【グループ企業探訪記】事業再編により効率的かつスピーディーな一括物流体制を構築!新たに誕生したJPロジスティクスグループ株式会社、JPロジスティクス株式会社が描く未来とは?

【グループ企業探訪記】JPロジスティクスグループ株式会社、JPロジスティクス株式会社

INDEX

日本郵政グループのさまざまな関連企業を巡り、働く人たちの想いや、企業の風土などを取材する企画「グループ企業探訪記」。今回取り上げるのは、JPロジスティクスグループ株式会社と、JPロジスティクス株式会社。2023年4月1日、事業の再編に伴い社名を変更し、グループの企業間(BtoB)物流事業を担う中核子会社への成長が期待されている同社について、両社の代表取締役社長 長谷川 実(はせがわ みのる)さん、JPロジスティクスグループ株式会社 管理部の高梨 成一(たかなし せいいち)さん、JPロジスティクス株式会社 東京支店 グローバル・フォワーディング部の清水 憲吾(しみず けんご)さんにお話を伺いました。

長谷川 実(はせがわ みのる)さん

JPロジスティクスグループ株式会社
代表取締役社長
JPロジスティクス株式会社
代表取締役社長

長谷川 実(はせがわ みのる)さん

1988年、当時の郵政省に入省。日本郵便株式会社の中国支社長やJPビズメール株式会社社長などを経て、2023年4月にJPロジスティクスグループ株式会社とJPロジスティクス株式会社の代表取締役社長に就任。

高梨 成一(たかなし せいいち)さん

JPロジスティクスグループ株式会社
管理部 シニアマネージャー

高梨 成一(たかなし せいいち)さん

2014年、日本郵便株式会社に入社。2016年から本社国際物流戦略室に配属され、JPトールロジスティクス株式会社設立プロジェクトに携わる。2023年4月より現職。

清水 憲吾(しみず けんご)さん

JPロジスティクス株式会社
東京支店 グローバル・フォワーディング部
営業ユニット 担当部長

清水 憲吾(しみず けんご)さん

2008年、当時の郵便局株式会社に入社。2015年より当時のToll Holdings Limitedに出向し、香港、上海での勤務などを経て、2020年8月に本社国際物流事業部に配属。2023年4月より現職。

多様化・高度化する顧客ニーズに応えるべく事業を再編

――まず、事業再編によって2社を設立した背景についてお聞かせください。

長谷川:日本郵便では、これまでも物流子会社の強化を図って参りまして、2018年には、国内外での物流事業をワンストップで行うために、グループ子会社のトールエクスプレスジャパン株式会社(以下:TXJ)が担うエクスプレス事業(※1)に加え、新たにコントラクト事業(※2)およびフォワーディング事業(※3)の2事業を新たに担う会社としてJPトールロジスティクス株式会社(以下:JPトール)を発足させました。

※1 本記事においては、荷物の集荷から、個人や会社、工場などへの配達を行うもの(ゆうパックは30kg以内の荷物が対象だが、それ以上の重量の荷物が主な対象)

※2 本記事においては、荷主と長期の契約(コントラクト)を結び、主に倉庫業務を行うもの。在庫管理やパッキング業務(輸送を目的とした、荷造り・梱包業務)などについて、荷主が求める出荷形態に合わせて、オーダーメイド型でサービスを提供するもの

※3 本記事においては、荷主と運送事業者の間に立ち、荷主から貨物輸送の依頼を受け、船、飛行機などの輸送手段の手配について、海外との輸出入に必要な通関事業も組み合わせて行うもの

今般、物流業界を取り巻く環境が厳しくなっているなかで、2018年の取り組みをさらに前進させ、荷物の倉庫での保管・管理から輸配送までをワンストップで提供する体制を強化するため、TXJとJPトールの2社を改めて再編し、JPロジスティクスグループ株式会社(以下、JPロジスティクスグループ)とJPロジスティクス株式会社(以下、JPロジスティクス)の2社を新たに設立しました。

――今回の再編により物流サービスをワンストップで提供する体制が強化されるという点について、具体的にお聞かせください。

長谷川:今回の再編は、物流戦略の企画・立案を担う持株会社としてJPロジスティクスグループ、実務を担う事業会社としてJPロジスティクスという形に整理したものです。これまでもJPトールとTXJは親子関係にあったので、JPトールが担っていたコントラクト事業およびフォワーディング事業と、TXJが担っていたエクスプレス事業については、親子関係をもとに、連携して一貫したサービス提供を行ってきましたが、今回の再編で、これまでJPトールとTXJとで分かれていた3事業(コントラクト事業・フォワーディング事業・エクスプレス事業)を事業会社のJPロジスティクスに一括で任せることで、ワンストップでのサービス提供体制をより強化しました。

一方、JPロジスティクスの持株会社となるJPロジスティクスグループは、実務面をすべてJPロジスティクスに任せるので、物流戦略の企画・立案に注力することができます。そして、JPロジスティクスを物流の世界においてさらに大きな会社へと育てていくため、将来的な他社との資本提携やM&Aなどの検討も担います。

さらに、これまでは、JPトールもTXJも、日本郵便の国際物流子会社であるToll Holdings Pty Limited(以下、トール社)の資本が入っていたため、両社とも日本国内にある会社であるにもかかわらず、オーストラリアのトール社にも状況を報告しながら事業を行っていました。今回の再編により発足させた2社については資本関係を見直し、日本郵便の直轄とすることで、意思決定をよりスピーディーに行うようにしたことも、今回の再編のポイントの1つです。

2023年4月に実施した事業再編のスキーム

――これまでJPトールとTXJとで分かれていた3事業を、JPロジスティクスに移管して一括で行うことで生まれるシナジー効果については、どのようにお考えでしょうか。

長谷川:まずは、今回の再編の狙いでもありますが、JPロジスティクスが一括して3事業(コントラクト事業・フォワーディング事業・エクスプレス事業)を担うことで、お客さまの多様なニーズにワンストップで対応できるようになり、より効率的かつスピーディーにサービスを提供できるようになることです。これまでも、お客さまから「倉庫業務だけではなくトラック配送もいっしょにやってもらえないか」とか、エクスプレス事業のご提案に行った先で「倉庫が老朽化しているので相談にのってもらえないか」などのご要望をいただくことがあったのですが、それぞれ別会社が担当していたため、どうしても少しお時間をいただくこともありました。これからは、3事業とも1つの会社が担うことになりますので、お客さまによりよいご提案ができると考えています。

本社2拠点体制により国内BtoB物流事業をさらに強化

――JPロジスティクスは、東京・大阪の本社2拠点体制をとられていますが、それによるメリットや強みについて教えてください。

長谷川:もともと、前身のTXJは大阪に本社を置いていて、関西を基盤として西日本に広いネットワークを持っていた一方で、JPトールは東京に本社を置いていたことから東日本が活動の中心でした。

こうした経緯を踏まえ、これまでのTXJやJPトールの基盤を活かすために、東京・大阪の本社2拠点体制を採用することにしました。それによって広いネットワークをカバーできますので、他社にはない強みにもなると思います。

――物流業界全体が抱える社会的課題に「2024年問題」がありますが、それに向けてどのような取り組みをされていますか?

長谷川:物流業界は、他の業界と比べても、実際に荷物の積み降ろしをしたり運転したりするので、現時点では人手に頼る部分がとても大きいです。

いわゆる「2024年問題」は目の前に迫っていますので、どのような影響が出るかについて、さまざまなシミュレーションを実施しているところです。

この「2024年問題」は弊社だけではなく、物流業界全体課題でもあり、同業他社も同じ悩みを持っています。この4月には近物レックス株式会社と業務提携を結び、2024年問題など物流業界が抱える課題に対し、ともに解決に向けて検討を進めているところです。

事業メンバーが語る企業風土

――所属部署と業務内容を教えてください。

高梨:私が所属しているJPロジスティクスグループは、2023年の4月にできたばかりの会社ということもあり、少人数の組織です。現在は、管理部のシニアマネージャーとして、人事や総務などJPロジスティクスグループにおける共通系業務全般に加え、グループ戦略の策定やM&Aなどの新しい協業に向けた取り組みを担当しています。

清水:私はJPロジスティクスの東京支店で、グローバル・フォワーディング部の営業ユニットに所属しています。もともとトール社に出向し、海外でもフォワーディング事業に携わっており、統合前はJPトールで同じく営業ユニットを担当していましたので、以前の業務を引き続き担っています。親会社であるJPロジスティクスグループのスタッフとも日ごろから密にコミュニケーションを取りながら業務を行っています。

――部署の人数や社内の雰囲気を教えてください。

高梨:管理部は現在、私を入れて4名で、20〜30代の社員による、かなり若い組織です。非常に風通しがよいのでコミュニケーションが取りやすいですし、自分たちのやりたいことに向けて頑張るというポジティブな空気があると思います。

清水:私が所属するグルーバル・フォワーディング部は30名弱が所属しています。私のように日本郵便から出向しているメンバーもいますが、もともとフォワーディング業務をやられていたプロパーの方も多いです。

部内の雰囲気としては、うちもコミュニケーションが取りやすく、意思決定もスピード感をもってテンポよく進める組織だと感じています。

高梨:私が所属する管理部以外の部署も、いずれも数名程度と組織体制はまだそれほど大きくはありませんが、どの部署においても社員同士に限らず上司とも活発なコミュニケーションが図れることが特長だと思います。

事業再編、社名変更による社内外の反応

――事業再編や社名が変更になったことで、お客さまから反応はありましたか?

高梨:お客さまからは、社名にJPが付いたことで、日本郵政グループの会社であることが「わかりやすくなった」と言われます。また、今回の事業再編で「日本郵便が物流事業を強化していくという印象を受けた」というコメントもありましたね。

輸送トラックやユニフォームは、日本郵政グループのコーポレートカラーである赤に

清水:特に日本国内のお客さまに関しては、社名上、日本郵政グループの一員であることがわかりやすくなったことで、より信頼感が増したような印象があります。

――仕事を通じての今後の目標や、成し遂げたいことを教えていただけますか。

高梨:まずは会社で掲げている、1,000億円の収益を目指すこと。そのために、今回の事業再編により物流戦略を担当することになった持株会社に属する者として、このJPロジスティクスグループをより大きく成長させ、物流業界での存在感を示していくために、業務提携やM&Aといった外部との連携などの実現に寄与したいという思いがあります。

さらに、現時点の子会社はJPロジスティクスだけですが、今後M&Aなどを経ていけば子会社も増えると思いますので、将来的には、そうした子会社の運営などにも携わって、JPロジスティクスグループを日本郵政グループの成長に貢献できるような中核企業に育てたいですね。

清水:いま私が営業職として力を入れているのが、JPロジスティクスのフォワーディング業務を広く世の中に知ってもらうことです。

お客さまのなかには、日本郵便のグループ会社が、これだけグローバルに物流事業を展開していることをご存じない方もまだ多いです。今はまだ決して大きな会社ではないですが、組織を強化し、われわれの活動を通じてJPロジスティクスという会社を多くの人に知ってもらうことをモチベーションに頑張っています。

企業として目指す未来像とは

――最後に長谷川社長に伺います。JPロジスティクスグループならびにJPロジスティクスという会社の未来像を、どのように描いているのでしょうか?

長谷川:少子化など人口減によるマーケットの縮小といった厳しい流れのなかでは、国内だけではなく、海外という大きな市場に目を向けていく必要があります。

日本郵便というと国内のイメージが強いとは思いますが、企業としてより一層の成長をしていくためには、市場が大きく、今後も成長が考えられる海外市場に対して目を向けていくことが非常に重要であり、JPロジスティクスグループとJPロジスティクスが担っている役割がまさにそれに当たります。

日本郵政グループのなかで、国際物流戦略やBtoB戦略に関する中核的な組織として貢献できる会社になること。それが、JPロジスティクスグループ、JPロジスティクスの未来の姿だと考えています。

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