「少しでも選手の役に立ちたい」――。日本郵政グループ女子陸上部のコーチ、マネジャー、栄養士に密着

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2024年、創部10周年の記念すべき年に実業団女子駅伝の最高峰である全日本実業団対抗女子駅伝競走大会・クイーンズ駅伝で4度目の優勝を飾った日本郵政グループ女子陸上部・POSTIES(ポスティーズ)。
今回は、チームを支える玉城コーチ、荒マネジャー、後藤栄養士の3人に、それぞれの役割と、普段心がけていることについて伺いました。

玉城 柾人(たまき まさと)コーチ
長野県出身、日本体育大学卒。名城大学女子駅伝部のコーチを経て、2025年度からコーチに就任。

荒 ひかる(あら ひかる)マネジャー
福島県出身、城西大学卒。大学時に男子駅伝部のマネジャーを務め、2025年度からマネジャーとしてチームを支える。

後藤 藍子(ごとう あいこ)栄養士
兵庫県出身。東洋大学卒。大学で栄養学を学ぶ傍ら、陸上競技に取り組む。寮生活で栄養士の存在に憧れ、スポーツ栄養の道に。2023年度より栄養士に就任。
練習内外で選手を応援・サポート。コーチとマネジャーの役割
昨年のクイーンズ駅伝で4度目の優勝を飾るなど、創部10年で名実共にトップチームとなった日本郵政グループ女子陸上部。現在、監督以下、コーチ、マネジャー、管理栄養士、栄養士の計9名でチームを支えています。
まずは、玉城コーチと荒マネジャーに、チームに加わったきっかけを伺いました。
玉城コーチ:高校時代に陸上をやっていて、日本体育大学に進学したあとも箱根駅伝を目指して競技を続けていました。卒業後は一般企業に就職しましたが、縁あって大学駅伝7連覇を果たしている名城大学でコーチを務めました。そして5年の任期を終えたタイミングで髙橋監督から声をかけていただき、チームに加入しました。
荒マネジャー:私も高校時代は選手として陸上をしていて、城西大学に進学後は男子駅伝部のマネジャーを務め、4年生の時には「主務」を務めました。大学卒業後もマネジャーを続けたいと考えていたときに、ご縁があり髙橋監督からマネジャーのお話をいただきました。

コーチ陣は4名、マネジャーは2名の体制。そのなかで、2人はどのような役割を担っているのでしょうか。
玉城コーチ:練習中にはタイムを計測して選手に伝えたり、練習後には気づいたことを選手に直接アドバイスしたりしています。練習や試合のデータを打ち込んでチームに共有するという役目もあります。フィジカルとメンタルを含めて、選手のコンディションには特に気を配っていますね。
荒マネジャー:練習ではマネジャーもコーチと同様、タイム計測の役割を担います。フォーム確認のために、選手が走っている動画を撮るのも私の役目ですね。ほかには、大会エントリーなどの事務的な業務も担当しています。
日本一を目指す、実業団トップチームの一員として
2人は共に陸上競技経験者で、さらには大学の陸上部でのコーチやマネジャーの経験があります。実業団に活動を移して、感じていることを伺いました。
玉城コーチ:日本郵政グループは全国に仲間がいるので、試合で各地に遠征しても、どこでも大きな声援をいただけます。練習環境も整っていて、多くの方の支援を受けていることを感じますね。
荒マネジャー:実業団の選手は社会人なので、ある程度の調整は選手個人に委ねられているのかと思っていましたが、ここでは朝練から午後の練習、そして夜のミーティングまでしっかり管理されていることに驚きました。監督やコーチが選手に声をかける場面も多く、丁寧にサポートしています。これが日本一を目指すチームなのか、と納得がいきました。

この日の練習メニューは、ハイペースとスローペースを組み合わせて距離を走る変化走でした。選手の走力やコンディションをもとにグループ分けされ、担当のコーチやマネジャーによって、タイムが読み上げられていきます。

調子のいい選手もいれば、なかなか思うような走りができない選手も。練習後、監督やコーチにアドバイスをもらいに行く選手たちの姿は、真剣そのものでした。
玉城コーチ:「1秒でも速く走りたい」「自分を超えていきたい」という思いはみな同じです。とはいえ、選手の調子はさまざまなので、一人ひとりに合わせた指導を意識しています。なかでも、ケガの影響などでつらい思いをしている選手に、自分の経験や学んだことを活かして、復調のきっかけとなるアドバイスができればと考えています。

荒マネジャー:私も客観的に選手を見て、気づいたことがあれば伝えるようにしています。少しでも選手の役に立ちたいという一心ですね。練習をいっしょに頑張ってきた選手が、試合で活躍したり自己ベストを出したりして笑顔で帰ってきてくれるのが、マネジャーとして最もうれしい瞬間です。

栄養だけでなく「食事の楽しさ」も提供する栄養士

日中の練習が終わると、選手のリラックスタイムがやってきます。夕食では選手全員が食堂に集まりますが、そこでの食事と会話にいつも大盛り上がり。笑顔の絶えない、楽しげな一面を見せてくれます。そんな選手の「食」を支える1人が、後藤栄養士です。
後藤栄養士:実は私も大学の途中までは陸上の選手として競技していました。将来はスポーツにかかわっていけたらと漠然と思っていたのですが、大学生の頃に寮の栄養士さんと接するなかで進みたい道が明確に決まり、今、こうして選手をサポートさせていただいています。

寮生活の経験のある元陸上選手ということで、選手の気持ちがわかる利点も。
後藤栄養士:選手にとって寮の食事というのは家庭のごはんと同じなので、栄養補給だけが目的ではありません。ハードな練習のあとには「ちょっとボリュームがほしいな」と思いますし、食べることがリフレッシュにつながります。「食事を楽しみに練習を乗り切れる」という選手もいるくらいです。
栄養士は海外遠征に帯同することもあるそうです。異国の地でもさまざまな工夫を凝らして、裏方として応援してます。
後藤栄養士:普段と異なる環境にいるので、選手はストレスを感じてコンディション調整が難しい場合があります。そこで、食事を通してリラックスできないか、食事に彩りがあると気持ちも晴れるのではないか、などと考えています。事前に選手やコーチと話し合って、メニューに取り入れたりもしますね。

相談しやすい存在に。「私もいっしょに頑張っていこう」
この日も18時を過ぎると、食堂に選手が集まってきました。調理場のカウンター越しに、選手と会話を交わすことも多々。食事前後に、選手とはよく話をするそうです。
後藤栄養士:食事のあとにテーブルに座って話すこともありますね。選手にとっては歳が近い私は、話しやすいのかもしれません。そういう関係だと相談もしてもらいやすくなりますし、私もいっしょに頑張っていこうという気持ちになれます。

食事のメニューはチームに所属している管理栄養士が主に考え、後藤さんは調理を担当することが多いといいます。そのうえでの工夫も欠かせません。
後藤栄養士:アスリートとしてカロリーをしっかりとらなくてはならないのに、見た目のボリュームからお腹いっぱいになってしまうこともあります。そんなときは、なるべくコンパクトに盛り付けたりして、食べる気を起こしてもらうように工夫しています。

主食、主菜、副菜、汁物、フルーツという構成を献立の基本としている

日本郵政グループ女子陸上部・POSTIESは、10周年を迎えてチームとしても選手個人としても、快進撃を続けています。その裏には、選手を支え、応援するプロフェッショナルなスタッフが不可欠。チームは一丸となって、さらなる躍進を続けていきます。
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