうちょ銀行に勤める和田選手はいかがですか?

和田:私は後方事務を担当しています。お客さまからお預かりした書類の整理や、ATMへの入金作業の立ち会いなどを行っています。お客さまにATMの操作方法をご案内することもあります。

制服を着用していることもあって、いつも身が引き締まる思いです。お客さまからすれば「ゆうちょ銀行の一員」に変わりないので、元気で、気持ちのいい挨拶を心がけています。

ただし、専門的なことを尋ねられると答えられず、もどかしい気持ちになることもあるので、資格を取ろうとテキストで勉強もしていて、まずは「証券外務員」に挑戦しようと思っています。

ゆうちょ銀行で「お客さまにご案内することもあります」と和田選手

――かんぽ生命のお二人はいかがですか。

大西:私たちも内勤で、出張経費の精算に係る手続きや支店の掲示物の作成などを行っています。

杉森:昨年からは、POSTIESに関する社内向けの情報誌も作っています。いっしょに働く社員からも「女子陸上部のことをもっと知りたい」という声を聞いていたので、どんな一日を過ごしているのか、どんな練習を行っているのか、どんなシューズを履いているかなどを紹介しています。POSTIESのことをたくさん知ってもらえたらうれしいです。

左から杉森選手、大西選手。二人はかんぽ生命の同じ支店で働いている

気になる実業団トップアスリートの一日とは?

――それでは、その「一日」について、どのように過ごしているか教えてください。

鈴木:全員、朝練習が6時に始まり7時半ごろまで。寮に戻って朝食を食べてから出勤します。勤務時間は9時半から12時です。その後は昼食を各自とって、午後練習を行うといったスケジュールです。

田島:今日の朝練習はコンディション調整で5kmほどしか走りませんでしたが、普段は10kmくらいを走ることが多いですね。

陸上モードから勤務モードへ、各選手それぞれの「スイッチ」で切り替え

大西:7時半まで朝練習をして、8時からの朝食に間に合うか⁉と毎朝忙しくしています(笑)。私にとっては、朝練習を終えてから身支度を整えるのが(出社への)切り替えのスイッチになっていて、勤務が終わればジャージに着替えてまた練習へとなります。

和田:私は朝練習の疲労を感じていても、出勤前にコーヒーを1杯飲んでスイッチを入れるなど工夫しています。競技と仕事が両方あることで、私にとってはいいメリハリになっています。

仕事を通して社会とつながり、それが陸上部の応援にもつながる

――皆さんは実業団選手として働きながら陸上競技に取り組んでいます。実際、両立というのはいかがですか?

鈴木:私は会社の方々とかかわることで、応援をしていただいているということを実感しています。選手としてだけでなく「社会人」としての仕事をしているというのは、すごく大事なことだと思います。

それに、ずっと競技だけというのも集中力が続かないので、(勤務は)いい意味で切り替えになっています。「仕事をいっぱいお願いしてごめんね」と言っていただけるくらい頼りにしていただいているので、会社の皆さんの気持ちにも応えたいとも思います。実際、たくさん働いたあとは「今日もよくやったな〜」と(田島選手と)二人で達成感を感じていますよ(笑)。

和田選手は職場での時間が「すごくいい時間になっている」とも

和田:社員の皆さんは、合宿や試合のことを聞いてくださったり、テレビで駅伝を見て応援してくださったり、温かく応援していただいています。現地までマラソンの応援に来てくださった方もいらっしゃいました。そうした応援が、本当に支えになっています。

大西:逆に、競技でケガをして合宿に行けない場合は、(チームとは別に)東京に残って練習しながら勤務に行くという生活になります。そういうときでも職場の方々は、「仕事場でいつでも待っているよ」というような感じで温かく見守ってくださるので、支えられています。

選手の勤務先には、職場の方々お手製の応援コーナーやグッズがあり、選手は大きな力をもらっている

社会人、そしてアスリートとしての成長も

――ほかには、仕事をしていてよかったと思うことはありましたか。

杉森:実は、仕事をすることが陸上にすごく役立っていると思ったことがあるんです。

高校まではまわりが自分と同世代の人ばかりで気にならなかったんですが、入社したてのころは、職場に父や母と同じ世代の方もいて、「どう話したらいいのかな」と変に緊張してしまって......。でも、そんなときに職場の方が親身に相談に乗ってくださったことで、だんだん私も環境に慣れて、コミュニケーションが取れるようになってきたんです。

そうすると今度は陸上でも、監督やコーチに体の状態を細かく伝えられるようになってきて、「じゃあ今日はちょっと練習量を抑えよう」など、しっかりコミュニケーションが取れるようになりました。結果的にケガが減って、継続して走れるようになったんです。

「高校時代はこれくらい痛くても練習できていたから」と過去の経験を頼りにしていました。でも、チームスタッフから「年齢が違うと筋力や骨密度も変わるし、そもそも環境も違う。過去と今を比べるのは違うかもしれないよ」とアドバイスをもらいました。こうしたコミュニケーションは、仕事でも陸上でも活きていると思います。

入社3年目の杉森選手。「仕事で得られたコミュニケーション能力が陸上にも活きています」

田島:私も、(鈴木)亜由子さんがおっしゃったように、練習ばかりだと淡々と同じリズムでの生活になるので、仕事が切り替えになっています。それに何より、勤務があることで応援してくださる方々がこんなにも身近にいるんだということを実感できています。仕事自体は限られた時間ですが、大切なものだとこの3年間で思うようになりました。

鈴木:私はもう入社して10年以上になりますが、若手のみんなを見ていると本当にしっかり成長していきます。高校卒業したての「学生だな〜」と思うところから、大人になっていく。みんなの成長を見守る気持ちもありながら、その成長に私も助けられています。

入社3年目の田島選手(中央)は、鈴木選手からみて成長が頼もしいという

選手たちはトップアスリートとして陸上のトレーニングや試合に励む一方、仕事を通してそれぞれが「一社会人」として大きく成長しています。今後も応援してくださる方々のため、POSTIESは走り続けます。

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