担当者が熱血解説! Vol.2 グループ報「郵政」の舞台裏 デジタル化へ向け、いま進化の時

INDEX
日本郵政グループの取り組みや活動の舞台裏に迫る本企画。今回は、長い歴史を持つグループ報『郵政』の制作の裏側をご紹介します。お話を伺ったのは、新旧の『郵政』担当者である沖田 直子さん、小林 鈴子さん、渡邊 寛之さんの3名。それぞれに『郵政』の制作秘話や印象的なエピソード、制作にかける想いなどについて語っていただきました。

日本郵政 広報部マネジャー
沖田 直子(おきた なおこ)さん
2011(平成23)年入社。
広報部は2年目となり、2021(令和3)年7月から『郵政』の主担当として制作に携わる。

日本郵政 広報部マネジャー
小林 鈴子(こばやし すずこ)さん
2010(平成22)年入社。
6年ほど『郵政』を担当。現在は広報部内の別の業務に携わる。

日本郵政 総務部マネジャー
渡邊 寛之(わたなべ ひろゆき)さん
1996(平成8)年、郵政省(当時)に入省。2017(平成29)年4月から2年間、『郵政』の主担当者として従事。
▶Lesson.1 必要なのはバランス感覚! この仕事を一言で表すなら、「小さな出版社」

『郵政』は1949(昭和24)年8月から発行され続けている、長い歴史を持った広報誌です。グループ内における「一体感の醸成」を目的に発行されました。現在の発行部数は毎月40万部ほどで、グループの全拠点に配布されています。担当者は発行の3カ月ほど前から準備を始め、発行までの間、緊張感を持って業務にあたっています。
沖田:毎号、2〜4ページほどの特集内容と台割(各ページの内容や構成を記載したもの)は、社員の皆さんが知りたいと思う情報を意識しながら決めていますが、文章の作成は担当部署の方たちにお願いするケースもあります。その方が〝一番伝えたいこと〟を届けられると思うからです。できるだけ多くの方の原稿を掲載したいので、男女比や地域比のバランスはとても意識していますね。
小林:郵政グループは、全国に拠点がある点が魅力の一つです。そのため、できるだけ記事のなかでも〝地域らしさ〟を出せるように工夫していました。表紙に『風景印』という郵便局固有の判子を毎号載せていた時期もありましたね。新型コロナウイルスが流行する前は、月に1〜2回ほど各地に直接足を運んでいました。記事にするときは地域の特産品や名物の写真を載せて、併せて地域の魅力も伝えるようにしていました。

渡邊:3カ月前には掲載する記事を決めて、制作を進めていくのですが、締切が近くなると大変さを感じることも多かったですね。『郵政』の制作には制作会社、印刷会社にもご協力いただいているのですが、締切ギリギリでの調整が必要になり、左手に携帯電話、右手に固定電話の受話器を持って、それぞれの会社の担当者と電話でやりとりするという経験もしました(笑)。それだけ苦労して制作したものなので、発行後に記事に関する感想をおっしゃっていただけると、とてもありがたかったですね。また、誌面に登場した方から「記念に実家に送りたいのでもう何冊かいただけますか?」と問い合わせがあったこともあります。

『郵政』を制作するうえで、試行錯誤を繰り返し「いかにわかりやすく、面白く伝えるか」を模索していったと、渡邊さんと小林さんは過去を振り返りこう話します。
小林:特に大変だったのは、「グループとしての方向性」を伝える記事を作るときです。例えば中期経営計画についての記事は、どうしてもかたい内容なので、面白いと感じてもらえないのではないかと思い、どうやったらわかりやすく、そして面白く伝えられるかを必死に考えましたね。
渡邊:わかりやすく読者に伝える記事を作るときは、まず自分が理解していないといけない部分があります。各社の業務をどう嚙み砕いて伝えるかが一番苦労した点です。新聞などほかのメディアの情報にできるだけ触れるようにして、「こういった表現をすればよいのだな」と参考にすることもありました。もちろんやりがいや楽しさを感じることもたくさんあります。普段はなかなか会う機会がない各地の局長さんや社員さんと実際にお会いして、お話をする機会を持てたのは、とても楽しかったですね。

小林:私はほとんど東京から出たことがなかったので、さまざまな地域で、新入社員のフレッシュな方からベテラン社員さんまで幅広い年代の方や、営業成績トップの方とお話しできたのは、とても貴重な体験でした。
【ここがポイント!】
発行部数40万部! グループの全拠点に配布されるグループ報『郵政』は、少数精鋭のチームが想いを込めて制作している。

日本郵政 総務部マネジャー
渡邊 寛之
毎月発行される『郵政』の制作に携わるのは、主担当1名、副担当1名。特集の企画から取材交渉、記事の執筆・編集、原稿チェック、写真撮影まですべてをチーム内で行います。広報部でありながらも「小さな出版社」のような役割を担っている存在です。
▶Lesson.2 1949(昭和24)年から続く歴史の重みを感じて
初めて『郵政』が発行されたのは、1949(昭和24)年8月。それから70余年、毎月継続的に発行され、現在では800号を超えています。かつては、著名人や有名作家も同誌に寄稿をしていたそう。また、今も大切にしている「全国を偏りなく紹介するバランス」を意識したコーナーが設けられていたようです。

沖田:第1号は「お役所仕事を改めよう」というタイトルのコラムがあり、とても興味深い内容でした。あとは、全国の郵便局の方から集めた俳句コーナーもあります。投稿コーナーを設けて、できるだけ偏らずに全国を取り上げるスタイルは、昔から変わっていなくて驚きましたね。特に印象的なのが、かつては作家さんの寄稿があった点です。あの萩原朔太郎も、郵便局を舞台にしたお話を寄稿しています。

渡邊:私が入省した当時の『郵政』は、現在のサイズよりも小さい判型で、掲載記事も今とは違う内容も多かったですね。また、その当時は当たり前だったのかもしれませんが文字数も多く、現在の読者の皆さん、特に若い方が読んだら、その量に驚くかもしれませんね。試しに創刊号を復刻版として出してみるのも面白いかも。
あと、2年ほど前に郵政博物館で「郵便屋さんの図像学」という企画展が開催されて見に行ったのですが、会場内に約50年前の『郵政』の表紙原画が展示されていて感動しました。『郵政』の担当を卒業した後でしたが、歴史ある冊子の制作に携わったことを改めて誇りに感じました。
▶Lesson.3 グループ誌を通して、仲間意識を持ってほしい!
3名は、「同じ郵政グループのメンバーであるという仲間意識を持ってもらうこと」を意識して、『郵政』の制作に取り組んできたと語ります。

小林:「一体感の醸成」というのはずっと意識していましたね。民営分社化以降、一つの組織がバラバラになってしまいましたが、このグループ報『郵政』は、グループ全体の社員に配られますから〝情報の架け橋〟になっている部分があると思うんです。「仲間意識を持ってもらいたい」、常にそんな想いで制作にあたっていました。「全国に頑張ってる仲間がいるんだな」と思ってもらったり、見出しを読んで「今うちの会社はこんなことをしているんだ」と気付いてもらったりと、自分のグループに帰属意識を持ってくれたらうれしいです。そのために、できるだけ〝人の写真〟を載せるよう意識しました。社員が約40万人もいますから、1人だけではなくて、できればその社員プラス同じ拠点の仲間たちの集合写真も載せていたんです。

沖田:会社も違えば地域も全国バラバラ、北から南まで距離もあるなかで、これを読めば遠くの人のことも違う会社の人のことも身近に感じられる。『郵政』は、そういう媒体だと思うんです。「うちのグループってこんなよいことやってるんだ」とか、そういうことを感じてもらえるような冊子にしたいと、日々思っています。
渡邊:民営化で各社が独立した存在になった状況下で、グループとしての一体感、つながりをいかにして維持していくか、という意識をもって制作していました。自分の所属先以外の会社のことも〝自分ごと〟として知っていてほしいという想いがあります。
【ここがポイント!】
同じグループであるという一体感、それをつなぐのが『郵政』の役割

日本郵政 広報部マネジャー
小林 鈴子
民営化し各社が別々の組織となった今でも「グループとしての一体感を感じてほしい」という想いが『郵政』には込められています。誌面のなかに施されたさまざまな工夫が、〝情報の架け橋〟としての役割を支えているのかもしれません。
▶Lesson.4 デジタル化に向けて、グループ報の新たな可能性に注目

グループ報『郵政』は、即時性を強化するために「JP CAST」と連携しながら情報発信をしていくことになりました。デジタル化が進む現代だからこそ届けられる内容がある、と沖田さんは語ります。
沖田:紙には紙のよさがありますが、どうしてもタイムリーなことが載せられないデメリットもあります。入稿から発行まで3~4週間ほどかかってしまうため、届いたときにはあまり新鮮さがないようなことも多くて。これからは「JP CAST」と連携することで、デジタルの利点を活かした情報発信をしていけるよう前向きに考えています。例えば、動画を使ったものなど、表現の幅も広がりますよね。最近だとほとんどの方がスマホを持っている時代ですから、より手軽に読んでもらえたらうれしいです。デジタルでも「全国の社員の方にスポットを当てる」という部分は、変わらずにやりたいと思っています。

▶舞台裏で見つけたもの
- 70年以上も続く『郵政』は、今でも少数精鋭のチームが想いを込めて制作している!
- 『郵政』の制作には「偏りのないバランス感覚」が欠かせない!
- 「同じグループである」という仲間意識を持ってもらえるよう、誌面に細かな工夫を施している!
- デジタルだからできることを視野に、今後は「JP CAST」上でさらなる飛躍を!
※撮影時のみマスクを外しています