みらいの郵便局、始動!Vol.5 いつでもどこでも郵便局サービスを! 日本郵政グループの新たなプラットフォームアプリ「郵便局アプリ」
INDEX
日本郵政グループが中期経営計画「JPビジョン 2025」で掲げる「グループ一体でのDXの推進」。その一環として、2023年10月より、お客さまに「いつでも」「どこでも」郵便局サービスをご利用いただける新たなグループプラットフォームアプリ「郵便局アプリ」の提供をスタート。リリースからわずか3カ月で100万ダウンロードを達成しました。
※2024年4月末時点で約185万ダウンロードを突破
日本郵政グループが思い描く「みらいの郵便局」構想において、「郵便局アプリ」はどのような役割を果たすのか。そして、今後の展望とは? 開発プロジェクトにかかわった日本郵便株式会社 DX戦略部の服部 友美(はっとり ともみ)さんと、株式会社JPデジタル DX部門の鈴木 慎一朗(すずき しんいちろう)さんにお話を伺いました。
日本郵便株式会社 DX戦略部 係長
服部 友美(はっとり ともみ)さん
2010年、日本郵便株式会社に入社。東京支社や郵便局での勤務などを経て、2021年より現職。「郵便局アプリ」の開発では、グループ内の関係部署間の調整や、プロジェクト全体のサービス検討にかかわる。
株式会社JPデジタル DX部門 リーダー
鈴木 慎一朗(すずき しんいちろう)さん
2017年、日本郵政株式会社に入社。日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社(グループのICT機能を担う情報システムサービス会社)への出向などの経験を経て、2021年7月からは新たに設立された株式会社JPデジタルに出向。「郵便局アプリ」の開発では、スクラムマスターとしてプロジェクトに関係する社内の各チームや、開発会社との調整役を担当。
日本郵政グループの新たなプラットフォームアプリを開発
――今回「郵便局アプリ」を開発した経緯を教えていただけますか。
服部:日本郵政グループは、中期経営計画「JPビジョン2025」で掲げているとおり、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指しています。その実現に向けた取り組みの一つとなるのが「みらいの郵便局」です。「みらいの郵便局」とは、リアルの郵便局ネットワークと、デジタル郵便局を融合した新しい顧客体験を生み出す郵便局のこと。DXの推進によりリアルとデジタルをシームレスにつなぎ、お客さまの期待を超える体験価値を提供したいと考えています。
そして、この「みらいの郵便局」の実現に向け、お客さまとの新しいデジタル上の接点として、「いつでも」「どこでも」郵便局サービスを利用していただけるようにと開発したのが「郵便局アプリ」です。
――「郵便局アプリ」の機能について教えてください。
鈴木:メインの機能となるのが、ゆうパック・ゆうパケットの「送り状作成」、「郵便局・ATM検索」、そして「配送状況検索」です。
また新機能として、郵便ポストの位置を調べることができる「ポスト検索」や、来局前に混雑状況を調べたり整理券を発行したりできる「整理券発行」※を搭載しました。
※一部の郵便局のみ
――「ポスト検索」は、これまでになかったサービスなんですね。
服部:以前から要望は多かったのですが、なかなか実現することができませんでした。というのも、地図上にピンポイントでポストの位置を示すには、住所という「面」の情報ではダメで、座標という「点」の情報が必要なんです。全国に175,145本(2023年3月31日現在)もあるポストの座標を調べ、地図上に紐付ける作業は、とても膨大で、簡単ではありません。今回、全国の郵便局の社員と力を合わせて取り組んだことで、実現することができました。
ユーザーにとって便利で使いやすいアプリになっているかどうかを常に意識
――今回、アプリを開発するうえで、特に意識したことはありますか。
服部:ユーザー目線を大切にしました。「みらいの郵便局」構想など、私たち作り手の思惑によらず、あくまでアプリとしてユーザーにとって便利かどうかの一点だけを見ています。まずは使った人がわかりやすく「便利だな」と感じられるアプリになっているかという点は、常に意識していました。
例えば「ポスト検索」機能では、ポストの位置情報を調べられるだけでなく、取集時刻、投函口のサイズも知ることができます。私自身、フリマサイトをよく使うのですが、せっかく投函しに行ったのに、投函口と荷物のサイズが合わずに帰宅して梱包し直した、という失敗を過去に何度か経験しました。そのため、事前に投函口のサイズがわかったら便利なのにと思っている方は結構多いのではないかなと思ったんです。「郵便局アプリ」の仕様は、そういうユーザーとしての実体験もベースになっています。
――開発を進めるうえで苦労したことはなんでしょうか。
鈴木:限られた開発期間のなかで、関係部署との調整が大変でしたね。特にだんだんと目に見える形になってくると、「こっちの方がいいのでは」「こうしたらどうか」という追加の要望がたくさん来まして(笑)。関係部署との調整を何度も繰り返しながら、本当に泥臭いことをやり続けた2年間でしたが、それだけにサービス提供までこぎ着けることができたときの達成感は大きかったです。
服部:日本郵政グループのプラットフォームアプリを開発するという、新しく大きな挑戦でもあったので、まだ形になっていない開発段階では、「本当にこれでよいのか」と不安に思っていた部署もあったかと思います。
ただ、実際にアプリとして形になったことで「確かに今までのアプリとは違うね」などの声をグループ内から聞いて、私たちとしては「やっとここまで来た」という実感を持つことができました。
日常のなかでお客さまに思い出してもらえるアプリになってほしい
――アプリをリリースして、これまでにどんな反響が寄せられていますか。
服部:社内外から、さまざまな反響をいただいています。SNSなどで「このアプリいいよ」と言ってくださる方もいらっしゃいますし、厳しいご意見や「この機能を追加してほしい」といった、ご要望をいただくこともあります。
鈴木:「郵便局アプリ」は、まだリリースしたばかりです。今後、実際にご利用いただいたお客さまや社員の皆さんのご意見やご要望なども参考にしながら、よりよいものにしていきたいと思います。
――「郵便局アプリ」を、ユーザーの皆さんにどのように使ってほしいですか。
鈴木:まずはアプリをご利用いただいて、便利さを実感してほしいです。郵送するときに、アプリがあれば送り状を簡単に作成できてラクだなとか、ポストの位置がすぐにわかって便利だなとか、そんなところを感じてもらえたらうれしいですね。
服部:特別なアプリでなく、普段使いのアプリとして使ってもらえたらうれしいです。郵便についてわからないことがあったときも、「アプリで調べよう!」と、日常のなかで思い出してもらえる存在というか。このアプリを通じて、郵便局サービスをもっと身近に感じてもらえたらなと思います。
――「郵便局アプリ」の今後の展望を教えてください。
服部:まずは「送る・受け取る」という郵便サービスの提供から始めましたが、「郵便局アプリ」は日本郵政グループのプラットフォームアプリですので、今後は金融に関する機能も追加していく予定です。「リアル」の郵便局の店舗で提供しているサービスをアプリを通じて「デジタル」上でも提供できるようにしたい、「郵便局アプリ」をリアルの「郵便局」に近づけていくというのが、私たちのこれからのチャレンジです。