私のオンとオフ スイッチインタビュー 野球の楽しさを広めたい! 笑顔でプレーする子どもの育成に励むゆうちょ銀行社員
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全国に約24,000ある郵便局、そして日本郵政グループの社員はおよそ40万人。この企画では、それぞれの立場で仕事に取り組む社員の姿勢と知られざるプライベートでの横顔、そんなオンとオフの両面で活躍する社員の魅力ある個性を掘り下げていきます。今回話を聞いたのは、高曽 学(たかそ まなぶ)さん。株式会社ゆうちょ銀行 大阪貯金事務センターに勤務する一方、プライベートでは少年野球チームの監督を務めています。その活躍の様子とオンとオフの意外な共通点に迫ります。
株式会社ゆうちょ銀行 大阪貯金事務センター 課長代理
高曽 学(たかそ まなぶ)さん
1989年、郵政省(当時)に入省。西日本貯金事務計算センター(当時)や郵便局窓口など複数の部署で経験を積み、2007年から大阪貯金事務センターで勤務。ムードメーカーとして欠かせない、"おもろいおっちゃん"。
スキルアップや社会貢献につながる業務
――高曽さんが所属されている大阪貯金事務センターでの業務内容を教えてください。
高曽:大阪貯金事務センターは、ゆうちょ銀行の貯金や為替などを管理している部署で、窓口でお客さまからお預かりした申込書類の審査などが主な業務です。そのなかで、私は相続請求に関する業務を担当しています。
業務上、相続請求をされたお客さまとのやりとりも多い仕事ですが、お客さまの気持ちをできる限り汲み取ろうと思いながら対応をすると「あなたが対応してくれてよかった」「相談に乗ってくれてありがとう」と感謝をされることも多く、やりがいのある仕事だと感じます。
――仕事の魅力や難しさはどんなところにありますか。
高曽:貯金事務センターが取り扱う業務は専門的なものが多いので、自分のスキルアップや社会に貢献できるようなことに携われるのが魅力ですね。
私は2023年4月から相続請求を担当していますが、より専門的な知識を得ようと通信講座で相続に関して学んだりして、自己研さんにも努めています。難しさという点では、検査するうえで確認しなければならない書類がとても多いので、いかに効率よく処理をするかというところです。
お客さまにご迷惑をおかけしないよう、より迅速かつ正確に検査などを行えるように工夫しながら取り組んでいます。
――仕事をするうえで心がけていることはありますか。
高曽:普段、直接お客さまと接することが多いのは部下たちです。なので、職場のスタッフには明るく接するよう心がけています。また、「大丈夫?」「どうした?」などとこちらから声をかけることで、困ったときに気軽に相談してもらえる雰囲気をつくることも大切だと思っています。客観的に見ても、コミュニケーションが円滑に行われている、明るくよい雰囲気の職場だと思います。
勝つためではなく楽しむ野球を教えたい
――プライベートでは少年野球チームの監督としても活躍されていると聞きました。
高曽:はい、大阪に活動拠点を置く「堺ビッグボーイズ」という少年野球チームで、小学部(小学校1~6年生が所属)の監督をしています。
もともと、高校まで野球部で、卒業後もしばらくは地元のソフトボールのクラブチームでプレーしていたんです。息子が小学生になって野球を始めるようになってからは、私自身はプレーヤーから引退したのですが、野球経験者ということで、当時息子が所属していたチームでコーチをするようになりました。
――ずっと野球やソフトボールにかかわってこられたのですね。今のチームの監督に就任した経緯を教えてください。
高曽:息子の一言が最初のきっかけですね。中学に上がるとき、「もう野球をやめたい」と言ってきたんです。それまではチームも私も勝つことを追求していたので、ときには厳しく指導することもありました。実際そのチームは試合で勝っていたので、勝てば息子も楽しいはずだと思っていたんです。
でも、やめたいと言われたときに、今までの考え方が間違っていたのかもと悩みました。そんなときに出会ったのが、今監督を務める堺ビッグボーイズです。
堺ビッグボーイズはプロ野球選手も複数名輩出し、強豪として有名なチームですが、以前はとても厳しい指導方針でした。でも、将来を有望視された選手たちが高校で野球を続けずやめてしまったことや、海外の指導者と育成について話したことがきっかけで、指導方針をがらりと変え、野球を長く続けさせるためにはどうすればよいかを考え、"子どもたちが楽しく続けられる野球"を目指すチームへと変わっていったんです。
その話を聞いて、息子が「そこでなら野球をやってみたい」と言ったので、堺ビッグボーイズに入部しました。始めは一保護者としてノックなどを手伝っていたんですが、2015年に小学部が立ち上がる際にチームから監督就任のお話をいただきました。
――"子どもたちが楽しく続けられる野球"というチームの指導方針が、高曽さんの目指す方向性と重なったんですね。監督としての活動内容を教えてください。
高曽:チームの練習や試合が土日祝に行われるので、そこに帯同しています。チーム全体での練習は午前中で、午後は自主練にしているんですが、うまくなりたいという子が多くて、「ノックを打ってください」とか、「バッティングを教えてください」とか、夕方までなかなか帰れないんですよ(笑)。
試合は、年間50試合ぐらいですね。小学部は現在60名ほどが所属しているのですが、必ずみんながいずれかの試合に出られるようにメンバーを選出しています。
――監督をされていて思い出に残るエピソードはありますか。
高曽:昨年、関西ナンバーワンを決める大会に出場した際のことです。試合終盤、同点という緊迫した場面で相手の選手がファインプレーをしたのですが、それに対して、うちの選手たちが拍手をし、「ナイスプレー!」と相手の選手をたたえる声かけをしたんです。
日ごろからスポーツマンシップというのは意識して伝えていますが、自分のチームがチャンスを逃した場面でも相手をリスペクトする行動を取れるのは誇らしい行為だと、感動しました。
――小学生のころからスポーツマンシップの精神があるのはすばらしいですね! 指導者としてのやりがいも感じますか。
高曽:子どもたちの成長と笑顔を見ることが一番のやりがいですね。昨日までできなかったプレーが突然できるようになるとすごくうれしいです。この歳になると、涙する場面もしょっちゅうです(笑)。
職場でも野球でも褒めて、やる気を引き出す
――仕事と少年野球の監督で、共通する心構えはありますか。
高曽:ミスをしても怒らないことです。野球では、たとえエラーや三振をしたとしても、チャレンジしたことに対しては褒めるようにしています。仕事でも同じです。スタッフが失敗しても、怒ることはせず、相手の気持ちを考えながらミスを振り返れる話し方を心がけています。
――子どもたちへの指導で実践していることが仕事でも役に立っているんですね。
高曽:そうですね。子どもでも大人でも人間なので、やっぱり怒られたら嫌だろうし、野球も仕事も嫌いになってしまうと思うんです。やらされるのではなく、やりたいという気持ちが人を成長させるんだと実感しています。
――仕事と少年野球の監督を両立させるのは大変ではないですか。
高曽:仕事でも野球でも、いろんな人と知り合ってコミュニケーションを交わし、教えてもらったり、教えたりするのがとにかく楽しいんです。だから、両立する難しさは感じません。仕事のミーティングでもどうやって笑いを取ろうかといつも考えています。それは野球のときもいっしょです(笑)。スケジュールは忙しくても楽しんでいるからか、風邪もひかなくなりましたね。
仲間とのコミュニケーションで自分の世界を広げる
――仕事に野球にと多忙な毎日ですが、将来の展望や目標はありますか。
高曽:仕事はこれまでどおり、みんなとコミュニケーションを交わしながら、楽しく働ける職場をつくっていきたいですね。野球に関しては、スポーツマンシップがもっと普及して、相手をリスペクトし、失敗を恐れずチャレンジして、最大限の勝利を目指すチームがどんどん増えたらうれしいです。
――高曽さんのように、子どもたちにもずっと野球を続けてほしいですね。
高曽:そうですね。小学生のときに「野球をやめたい」と言った息子も今は成人していっしょにお酒を飲みに行くこともあるのですが、そのときに「野球を続けていてよかった」と言っていました。野球部時代の仲間とは社会人となった今も交流が続いているらしく、スポーツとして大人になっても楽しめるという以上の魅力を感じているんだと思います。子どもたちにもそういう魅力を味わってもらいたいです。
――今後は社員として監督として、どのような存在になりたいですか。
高曽:見た目が怖いとよく言われるんですよ(笑)。初めて私を見る子どもたちも怖がっているのがわかるんです。そんなときに、"おもろい"ことを言うとみんな笑顔になってくれるので、今後も意識して話しかけやすく、相談しやすい存在になっていきたいですね。
――最後に仕事と趣味を両立したい方へアドバイスをお願いします。
高曽:職場でも趣味でも、縁あって知り合いになれた仲間とは積極的にコミュニケーションを取ることが大事かなと思います。そうすることで、新たな発見があり、自分も成長でき、さらには今まで知らなかった世界も教えてもらうことができます。私自身、そういう成長や発見がすごく楽しいんです。これからも、仕事を頑張りつつ、体力が続くうちは野球もずっと続けていきたいですね。