火山島のダイナミックな自然に接し働く郵便局社員!離島勤務の知られざる魅力とは?

火山島のダイナミックな自然に接し働く郵便局社員!離島勤務の知られざる魅力とは?

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北は北海道から南は沖縄まで、日本全国約24,000の郵便局と40万人近くいるグループ社員。気候や地形など、土地によって様変わりするさまざまな環境のなかで、工夫をこらしながら日々お客さまにサービスをお届けしています。

今回登場するのは、東京都の島しょ部で活躍する郵便局社員の方々。伊豆七島の一つである三宅島の三宅島阿古郵便局に勤務する梶原 ひとみ(かじわら ひとみ)さん、久保田 孝子(くぼた たかこ)さん、高橋 龍(たかはし りょう)さんにお話を伺いました。いずれも離島での勤務経験が豊富なメンバー。離島の郵便局に、一体どのような魅力を感じているのでしょうか。

梶原 ひとみ(かじわら ひとみ)さん

日本郵便株式会社 三宅島阿古郵便局 局長

梶原 ひとみ(かじわら ひとみ)さん

1986年、郵政省(当時)に入省。東京都内の郵便局での勤務の後、2012年より八丈島の郵便局に勤務。八丈島内で11年の勤務を経て、2023年4月より現職。

日本郵便株式会社 三宅島阿古郵便局 課長

久保田 孝子(くぼた たかこ)さん

1992年、郵政省(当時)に入省。東京都内の郵便局での勤務の後、2011年より三宅島阿古郵便局に勤務。2023年4月より現職。

日本郵便株式会社 三宅島阿古郵便局 課長代理

高橋 龍(たかはし りょう)さん

2007年、日本郵政公社(当時)に入社。東京都内の郵便局で10年間勤務の後、小笠原郵便局を経て、2022年10月より三宅島阿古郵便局に勤務。

郵便局は、島にとってなくてはならない存在

相模湾沖、南北にずらっと連なる伊豆七島。その中間よりやや北側に位置するのが三宅島です。人口は約2,000人。漁業、農業のほか、観光業が島の中心的な産業です。特徴は、火山島としての自然の雄大さ、釣りやダイビングなど充実した海のアクティビティ。東京本土から行ける非日常空間として人気を集めています。

東京の都心から南へ約180kmの位置にある三宅島。島そのものが富士火山帯に含まれる活火山です。
2000年以上前の水蒸気爆発によってできたといわれている大路池(たいろいけ)
大路池に向かう途中にある迷子椎(まいごじい)
雄山中腹からの眺め

三宅島の島内には全部で5局の郵便局が存在します。そのなかで今回訪れたのは、島の南西に位置する三宅島阿古郵便局。

阿古地区は島の中心地ともいえるエリア。飲食店、売店、宿、温泉、郷土資料館、観光協会など、観光にうってつけの施設が立ち並びます。

2023年4月に三宅島阿古郵便局の局長に就任した梶原さんは、都内での郵便局勤務を経て、公募で八丈島の郵便局に異動。11年の勤務の後、三宅島にやってきました。

梶原さんは、三宅島阿古郵便局の特徴について次のように説明します。

「ここでは窓口の状況が、都会とは違います。例えば、都会ですと1日の来局数が多いので、お客さまをお待たせしないようスピーディーな対応も必要になってきますが、三宅島では、1日の来客数はそれほど多くはないですし、ご高齢の方も多いので、お客さまとじっくりとお話ししながらの対応が多いです」(梶原さん)

都会と比べるとお客さまの数は少ないですが、それでも取材中は、コンスタントにお客さまが来局されていました。その理由を梶原さんに聞いてみると......

「島にはコンビニがないため、銀行ATMを利用するにも、郵便局か、島に一つある信用組合に足を運ぶことになります。もちろんすべてではないですが、都会ではコンビニが担っているような役割も郵便局が担っている形となります」(梶原さん)

地図で三宅島を説明する梶原さん。三宅島はJR山手線の内側と同じくらいの大きさと教えてくれました

住民の方々にとって、郵便局はなくてはならない存在といえそうです。また、三宅島の郵便局を特徴づけるのが、局内に設置された「脱硫機」。

脱硫機とは、火山の噴火で発生する有毒ガスを除去してくれる装置。歴史的に、たび重なる噴火を経験してきた三宅島は、その火山活動によって形成されたダイナミックな自然が魅力となる一方で、火山はまた人間にとって脅威でもあります。自然の美しさと厳しさとともに生きる三宅島の人々の歴史を、その脱硫機は物語っているようです(※)。

※現在は、人体に有毒な成分はほとんど検出されていません。

絶景に囲まれながら、自分のペースで働ける環境

三宅島阿古郵便局では、現在5名の職員が勤務しています。そのうち、梶原さん、久保田さんは、離島勤務の公募に応募をして三宅島にやってきたメンバー。なぜ離島での勤務を志望されたのでしょうか。

「もともと都内で勤務していたのですが、公募には10年間も応募し続けていて、念願の離島勤務だったんです。実は八丈島には行ったこともなくて、旅好きや島好きというわけでもなかったのですが、島っていいなというイメージがずっとあって。実際に働いたら、島の雰囲気や人間関係が性に合っていたのか、ずっと楽しみながら働けています」(梶原さん)

「私も都内の郵便局で働いていたのですが、ダイビングが趣味なので、プライベートで伊豆諸島に行くことは何度もあったんです。公募があるというのを知ったのは、後になってからで、島のゆったりした雰囲気や、住んでいる人たちの優しさに惹かれて応募しました」(久保田さん)

6月と10月の年に2回解禁される人気のダイビングスポットのメガネ岩

高橋さんは公募ではありませんが、小笠原諸島の父島で初めて離島勤務を経験し、島のよさに魅了されたメンバーです。それでは島で働く魅力とは何なのでしょうか? まず3人が挙げるのが、自然環境の豊かさです。

「休日に島内をジョギングしているのですが、お気に入りは海沿いの道路を走って、島の北西にある伊豆岬灯台まで行くコース。あそこからは天気がいいと、新島、神津島を見ることができるんです。ベストコンディションの天候だと富士山も見えますよ」(高橋さん)

明治時代に建てられた石造の伊豆岬灯台。ベンチなどもあり、景色を眺めることができます

「海も近いし、山も近いし、三宅島の自然環境は魅力的ですね。私のおすすめスポットは赤じゃり公園。高台の道路から大久保浜の海岸線が広がって、その向こうに海と伊豆七島のいくつかの島々がバーンと見えます」(梶原さん)

大久保浜を見渡すことができる赤じゃり公園。空気が澄んでいる日には房総半島まで見えるとのこと

「ダイビングができるのも魅力なんですが、三宅島はふらっと歩いていける場所に豊かな自然があって、ぼーっとしているだけでも癒されるんですよね」(久保田さん)

さらに久保田さんが感じる離島勤務の魅力は、島の人との交流なんだそう。

「本当に島の皆さんがすごく優しいです。野菜や果物をおすそ分けしてくれたり、お祭りとか、島のイベントに誘ってくださったり、郵便局の窓口を介して仲良くしていただいています。そういった『迎え入れてもらえている』という安心感が、今こうしてのびのびと働くことができている一番の理由なのかなと思います」(久保田さん)

ほかにも、高橋さんは島特有ののどかな雰囲気でランニングなど自分の趣味に没頭できることに魅力を感じるのだそうで、梶原さんは仕事終わりに「島の飲み屋でバッタリ会ったお客さまとお酒を飲むのも楽しみ」なんだそうです。それぞれのスタイルが尊重されて、自分のペースで働けるというのも離島勤務の魅力かもしれません。

島の郵便局勤務という、都会では味わえない特別な体験

人それぞれに適性はあれど、都会での勤務を経て離島にやってきた3人にとって、ここは自分らしく働ける理想的な職場環境だったようです。島の魅力として高橋さんが「通勤時間の短さ」を挙げると、梶原さんと久保田さんも同意しました。

「島での生活は車がないと不便ですが、都会よりも通勤がしやすくていいですよね」(梶原さん)

「通勤のしやすさもそうですし、とにかく三宅島では、ストレス自体が存在しないんですよね。何か特別なことをしなくても、ちょっと外に出るだけでリフレッシュできます」(久保田さん)

離島というと「生活に不便」というイメージがつきまといがちですが、それも一昔前の話。3人のお話を聞いていると、船や飛行機ですぐに内地に行くことができる(三宅島だと、東京本土から飛行機で50分、船で6時間30分)、ネット通販も利用しながらある程度のものは手に入れることができるなど、思ったほどの不便さはないようです。

最後に、これからの仕事への取り組み方について3人にお話を聞きました。

「やはりお年寄りの方が多い地域ですので、ご案内するときもお客さまに話をしっかりとご理解いただいているかを意識しながら、丁寧にわかりやすく対応していくことを、今後も心がけていきます」(高橋さん)

「どこに行くにつけても車での移動が必要な環境となりますので、郵便局に行くのもお客さまにはちょっとした手間。だからこそ、また足を運びたいと思ってもらえるような接客をして、お客さまが自然と郵便局に集まるような状況を作っていきたいですね」(久保田さん)

「やはり郵便局として、地域に寄り添った存在でありたいと思います。地元の方々とのつながりは大事にしていきたいですね。そのためにもまずは新任局長として、早く顔を覚えてもらえるように(笑)、交流を深めていければなと思います」(梶原さん)

島では、都会にはない特別な経験ができると語る梶原さん。仕事のやりがいも、生活の魅力も味わえることが、3人が離島で働き続ける理由なのかもしれません。

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