私のオンとオフ スイッチインタビュー 音の道を究めて、感動を届ける。

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約24,000ある郵便局をはじめ、全国で働く日本郵政グループの社員。この企画では、それぞれの立場で仕事に取り組む社員の姿勢と知られざるプライベートでの横顔、そんなオンとオフの両面で活躍する社員の魅力ある個性を掘り下げていきます。
今回話を聞いたのは、名古屋福徳郵便局に勤務する舟橋 孝裕(ふなはし たかひろ)さんです。窓口業務を担当する一方、ベーシストとしても活動しています。その活躍の様子とオンとオフの意外な共通点に迫ります。

名古屋福徳郵便局 主任
舟橋 孝裕(ふなはし たかひろ)さん
2017年、日本郵便株式会社に入社。2021年から名古屋福徳郵便局に勤務する。窓口で、主に貯金と保険の業務を担当している。
お客さまの話をよく聞き、皆さんの人生をお手伝い
――まず、入社のきっかけを教えてください。
舟橋:日本郵便に就職する前は音楽関係の小売店で働いていたんですが、郵便局で長年保険の仕事に携わっていた父から「やってみないか」と誘われたことがきっかけで、日本郵便に転職しました。
――お父さまが転職のきっかけだったんですね。お仕事で学ぶことも多いですか。
舟橋:学ぶことは多いですね。今でも実家へ帰るたびに父から話を聞いています。郵便局でやってみようと前向きになれたのも「父のDNAだけはもっているから頑張れる」と思えたからです。

――舟橋さんが働く名古屋福徳郵便局の雰囲気を教えてください。
舟橋:老若男女、とても幅広いお客さまにご利用いただいています。社員同士のコミュニケーションをよくとる職場で、明るい雰囲気で働きやすいですね。

――局名に「福徳」とあるので、縁起のよさそうな郵便局ですね。
舟橋:そうなんです。ありがたいことに、わざわざ別の地区から結婚式の招待状などを出しにいらっしゃるお客さまもいるんですよ。郵便局前のポストは、全国的にも数が少なくなっている丸型のもので、福徳にあやかって七福神が乗った宝船がポイントです。

――舟橋さんは他業種から転職されましたが、実際に働いてみて郵便局のイメージは変わりましたか。
舟橋:前職でも郵便物を出しに行くなど郵便局には足を運んでいて、温かなイメージをもっていました。それは自分が働くようになってからも変わりません。むしろ、名古屋福徳郵便局で働くようになってから、それをより痛感しています。郵便局は地域に密着した存在ですし、地域の皆さんあっての郵便局だと思います。
――仕事では、どんなところにやりがいや魅力を感じますか。
舟橋:こんなに感謝されることが多い仕事は、なかなかない気がします。それこそ生まれたときからお亡くなりになるまで、お客さまの人生をお手伝いできるのは、大きな魅力ですね。

――仕事をするうえで大切にしているのはどんなことですか。
舟橋:お客さまとの会話ですね。郵便局のサービスにかかわることじゃなくても、何か困りごとがあるように感じたときは声をかけて、お話を聞きます。郵便局に来たときよりも帰るときの方がお客さまの気持ちが軽くなれば、という思いですね。

ベースは音楽における筋肉。自分の道を究めていきたい!
――ベーシストとして音楽活動をされていますが、ベースを始めたきっかけをお聞かせください。
舟橋:高校3年生の文化祭のステージで友だちと校歌を演奏したのがきっかけでした。ベースはギターに比べて弦が少なくて、押さえるところが1カ所なのもあって3カ月間練習したら弾けるようになったんです。これなら続けられるなと、大学に進んでからは軽音サークルに入って楽しく活動していました。

――就職されてからも続けていたのですか。
舟橋:そうですね。軽音楽部時代の仲間とのバンドや新たに加入したバンドでライブハウスに出るようになって、東京や大阪などでも演奏していました。すると、ほかのバンドの人から「うちのバンドを手伝って」と声がかかるようになりました。
――ご自身のバンドのほかに、サポートメンバーとしてかけ持ちをしているんですね。
舟橋:多いときには同時進行で5つのバンドをやっていて、1カ月で20曲覚えなきゃなんてときもありました(笑)。でもそのぶん楽しくて、ずっと続けています。
――心に強く残っている音楽体験はありますか。
舟橋:20代後半のときに足を運んだ、イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの大阪公演ですね。当時70歳を超えているメンバーの演奏を体感して、音楽は完成形のない芸術表現で、自身でその道を追求していくのは美しいことだと感動しました。それまで漫然と弾き続けていたベースを、改めてちゃんと続けようと思ったときかもしれません。人生をかけてでも、仕事をしながらでも、自分の道を研ぎ澄ませていこうという気持ちになりました。

――ずばり、舟橋さんにとってベースの魅力はどんなところにありますか。
舟橋:ベースは、地味で"裏方の楽器"だといわれがちですが、僕はそうは思っていないんです。音楽を人間の身体に例えるなら、ベースは筋肉だと思っています。伸びたり縮んだり、音楽に対しての力強さを表す部分かなと。派手なこともできるし、人を支えることもできる。可能性がたくさんある楽器だと思います。

――職場の皆さんは、舟橋さんの音楽活動をどれだけご存じなんでしょうか。
舟橋:最初からオープンにしていて、入社時の面接でも音楽活動の話をしました。「仕事を一所懸命やらなあかんぞ」と言われるかもと思っていたら、「ぜひ続けなさい。君は僕の知らない世界で人と出会うことができる。応援するから」と、その上司が実際にライブに来てくれたこともあります。現在の上司も「絶対に仕事に役立つから続けた方がいいよ」と言ってくれています。
――それはありがたいですね! 心に残るご自身のライブを教えてください。
舟橋:サポートメンバーとして出演した、2022年に北海道で開催された夏フェスが印象深いですね。延べ入場者数4万人くらい集まるステージで、どこまでも広がる北海道の空の下、観客がたくさんいて圧巻でした。

――貴重な体験でしたね。仕事はお休みをとられたんですか。
舟橋:はい。皆さんから「それ、すごい夏フェスじゃないか! 休みとって行け!」と背中を押してもらいました。本当にすごく応援してもらっているのだなと感じます。自分の音楽活動を振り返って心に残っている言葉は、その多くが郵便局の人たちからかけられた言葉なんです。こんなに快く送り出してくれる職場はなかなかないんじゃないですか。

――サポートメンバーとして活動することで得られたことはありますか。
舟橋:サポートメンバーとして参加しているバンドがメジャーデビュー、CDが全国発売されたんです! 自分の演奏が、多くの人たちに聴かれる可能性のある作品になるというのは、やっぱり演奏活動を続けてきたからこそだと感慨深いですね。
演奏で落ち込むことがあっても、お客さま対応で前向きに!
――仕事に音楽活動にとお忙しい毎日ですが、両立させるのに大変なことはありますか。
舟橋:正直、そんなに大変なことはないと感じています。自分は欲張りなので、仕事も楽しくやりたいし、バンドも続けたいんです。本当に人とのご縁に恵まれていて、職場の人たちに理解をいただいていると感じます。

――仕事と音楽活動が、それぞれで活かされていることはありますか。
舟橋:実は、人と話すのが苦手だったんですが、バンド活動を続けることで楽しく交流できるようになって、人前に立つことに抵抗がなくなりました。一方で、演奏がうまくいかなかったときなどは、ものすごく落ち込むこともあります。でも、郵便局で目の前のお客さまに一所懸命対応していると、自然と前向きになれるんです。

――オンとオフでは、どんなふうにスイッチを切り替えていますか。
舟橋:仕事と音楽、僕にとってはどちらもオンです。ただ、モードの切り替えはあります。仕事のときは制服を着ることで自然に切り替わって、日本郵便の看板を背負う気持ちで仕事モードになります。
仕事も音楽も、全力で続けたい
――舟橋さんが描いている将来の目標を教えてください。
舟橋:仕事では尊敬する上司を超えられるよう、日本で一番の郵便局社員を目標としています。音楽は生涯現役、自分の道を追求していきたいです。 仕事と音楽と同じように家庭も大切なので、その3つが支え合っている状態じゃないと倒れてしまうと思います。ですので、すべてに全力を尽くしていきたいですね。

――舟橋さんのように仕事と趣味の両立を目指している方へ、メッセージやアドバイスがあればお聞かせください。
舟橋:趣味については周囲の人たちに開示をすると、やりやすい環境になるのではないでしょうか。仕事も趣味も諦めずに、どんどん続けていきましょう!


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