みらいの郵便局、始動!Vol.4 実証実験を通して、見えてきたサービスの本質

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リアルの郵便局ネットワークとデジタルの融合によって、お客さまの体験価値を徹底的に高める「みらいの郵便局」。その実現に向けて、大手町郵便局を「DX実証実験郵便局」とし、デジタルとリアルの両面から様々な施策を試しながら、順次機能改善や新施策の導入などを行う実証実験プロジェクトが始動しています。今回、導入から短期間でアップデートしたデジタル発券機の紹介とともに、大手町郵便局で働く社員が思い描く「みらいの郵便局」の姿に迫ります。

2022年7月に本格始動した大手町郵便局での実証実験

日本郵政グループの本社がある大手町プレイス1階に位置する大手町郵便局では、2022年7月に実証実験が本格スタートしました。リアル面での取り組みとしてお客さまのニーズに応じた空間づくりを進めるとともに、デジタル面では、体験価値を高めるためにさまざまなデジタル機器を導入しています。

例えば、窓口に並ばずに、お客さまご自身で計測・計算した郵便物の差出や販売品の購入ができる「セルフレジ」と併せて「デジタル発券機」も導入。デジタル発券機は、番号札に二次元コードを記載し、お客さまがスマホで読み込むと、待っている人数や待ち時間が確認できます。

さまざまなデジタル機器がそろう大手町郵便局。木目調の壁や暖色の照明が居心地のよさを感じさせます

導入から早くもアップデート! 新デジタル発券機

実証実験の開始とともに導入したデジタル発券機ですが、より進化させるため、早くも新機器を導入しました。進化のポイントは、お客さま目線での「操作性の向上」です。

タッチする場所がわかりにくい」というご意見を受けて、▶マークを追加し、「送る」「購入する」など、直感的にわかる言葉づかいで操作性を高めています

社員にはもちろんのこと、一般のお客さまにもヒアリングを行い、実際に発券機を操作するなかで、項目を選ぶときに迷った点・躊躇した点などを検証し、新機器の設計にあたって反映させています。

新デジタル発券機の操作画面では、お客さまにとって理解しづらい用語の使用は避けて、「送る」「購入する」といった直感的にわかる表現にしています。さらに「タッチする場所がわかりにくい」という意見があったことから▶マークを追加したデザインに変更。加えて、年配の方の使い勝手を考慮して文字を大きく表示することで視認性を向上させました。

【操作性向上のためのアップデートのサイクル】
・11/28(月):初期リリース
・12/20(火):1回目のアップデート
・2/20(月):2回目のアップデート

また、新デジタル発券機は、お客さまにとっての利便性を高めるだけでなく、郵便局で働く社員にとっても、郵便や貯金、保険、資産運用など、お客さまが郵便局を訪れる目的はさまざまあるなかで、いつ何人のお客さまがどういった目的で来局しているのかが可視化できるようになり、業務の効率化にもつながっています。

お客さまの体験価値向上を目指して

大手町郵便局 局長

白髭 竜平(しらひげ りゅうへい)さん

2009年、日本郵便株式会社入社。13年間主に本社で勤務した後、2022年4月から大手町郵便局にて局長を務める。

大手町郵便局 課長

木内 一友(きうち かずとも)さん

1995年、当時の郵政省に入省。各局での郵便局の窓口担当を経て、2015年に営業の指導をするため現場を一旦離れる。2020年に現場復帰し、2020年7月から現在の大手町郵便局へ。事務などの業務を含めた補助役を務める。

大手町郵便局で実証実験が本格スタートして半年ほどが経ちました。実際に運用してみての感想やお客さまの反応、見えてきた課題とはどのようなものでしょうか。大手町郵便局の木内 一友(きうち かずとも)さんと白髭 竜平(しらひげ りゅうへい)さんにお話を伺いました。

――実証実験ではリアルとデジタルの両面で新しい試みが進行中ですが、率直な感想を聞かせてください。

木内:大手町郵便局は、今後、全国2万4,000局にデジタル化を展開するためのスタートの地です。当郵便局で取り組みを繰り返し、研磨してから本当のデジタル化が実現できます。だからこそ、未来を見据えて、今、実証実験にしっかり取り組まなければと実感しています。

白髭:実証実験はトライ&エラーの繰り返しですが、実感としては意外とアナログな面が多いという印象でしょうか。例えば、発券機自体はデジタル化されていますが、どの場所にどの向きで設置すればお客さまにとってわかりやすいかいろいろ試したり、案内の文言を変えたりといった作業を繰り返しています。

――デジタル発券機も新たにアップデートされましたね。

木内:はい。従来の発券機は、お客さまが番号を押し、窓口からアナウンスがかかるだけでしたが、最新のデジタル発券機では、お客さまが何を求めて来局し、いまどういう状況にあるのかが見えるようになりました。そのため、より的確な対応ができるようになり、窓口業務の円滑化につながっていると思います。

白髭:最初はデジタル発券機がどこにあるか、どうやって使うか、戸惑われる方が多かった印象を受けました。試行錯誤していくなかで、ありがたい反応をいただくことが増えてきたように感じています。

――セルフレジの活用状況はいかがですか。

木内:オフィス街にある郵便局ということで、窓口にずらっと行列ができる時間帯もあります。そんななかでも、例えばセルフレジをすでにご存じの方は、さっとセルフレジを使って郵便物を出し、短時間で帰られる姿を見かけるようになってきました。さらに周知を広め、お客さまの間で次第に認識が広まれば、より定着していくのではないかと思います。

セルフレジでは、窓口に並ばずに郵便物を差し出したり、販売品を購入できます

デジタル化で生まれる時間を、お客さまと接する時間に

――お客さまの体験価値を高めるために必要なことは何でしょうか。

木内:人間はさまざまなご相談にも柔軟に対応できますし、それが最大のホスピタリティではないかと思います。現在は人間が行っているさまざまな対応を徐々にデジタルで行っていくことができれば、人間の負担が軽減できて時間が生まれます。それが、デジタル化により実現していくことの一つではないでしょうか。

白髭:そうですね。そして、お客さまには、デジタルのよさを実感いただきながら、「リアルっていいな」というところに戻って来てほしいと思います。窓口でお客さまと話して、人の声を人の耳でキャッチするのは、郵便局ならではだと思います。デジタル化によって生まれた時間をお客さまとのコミュニケーションに充てられればと考えています。

木内:デジタル化が進む現代だからこそ、人と人とのつながりや人にしかできないことに価値が生まれると思います。デジタル化によって人の手から離れていくものがありますが、機械ができることは機械に任せて、人の心の機微や心境など、人にしかくみ取れない部分に対応していきたいですね。

――実証実験を進めるなかで改善が必要だと感じるところはありますか。

白髭:正直なところ、カウンターの内側の負担は、デジタルの利便性が未だにおよんでいないと感じる面もあります。さらにデジタル化を進めることで余裕を生み出して、お客さまと接する時間に使っていきたいと思います。

木内:そうですね。作業負担を軽減して時間を生み出し、ほかの仕事ができるようデジタル化を昇華させることで、結果的にお客さまの体験価値が高まるのではないかと思います。そして、お客さまが何かあったときに「あそこの郵便局の人に相談したい」と、足が向くような存在でありたいと思います。

さらなる進化を目指す「みらいの郵便局」

――これから、さらに進化を目指すことを教えてください。

木内:実証実験をするなかで、曜日や時間帯での来局数のデータを集積しているところです。傾向がわかれば、お客さまの多い時間帯に社員の対応人数を増やすなど細やかな対応ができると考えています。このようにデータを活用して、さらなるお客さまの利便性の向上に努めたいと思います。

さらには、今後の展望として、デジタル発券機をアプリで発券できるようにも検討を進めており、お客さまの体験価値を高めることを目指して、これからも「みらいの郵便局」は進化を続けます。

※撮影時のみマスクを外しています。

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