見ているのは2030年の郵便局の姿! 新しい買い物体験を提供する「JPショールーム」、始動

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日本郵政株式会社と日本郵便株式会社は、2022年2月28日から郵便局内の空きスペースを活用し、Eコマース(ネット通販)などで販売されている商品を展示する「JPショールーム」の試行運用を始めました。このサービスでは、郵便局のネットショップや楽天市場などで販売されている商品の一部をその場で見て、触れて、実際に試すことができます。

JPショールームを立ち上げたのは、日本郵政グループの若手社員が既存の枠組みにとらわれない発想でグループの変革を目指す組織「JP未来戦略ラボ」。今回は、JP未来戦略ラボ室長の安部 耕太(あべ こうた)さん、マネジャーの山本 奨(やまもと しょう)さんに施策の背景や今後の展開について伺いました。

JP未来戦略ラボ 室長

安部 耕太(あべ こうた)さん

2008年、郵便局株式会社に入社。郵便局での勤務を経て、本社の営業企画部で市場調査・データ分析を担当後、中国支社で人事系・営業系の業務に従事。本社の経営企画部や総務部、4年半の海外赴任を含む国際物流部門勤務等を経て、2021年7月からJP未来戦略ラボの室長を務める。

JP未来戦略ラボ マネジャー

山本 奨(やまもと しょう)さん

2012年、株式会社ゆうちょ銀行に入社。2年間の窓口業務を経て、本社の人事部で制度企画担当として人事制度の改正や働き方改革に携わる。現在は、営業統括部に所属しながらJP未来戦略ラボのマネジャーを兼務。

これまでの枠組みにとらわれない新しいチャレンジ

「JPショールーム」は、リアルとデジタルを融合した郵便局の新たな価値の創造を目指す取り組みです。2022年2月28日から3月26日までの間は試行運用期間として、東京中央郵便局(東京都)と都筑郵便局(神奈川県)の2拠点で、提携する楽天グループ株式会社のインターネットショッピングモール「楽天市場」の人気商品である家電3点と、郵便局のネットショップの商品を展示しています。

今回の試行運用で選ばれた商品テーマは「もっと輝く、おうち時間」。コロナ禍で注目を集める家庭用プロジェクターやロボット掃除機、バランスボールなど厳選された商品が展示されています。

東京中央郵便局内の一角に設けた「JPショールーム」の展示スペースで、お客さまは好きな商品を実際に手に取って体験することができます。タブレット端末の映像で商品の説明を流し、"売るための接客"は行わないのが特徴です。また、その場では販売を行わず、購入は設置されている二次元コードから商品ページへアクセスし、インターネット上で行います。

JP未来戦略ラボの山本さんは、すでにお客さまからもポジティブな反応をいただいていると話します。

「試行運用を開始してまだわずかですが、お客さまからは『材質などは実際に触ってみないとわからないことも多いので、試せる場所があると購入のきっかけになる』とのお声をいただいています。今回はコロナ禍におけるおうち時間をテーマにしましたが、今後はお客さまのニーズや展示したい企業さまからの要望を受けて商品を変えていく予定です」(山本さん)。

「JPショールーム」を発案・企画したのは、2021年7月に発足した新組織「JP未来戦略ラボ」です。日本郵政の社長直属の組織で、中期経営計画「JPビジョン2025」の実現を目指して取り組んでいます。現在32名の社員が、大きく5つの課題認識(※1)のもと5つのチームで活動しており、その大半が日本郵政グループ各社との兼務者である点も特徴の一つです。

※1「1.お客さまの徹底的な理解」「2.お客さまが求める新たなサービスの提供・改善」「3.お客さま第一のサービス提供体制の構築」「4.お客さまの期待に応える人材の育成」「5.お客さまへのサービス改善に繋がる効率性・生産性の向上」

JP未来戦略ラボは、若手を中心にしたメンバーが、日本郵政グループの横断的な課題に向き合うための組織です。企画の立案や提言だけではなく、自分たちもしっかり汗をかいて実行していくことが、この組織で大切にしていることの一つです」(安部さん)。

JPショールームの取り組みは、JP未来戦略ラボが掲げる課題の一つ目である「お客さまの徹底的な理解」を目標に誕生しました。ベースとなった考え方について、安部さんは次のように話します。

「2025年に向けて、日本郵政グループでは中期経営計画を発表していますが、私たちはさらにその先の2030年の未来も意識しながら施策を検討しました。今よりさらにデジタル化が進んだ未来では、大半のことがネットでも完結できるようになるはずです。そのような社会環境下では、例えば"おもしろい"、"楽しい"と感じられるような、お客さまにとって「価値のある体験」を提供できない店舗には、お客さまが足を運ばなくなる可能性が高いと思っています。これは郵便局だけでなく、全ての店舗にとっての課題です。将来的な課題から立ち戻って、郵便局を『行きたい場所』にするために、何をすべきかを考えた時、今から独自の魅力や来店のきっかけを作っておくことが必要だと考えました。
そのために、お客さまをしっかり理解して、お客さまが求めている価値に対して私たちがサービスを提供していくことが大切です。JPショールームは、お客さまにとって郵便局に足を運ぶ一つの動機になるとともに、私たちにとってはお客さまのニーズを理解するための取り組みでもあるんです」(安部さん)。

JPショールームは新聞・テレビにも取り上げられています。来場者からは「テレビを見て気になったので来ました」という声も聞かれており、このショールームの存在が、実際に来店のきっかけに繋がっているようです。

先端ビジネスモデルとデータ活用で、"三方良し"を目指す

展示のみを行い、その場で商品の販売を行わないJPショールームは、先端のビジネスモデルである「RaaS(Retail as a service=サービスとしての小売)」を目指しています。

「我々が在庫を持って自ら小売に参入するのではなく、場所を貸すことで小売業者やメーカーなどの販売の助けになるサービスができないかと考えました。スタートアップ企業の取り組みなども参考にして、先端のビジネスモデルであるRaaSに挑んでいるところです」(山本さん)。

JPショールームでは、将来的に全国の郵便局の空きスペースが展開場所となり得ることから、商品を展示する小売業者やメーカーにとっても、オフィス街から住宅地まで、さまざまな場所に販売チャネルを広く展開できるメリットがあります。また、AIカメラで来場者の年代や性別、視線などを分析し(※2)、お客さまの興味関心などをデータ化して出品企業にフィードバックすることで、マーケティング面の共創を目指すことも目的の一つです。

「商品に対するお客さまの反応を示す統計データが得られれば、出店する企業の方にとってもメリットになるはずです。今回の取り組みで、実際の店舗を持っていないECプラットフォーマーやD2C分野(※3)の事業者さまには『実際に物を体験できる場があれば、どんな反響があるかを試してみたい』というニーズがあることもわかりました。
日本郵政グループとしても、お客さまの属性や興味を持った商品の情報を蓄積できれば、その地域ごとのお客さまのニーズも把握でき、元々の課題認識であるお客さまの理解にも繋がると考えています。お客さまはもちろん、事業者の方にもメリットがある。そして私たちとしては顧客接点が増え、顧客理解もより深まることに期待を込めています」(安部さん)。

※2個人を特定しない統計情報としてデータを保有し、取り扱います。
※3 Direct to Consumer (消費者直接取引)の略。自社で企画・製造した製品を、卸売業者や小売店舗を介さず、自社Webサイト等を使って直接販売まで行う形式のビジネスです。

全国各地で展開できるモデルを目標に

JPショールームは、体験できる商品を刷新し展示方法などの改善を重ねながら全国の郵便局の空きスペース活用に向けて展開し、地域活性化への貢献やインバウンド対応も想定しています。今後の展望について、山本さんは次のように話します。

「JPショールームを事業化し、地元のお客さまや事業者のニーズに応じて、カスタマイズしながら全国どこでも展開できるようなメニューにすることを目標にしています。郵便局ごとのお客さまの層やニーズは、地元に根付いた郵便局の局員の方々が一番良くわかっていると思うので、一緒に考えていくことでより地域ごとのニーズに合ったショールームを作っていけるはずです。まずは、今回の試行運用から得た結果、お客さまからいただいた声を踏まえて、改善を重ねていきたいですね」(山本さん)。

先端のビジネスモデルを採用したJPショールームは、未来の「郵便局のあり方」を先取りする施策です。お客さまにとって新しい買い物体験ができる場となれば、郵便局は「もっと訪れたい場所」になるはずです。JPショールームの全国展開はもちろん、新組織JP未来戦略ラボの今後の施策にも注目が集まります。

<「JPショールーム」第一弾は2つの郵便局で開催中!>
2022 年 2 月 28 日(月)~ 3 月 26 日(土)

【実施場所】
・東京中央郵便局(東京都千代田区丸の内二丁目 7 番 2 号 KITTE 1F)
平日 10:00~19:00、土・日・休 9:00~18:00

・都筑郵便局(神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央 33 番 1 号)
平日 10:00~19:00、土 9:00~15:00(※ 日曜・休日は営業していません)

郵便局のネットショップ公式サイト

日本郵政プレスリリース

※撮影時のみマスクを外しています。

            

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