ローカル共創のススメVol.1地域を支える基盤づくりに郵政社員が挑戦! 「ローカル共創イニシアティブ」とは!?

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日本郵政グループにとって「地域(ローカル)」は、欠かすことのできない重要な存在です。本企画では、その「地域(ローカル)」をフィールドとした新たなプロジェクト、「ローカル共創イニシアティブ」について紹介していきます。

第1回は、当プロジェクトを立ち上げた小林 さやか(こばやし さやか)さんと、本部メンバーとしてその推進に力を尽くしてきた鈴木 保貴(すずき やすたか)さんに、プロジェクト発足の経緯や概要、そして目指す未来についてお話を伺いました。

日本郵政株式会社 新規ビジネス室 担当部長

小林 さやか(こばやし さやか)さん

2006年に日本郵政公社に入社。以来、主に不動産開発事業の企画・立案・実施に従事。2017年に日本郵便の社内副業制度を利用し、地域における郵政グループの不動産活用の在り方を模索し複数のプロジェクトを企画。新規ビジネス室へ異動後、本プロジェクトのほか、主に他社との共創施策を推進している。

日本郵政株式会社 JP未来戦略ラボ グループリーダー

鈴木 保貴(すずき やすたか)さん

2009年にかんぽ生命保険に入社。「JP未来戦略ラボ」に配属後、地域を舞台にした新規ビジネスを構想するなかで、小林さんと出会い、プロジェクトに加わる。現在は本部スタッフとして、小林さんとともにプロジェクトを推進している。

日本郵政グループのビジネスにおいて「地域」は強みが活かせるフィールド

――まず、「ローカル共創イニシアティブ」とは何なのか、その概要と、プロジェクトが立ち上がったきっかけについて教えてください。

小林:今回、私たちが立ち上げた「ローカル共創イニシアティブ」は、新たな共創への取り組みとして昨年から始動しました。地方創生ビジネス、ソーシャルビジネスを領域とするベンチャー企業に社員を派遣し、地域の方たちとビジネスベースで社会的な課題の解決を目指すプロジェクトです。

企画した目的は大きく二つあります。一つは、地域をフィールドにしてローカルベンチャーと共創施策を生み出していくこと。もう一つは、日本郵政グループにおいて、チャレンジしたい人材がチャレンジできる環境をつくること。2022年4月から全国各地に共創へのチャレンジの意思を持つグループ社員を8名派遣することになっています。

きっかけは、「社会に役立つ新しいことをしたい」と考えて入社した社員が、入社当初の志を遂げられず意気消沈する姿をこれまで数多く見てきたことにあります。「社会に役立つ新しいことをしたい」という思いは、郵便事業の創業者である前島 密(まえじま ひそか)翁の「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のために良かれと願う心を常に持てよ」という創業の精神に通ずるもので、私はこうしたマインドを「密マインド」と呼んでいます。


この「密マインド」を持つ社員がたくさんいることがグループの強みの1つですが、その強みを活かすソーシャルビジネス施策や、社員がのびのびとチャレンジできる環境が必要だとずっと考えていました。構想は約4年前にさかのぼりますが、近年のSDGsの潮流と企業の社会的責任に対する認識が高まってきたこともあって、昨年一気に話が進んでいきました。

――日本郵政グループ中期経営計画「JPビジョン2025」のなかには「地域」という言葉が度々出てきますが、プロジェクトの立ち上げに大きな影響を与えているのでしょうか?

小林:はい、「JPビジョン2025」で「社会的な課題の解決に向けた新規ビジネスなどの創出」を掲げており、このプロジェクトはその一環です。以前から、日本郵政グループが、0→1でビジネスを企画するにあたり、強みが発揮できるフィールドは「地域」だと考えていました。そこでローカルベンチャーのみなさんや郵便局のみなさんからお話を聞くようになったのですが、ローカルベンチャーと郵便局との接点があまりないことを知りました。

同じ地域を舞台に社会課題に向き合ってビジネスを行っているベンチャーと「密マインド」を持つ社員がたくさんいる当社グループが接点を深く持てないのは、きっときっかけがないだけなので、非常にもったいないと思いました。さらに、きっかけが持てた先に、持続可能な関係性を構築しなければお互いが苦しくなるので、どのような仕組みにするべきか検討を重ねていきました。その結果、今回のプロジェクトの地域の現場で「共創」を生み出す仕組みをつくる形に行き着きました。

鈴木:「JP ビジョン2025」の実現に向けて2021年7月1日付で設置された「JP未来戦略ラボ」に配属された私は、日本郵政グループが社会から求められる存在であり続けるための新サービスを考えることになったのですが、私も地域に大きな強みがあると考えました。なぜなら、全国の郵便局のみなさんが受け止めてきた地域の方々の声は、ほかの誰にも得ることができない貴重な財産だからです。この財産をもっと活かしていくためにはどうすればいいか考えていたところ、小林さんの構想を聞き、ほぼ即決でプロジェクトへの参加を決めました。

派遣する社員の選出には地域とのコミュニケーションを重視

――その後、プロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか?

小林:プロジェクトを進めることにゴーサインが出たのは2021年8月。グループ横断的なプロジェクトとして、大枠だけ決めて、細かいことは走りながらやっていくというスタイルで一気に進めていきました。それゆえ、事前のご説明が足りず、いろいろな部署の方にご迷惑をかけることが多々ありました。そのようななかでも、私たちのプロジェクトに共感し応援してくださる方が多く、本当にたくさんの方々に助けていただいています。

鈴木:具体的には8月に派遣者の公募を開始し、9月に書類選考と面接を行うことで、各地域3~4名の候補者を選びました。ただ、私たちがこだわったのは、派遣する社員の選出にあたり、一緒に仕事をすることになる地域のみなさんの意見を極力尊重することです。そこで設けたのが、私たちが「お見合い」と呼んでいた、派遣地域への現地訪問や候補者による企画提案の機会です。新型コロナウイルスの感染状況に配慮しつつ、候補者全員が現地を訪問し、地域のみなさんと交流させていただきました。

小林:直接会ってみて、お互いの人柄の理解は深まったと思います。候補者のみなさんにとっても、地域に入ったときの企画のイメージや、プライベートの生活のイメージが膨らむきっかけとして機能していたので、「お見合い」の期間を設けてよかったと感じます。そのあとに本社で最終面接が行われましたが、このときに得られた地域のみなさんの声を最終面接者が確認の上、面接し、派遣内定者8名が選出されました。

――「お見合い」を実施して印象に残ったことはありますか?

鈴木:印象的だったのは、「お見合い」をした直後、「とても人あたりがよく、事務処理能力も高そうだけれど、一緒に働いている光景がまだイメージできない」と、多くの地域のみなさんから異口同音に言われたことです。やはりローカルを舞台に活躍されているみなさんは、"能力がある人と働きたい"という以上に、"この人と一緒に働きたい"という思いを、とても重視されているのだなと改めて気づかされました。個人の意思や要望よりも、組織の意向を汲み取って働くことに長けた日本郵政グループの社員が、まったく異なる価値観を持つ方々のなかに飛び込んで一緒に働くためには、考え方を変える必要があると痛感しましたね。候補者にとっても、自分が一緒に働くことになる人たちとじっくり話し合う過程で、なぜプロジェクトに応募したのか、そして、なぜ日本郵政グループに入社したいと思ったのか、そういった自分自身の原点に立ち戻るきっかけになったのではないかと思います。

派遣地域の一つである奈良市の月ヶ瀬地域の風景。のどかな風景が広がっている。

日本郵政グループの社員全員でプロジェクトを応援したい!

――2022年4月以降、本部スタッフとして派遣社員の方々へどのようなサポートを行う予定でしょうか?

小林:地域の課題解決の答えは、本社がある大手町ではなく現場にしかありませんので、基本的に最前線にいる派遣社員の意向や企画内容を尊重し、本部では具現化に向けた事業検証やメンタリングなどの部分で伴走していきます。

鈴木:本部スタッフ側にも地域ごとの担当者を配置します。私は島根県雲南市を担当する予定ですが、派遣社員のよき相談相手であり続けたいと思っています。

小林:本部とのミーティングは定期的に行っていく予定です。また、今回、同時多発的に複数の地域に社員を派遣するのは、ビジネス企画上、横展開を期待する狙いがありますが、フランクな相談相手として派遣社員同士の横のつながりをつくるという狙いもあります。がらっと生活環境が変わり、仕事のスタイルもまったく違う場所に飛び込んでいく社員たちの苦労は、本部スタッフでは計り知れない部分があると思いますので、同じ境遇に置かれて、同じような悩みを持つ社員たちが互いをサポートし合える枠組みをつくっていく予定です。

鈴木:加えて、本部スタッフ以外の社員が派遣社員をサポートできる仕組みをつくりたいとも思っています。派遣社員が地域で困ったり、悩んだりしたとき、私たち本部スタッフの知見では解決できないことがほとんどだと思います。ですが、40万人もいる日本郵政グループの社員が派遣社員を応援できる仕組みをつくることができれば、きっと誰かが的確なアドバイスを投げかけてくれるはずです。

私が「お見合い」のサポートで訪問した島根県雲南市には、誰かの「○○なおせっかいをしたい」に対して、立場を超えて集まった地域のみなさんがアイディアを出しながら一緒に新しいものをつくっていく「地域おせっかい会議」というものがあります。私も、「日本郵政版おせっかい会議」を立ち上げ、派遣社員へのサポートをより円滑に行うだけでなく、みんなでプロジェクトを進めていきたいと思っています。「次は自分が挑戦してみたい」、「派遣社員を全力で応援したい」と考えてくれる社員を増やしていきたいですね。

持続可能な未来を築いていくために、これから必要なこととは?

――今回の派遣社員の活動期間は2年間を予定していると伺っていますが、どういった成果を期待されていますか?

小林:ローカルベンチャーとの接点を活かし、新しいビジネスの種や地域におけるグループの新たな役割を見つけ、2年間で共創の形がみえる段階まで進めることを目指しています。まずは恐れずにチャレンジして、たくさん失敗しながらも前に進んでもらいたいです。また、今回のスタートをきっかけに、今後、他地域や他企業との共創関係の広がりを期待しています。

鈴木:派遣社員の活動期間は2年間ですが、2年後には地域のみなさんに「派遣社員とずっと一緒に働きたい」と言われて困っているかもしれないとも思っています。それが、地域のみなさんと一緒に本気で働いた証なのではないでしょうか。とにかく、「日本郵政グループで経験を積んできた人間と一緒に働くことができてよかった」と言われて戻ってきてほしいですね。

――最後に、「ローカル共創イニシアティブ」をきっかけに、これから日本郵政グループはどのような未来を目指していきたいと考えていますか?

小林:日本郵政グループは地域のインフラ機能を担っていますが、地域から期待されている役割がほかにもあるはずです。郵便局はさまざまな場面で地域のお客さまの声を聞き、深い理解を持つことで信頼関係を構築しています。そうした関係性を基礎に、志を同じくする多様な企業との共創を積み重ね、人や地域資源やナレッジを循環させることにより、持続可能な地域を実現することが理想だと考えています。「ローカル共創イニシアティブ」を通じて、地域社会における普遍的なニーズを、点ではなく面で、ポタポタではなくひたひたに満たせるような「新たなユニバーサルサービス」を、時代の変化に対応しながら展開していきたいです。

鈴木:日本郵政グループが、地域ですばらしいことを創出できる人材から選ばれる魅力的な企業であってほしいと思います。

小林:このプロジェクトをきっかけに、お客さま、企業、自治体などの多様なセクターの方にも、"日本郵政グループが、何かおもしろそうなことをやろうとしている"ことを、知ってもらえたらうれしいです。

鈴木:今回、プロジェクトを進めるにあたってお話をさせていただいたローカルベンチャーのみなさんにも、「日本郵政がそこまでやってくれるなら、日本の社会自体が本当に変わっていくはずだ」とおっしゃっていただきました。最初はいろいろな方にご迷惑をかけてしまうかもしれませんが、私も派遣社員や地域のみなさんと一緒に本気で働いていきます。

派遣される社員たちの声

日本郵便株式会社 チャネル企画部 チャネル戦略担当 係長
光保 謙治(みつやす けんじ)さん

――「ローカル共創イニシアティブ」に応募された動機は何でしょうか?

光保:これまでのキャリアでは、郵便局の店舗戦略に長く携わってきました。そのなかで、これから全国の郵便局のネットワークを維持し、お客さまの生活の向上に貢献していくためには、地域において郵便局のプレゼンスを高めるビジネスが必要になると思っていたところ、今回のプロジェクトを知り、応募しました。また、これまで、首都圏のほか、京都や松山、福井など、いろいろな場所で暮らしてきましたが、そうした地域での出会いが、自分のルーツになっていると感じます。これらの地域を含め、日本全国が今後も元気であってほしい、という思いが強くありました。

――なぜその地域を志望されたのでしょうか?

光保:私が志望したのは奈良県奈良市にある月ヶ瀬地域です。月ヶ瀬地域では、新たなビジネスモデルをゼロから考えていく必要があり、候補地のなかでは最もフラットな状態であったことが、一番の理由です。また、当該地域には1,200名ほどの方がお住まいになっていますが、これは候補地のなかでは最も小さな単位であることから、ここでビジネスを成功させることができれば、その知見をより規模の大きなところにも広げていけると考えたため、この地域を希望しました。なお、奈良は出身地のすぐ近くですし、とても親しみのある地域です。地域で働くという暮らし方も自分に合っていますし、今回のプロジェクトはUターンのような気持ちでもあります。

――これからの意気込みをお聞かせください。

光保:私が日本郵政グループに入社した動機の一つとして、全国の郵便局を起点に、日本という国をよりよく存続させることに貢献したいという思いがあります。今回、与えていただいたチャンスを活かし、地域の方々と新しいビジネスを共創していくことで、全国の郵便局のプレゼンス向上、ひいてはサステナブルな日本をつくっていきたいと考えています。差し当たって、本プロジェクトをしっかりと成果につなげ、「地域のみなさんと、郵政を形づくられているみなさんのおかげで、こんなことができました」と報告することで、郵政にはやれること、やるべきことがまだまだあるんだ、と思っていただければ幸せです。

日本郵政株式会社 人事部 人事企画担当 主任(ゆうちょ銀行から出向中)
三好 達也(みよし たつや)さん

――「ローカル共創イニシアティブ」に応募された動機は何でしょうか?

三好:日本郵政グループの今後の発展のために、高齢層から若年層への移行を促進する商品や事業を展開する糸口にしたいというのが大きな動機です。また、『日本郵政のひみつ』という学習漫画の制作に携わったことをきっかけに、前島密をはじめとした創業当時の人たちの思いや現在さまざまな分野で活躍している社員の熱意にふれ、自分でも新たな領域に挑戦したいという気持ちが高まっていたのと時を同じくして、プロジェクトの公募があることを知り、応募にいたりました。

――なぜその地域を志望されたのでしょうか?

三好:私が志望したのは宮城県石巻市ですが、その理由は大きく二つあります。一つは、石巻市のローカルベンチャーが行っている「空き家の再活用」という事業内容と、日本郵政グループの事業をかけ合わせることで、より一層の地域の活性につなげられると考えたこと。もう一つは、相続の際に多く生じる「空き家」にかかわる事業は、「長い人生をサポートする」という点で、日本郵政グループ各事業の方向性と親和性が高く、派遣終了後も、そこで得た経験を会社に還元することができるのではないかと思ったことです。

――これからの意気込みをお聞かせください。

三好:派遣先で経験するのは、はじめてのことばかりになると思いますが、これから先に生じる困難も含めて、とてもわくわくしています。意欲だけで派遣され、結局、何もできなかったということにならないよう、会社と地域のためになる道筋を見いだすことに全力を傾けていきたいです。

派遣地域の一つである石巻市のホップ畑。夏には爽やかなホップのグリーンカーテンが広がる。

※撮影時のみマスクを外しています。

            

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