日本郵政グループ女子陸上部、鈴木亜由子選手に聞く「失敗から前に進めるとき」

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東京2020オリンピックマラソン女子日本代表・鈴木 亜由子選手に聞きました。挫折から自分らしく"立ち直る力"は"待っててくれる人がいる"が原動力に

日本郵政グループ女子陸上部一期生にして現在もエース、東京2020オリンピック マラソン女子日本代表の鈴木 亜由子(すずき あゆこ)さん。髙橋監督曰く「彼女を悪く言うコはいない」「よそのチームにも人気なんですよ」。創部当時「亜由子さんと一緒に走りたい」と多くの有望選手が集まってきたというエピソードも。そんな鈴木選手の陸上選手としての歩みは、ケガとの闘いの繰り返し。何度も挫折を繰り返し、そのたびに立ち直ってきた、その力はどこから湧いてくるんだろう? そんな思いでVERY編集部がお話を伺うと、子育てにも役に立ちそうなヒントがたくさん発見できました。

※本記事はVERY編集部の協力のもと制作しました。

鈴木 亜由子(すずき あゆこ)さん

日本郵政グループ女子陸上部

鈴木 亜由子(すずき あゆこ)さん

東京2020オリンピック マラソン女子日本代表。日本郵政グループ女子陸上部所属。中学校時代から各年代のトップクラスで活躍。度重なる大きな故障もその度に見事に復活を遂げてきた。座右の銘は「得意淡然失意泰然」。実力もさることながら謙虚で朗らかな性格も陸上ファンを魅了。

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VERY編集部

東京2020の結果は19位。まだ伸びしろはあると思えた

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編集部(以下、編) きっとトップアスリートであっても 、これまで幾度の挫折や落ち込むことがあったかと思うのですが、日本の陸上界を代表するトップアスリートの鈴木さんに、今日は、母として、子どもたちの〝立ち直る力〟の身につけ方を教わりたいな、と思っています。

鈴木選手(以下、鈴) 私も落ち込むことはしょっちゅう。でも、何回も失敗を経験して、その都度乗り越えることが大事だと思います。失敗慣れはよくないけど、乗り越えられることがわかれば失敗を怖がらなくなるんじゃないかなと。私は高校のときに大きなけがをして手術も経験しました。それまでの練習の積み重ねもゼロになり、選手としての立ち位置も変わってしまったけれど、それを乗り越えられたんだから、どんな状況でも対処できると思えるようになりました。

編 最近の子は、やる前から失敗を怖がる子も。鈴木さんは数々の大舞台を踏んでこられましたが、どのように気持ちを鼓舞するんですか?

鈴 どんなレースも緊張しますが、スタートラインに立つまでにどれだけ練習をしてきたか、それに尽きるので、自分はこれだけやってきたんだという自信の積み上げによって、本番に力が出せると信じています。

編 なるほど。この夏の東京2020オリンピックのマラソンはやっぱり特別でしたか? 19位という結果でしたが、少し後悔もしているとか。

鈴 そうですね。マラソン本番前の調整期間中に他の競技を観ていて、この状況を楽しめた選手が結果を出せているというのはわかっていたはずなんです。でもいざとなると結果を気にしてしまったし、楽しむにはほど遠かった。まだまだだなと。

編 でも、先ほど監督がおっしゃっていました〝負けたときのほうが得られるものがある〟〝3年後のパリオリンピックでの鈴木は楽しみだ〟と。

鈴 レース後、監督は「ここが本当のスタートだよ」と。正直、自分はすぐに次へ向かう気持ちになれなかったのですが、監督が、結果だけを見ず、そこから得られたものをプラスに見てくれる姿勢だったので救われました。監督の指導は普段からそうですね。それもあって、私も失敗を気にしなくなりました。いずれその失敗のおかげで自分が成長でき、目標が達成できるならいいと考えられるように。あ、でも今回はさすがに1カ月くらいは落ち込んだかな(笑)。

編 具体的には、今回得られたことは?

鈴 本当はスタート地点で〝思いっ切りやってこい!〟と自分に言ってあげたかったなと。ここに立てている自分を褒めてあげて、雰囲気に飲み込まれず、アグレッシブに挑めた人に、結果が付いてくるのかなって。自分の足りなかった部分がわかりました。今回のオリンピックを経験して、練習の取り組み方や、メンタル面でもさらに成長できる部分がたくさんあるのかなぁって。 この10月で30歳。今はまだまだこれからって思えています。

自分を信じて待ってくれる人に応えようとしたいから

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編 一方、うまくいかないときの「やめる力」「次に行く力」についても伺いたくて。子どもにはその子に合ったスポーツや習いごとを見つけてあげたいと思いつつ、ある程度続けていたり、結果が出ているとなかなか別のことに移る決断は難しいですよね。鈴木選手は、元々は、5,000m、10,000mの選手で、2015年世界選手権の5,000mで9位、2017年世界選手権10,000mで10位に入り、リオオリンピックにも出場されている。マラソン転向は2017年とお聞きしていますが、正直怖くなかったですか?

鈴 怖いというのはなかったですね。2度の世界選手権で8位入賞を目指していたけれどあとちょっとのところで届かなくて、世界で闘いたいと思ったときにマラソンかなと。でも、自分がマラソンに向いているかどうかわからないなか、優柔不断なこともあって、 なかなか決断できなくて。そんなとき、監督が「向いてる向いてないより、やりたいっていう気持ちが大事だよ」と言ってくださり、決心できました。やってみなきゃわからない、ダメだったらそのときに考えようと。先ほどの失敗をプラスにする話もそうですが、〝刺激〟って必要です。誰でも新しい目標を見つけて挑戦していくことは大事だと思います。

編 自分の性格を優柔不断とおっしゃいましたが、最終的な決断はどうやってするのですか?

鈴 上手くいかないときは散歩。緑のあるところでエネルギーをもらうんです。落ち込んだり、何か大きな決断をしなきゃいけないときはグルグル考えちゃうじゃないですか? いったん頭を空っぽにして切り離すことが大事。〝いったん時間を置く〟という作業。監督も、私が自分から動き出すまで待ってくれることが多いですね。

編 今日、お二人の話を伺って、〝待つ時間〟の大切さをすごく感じました。 VERY読者であるママたちも子どもたちに、考える時間を与えられているかなって、振り返るきっかけになったと思います。自分で考えさせるということはしているけれど、「今考えてるよ......」って言いながらダラダラしているのを見ると、「今、テレビ観てるじゃん!」とか言っちゃったり(笑)。本当にママたちが焦らず、 待つ時間も大切なんだなと。

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鈴 誰かが待ってくれるということは、自分が思っている以上に自分を信じてくれているということなんだと思います。だからその思いに応えたいと思いますよね。

編 本当にそうですね。今日は、貴重な時間をありがとうございました!

インタビュー動画

日本郵政グループ女子陸上部の「失敗が怖い」への処方箋 子どもの立ち直る力を育む親の「待つ力」

協力/VERY編集部
撮影/吉澤健太 ヘア・メーク/シバタロウ、谷口結奈<ともにP-cott> 取材・文/嶺村真由子

※撮影時のみマスクを外しています。

            

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