「育休にはメリットしかない」日本郵便男性社員が語る、育休体験の本音と気づき

「育休にはメリットしかない」日本郵便男性社員が語る、育休体験の本音と気づき

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男性が育児休業を取得することの重要性が社会に認知され始めているなか、日本郵便株式会社においても、育児休業(以下、「育休」という)取得が当たり前となる組織風土の醸成に向けて取り組みを行っています。今回は、人事部 ダイバーシティ推進室の南 佳輔(みなみ けいすけ)さんに取り組みの現状などについてお話を伺うとともに、育休取得経験者である郵便局社員の市丸 康平(いちまる こうへい)さん、中村 大輔(なかむら だいすけ)さんから、体験談やこれから取得を考えている男性社員に向けたアドバイスを聞かせていただきました。

南 佳輔(みなみ けいすけ)さん

日本郵便株式会社 人事部 ダイバーシティ推進室※

南 佳輔(みなみ けいすけ)さん

2020年、株式会社かんぽ生命保険に入社。法人営業を経て2023年4月より日本郵便株式会社へ出向し、現職。職場におけるダイバーシティ推進に向けたさまざまな施策を担当。

※取材時(2023年10月)の所属を記載しています。

市丸 康平(いちまる こうへい)さん

東村山郵便局 第二集配営業部 主任

市丸 康平(いちまる こうへい)さん

2013年、日本郵便株式会社に入社。東京都東村山市の東村山郵便局に所属。現在は主に郵便物等の配達業務を担当。

中村 大輔(なかむら だいすけ)さん

横浜釜利谷西郵便局 主任※

中村 大輔(なかむら だいすけ)さん

2006年、当時の日本郵政公社に入社。2020年より横浜釜利谷西郵便局に配属。現在は窓口業務を担当。

※取材時(2023年10月)の所属を記載しています。

目指すゴールは「誰もが育休を取得することが当たり前となる職場風土」

――男性の育休取得を促進するため、現在、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

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:日本郵便では、社員とその家族が健やかに過ごせるよう、「誰もが育休を取得することが当たり前となる職場風土」を目指し、「男女ともに育休取得率100%」を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。

具体的な取り組みとしては、有給の育児休業(3日間)の取得を必須化しました。制度が適用となる正社員などがまずは3日間の育休を取得することで、誰もが育休を取得する風土を目指しています。また、育休は3日間では十分ではないため、4週間以上の育休取得を上司から勧奨することにも取り組んでいます。

ほかにも、出産や育休に関する情報や当社で勤務する先輩パパ・ママの体験談などを記載した「日本郵便パパBOOK」の配布や、各種社内セミナーを実施といった取り組みも行っています。

父子手帳1
父子手帳2

2022年に配布がスタート。作成には男性社員にも協力を仰ぎ、子どもの成長記録も記せる内容にした

――現在の男性の育休取得状況を教えてください。

:2022年度の男性の育休取得率は72.2%。2023年度はまだ確定していませんが、前年度よりも高い取得率で推移していて、多くの男性社員が育休を取得しています。

育休を取得した男性社員が語る本音と気づき

――はじめに、お子さんの人数と年齢を教えてください。

市丸:私は2人いて、上の子が5歳、下の子が1歳3カ月です。(※2)

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中村:私は1人で、1歳8カ月になりました。(※2)

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※2 取材当時の年齢

――なぜ、育休を取得しようと思ったのでしょうか?

中村:子どもが生まれることを局長に報告したとき、育休制度を教えてもらったのがきっかけです。そのときはまだ男性の育休取得者が同じ局内にいなかったので、育休を取るイメージが湧いていませんでした。

ただ、実際に子どもが生まれ育児が始まってみると、妻にばかり苦労をかけてしまって、状況を改善したいと思い、生後4カ月目から1カ月間、取得しました。

市丸:私の場合、職場に育休を取得した先輩がいたこともあって、制度については知っていましたが、1人目の子どもが生まれたときは取得していませんでした。ただ、2人目が生まれるにあたって、妻とよく話し合いをし、やはり育休は必要だと強く思うようになり、生まれた直後から3カ月間、取得しました。

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――育休取得を申し出たとき、まわりの反応はいかがでしたか? また、取得までにどのような準備をしましたか?

中村:職場の皆さんは育児の大変さを理解してくれて、快く送り出してくれました。育休中は家事に育児にと、とても慌ただしい毎日でしたね。

市丸:私の職場でも、上司も同僚も「わかった!」と、二つ返事で快諾してくれました。準備に関しては、出産の半年前に取得を報告していたので、それに向けて少しずつ調整していきました。育休中は妻と相談しながら家事を分担して、お互い支え合いながら過ごしましたが、自分の至らなさに気づけたことが本当によかったと思っています。

――では、育休から復帰した際の反応はいかがでしたか? また、取得したことで変化したことはありますか?

中村:復帰した際も、職場の皆さんは温かく迎えてくれました。仕事から離れていたのでペースを取り戻す必要はありましたが、比較的スムーズに取り戻せたと思います。育休を取得したことで、子どもの面倒を見るためにできるだけ早く家に帰りたいと思うようになりましたね。そして早く帰るために、仕事の効率も上がったと自分では感じています。

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市丸:私の職場でも「おかえり」とアットホームな反応で復帰を祝ってくれました。ただ、私が休んでいる間、私の分の業務もフォローしてくれていたことは間違いないので、その分をこれからしっかり返していきたいという思いで、改めて仕事に向き合うようになりました。

――育休を取得してよかったこと、実際に育休を取得してみて感じた課題などがあればお聞かせください。

中村:育児は本当に大変なことの連続ではありますが、そうしたなかでも、仕事が終わった後では見られない子どもの昼間の顔や行動を見ることができるのは幸せですよね。

市丸:日々成長していく子どもの貴重な時間をいっしょに過ごせたこと。そして、いっしょに育児をしていくことで妻の苦労や気持ちを、本当にわずかではありますが理解できてよかったです。

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中村:課題として感じたことといえば、私が取得した当時、育休中の社会保険に関して当社の育休ガイドブックのようなものに情報が掲載されていなかったことから、実際に休んでから免除されることに気づいて少し驚いた経験があります。

現在はすでにバージョンアップされていて、そうした情報がわかるようになっていますが、やはり育休中のお金に関することは、わかりやすく示してもらえるとありがたいですね。

市丸:実際に育休を取ってみると、長期取得は想像していたよりお金の面で大変かもしれないと気づきました。そういう意味でも、育休中の手取りがどのくらいになるかといった、金銭面でのシミュレーションができるツールがあるとより安心できるかなと思います。

男性の育休をもっと身近な制度に。新たな取り組みで取得促進を図る

――会社としては、男性の育休取得拡大に向けて、今後どのような取り組みを考えていますか?

:実は私たちとしても、お金と育休は切っても切れない関係にあると認識していまして、市丸さんがおっしゃったようなツールを現在開発中です。育休を検討する際のお金に対する不安が少しでも解消するように工夫していきたいです。

また、育休取得社員からは「子ども・育児にきちんと向き合うことができた」などのポジティブな声が寄せられている一方で、「育休を取ることで周囲に負担をかけてしまうのではないか」といった声も届いています。

こういった不安に関しては、さまざまな部署と相談しながら解決していき、できる限り不安を感じずに育休を取得できる環境づくりをしていきたいと考えています。

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――最後に、社員の皆さんへメッセージをお願いします。

中村:職場環境によって、長期の育休取得のしやすさは多少なりとも差があると思いますし、もし育休を取った男性社員がまだいない職場では、いろいろ手探りの部分もあると思います。私の場合は幸い、上司がすぐに声をかけてくださり、それが取得に踏み切る大きなきっかけになりました。

そうした意味でも、育休取得を後押ししてくださった上司には感謝していますし、ほかの職場でも、上司の方々がこれから子どもが生まれる男性社員の背中をそっと押してくださることを願っています。

市丸:私は育休を取得することにはメリットしかないと思っているので、男性社員の皆さんにもぜひ育休を取ってほしいと思います。ただ、育休を取得する際には職場の皆さんに業務のフォローをお願いすることになるのも事実です。そこで大切になるのは職場での人間関係なので、日ごろからコミュニケーションを円滑にしておくことが大切だと感じています。

また、私自身が痛感し、反省したのが、育休は取得することがゴールではなく、そこがスタートであるということです。育児自体に対する心構えとしても、男性はもっと当事者意識を持つ必要があります。育休は取得してから何をするのかが大事ですので、父親になることをしっかり自覚したうえで、家族とかけがえのない時間を過ごしてもらえればと思います。

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:お二人の話を伺っていて、「男性も育休取得率100%」を達成するためには、育休取得はお互いさまという認識をもっと浸透させ、必要な時期に気兼ねなく育休を取得できる職場づくりをしていかなければならないと、改めて感じました。

誰もが不安なく必要な期間の育休を取得できるのはもちろん、周囲の社員も快く送り出せる環境をつくっていく。男性の育休をもっと身近にしていくため、育児と仕事の両立支援に向けたさまざまな取り組みを引き続き推進していきたいです。

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