郵政にまつわるエトセトラ Vol.2 切手の歴史

【写真:郵政博物館提供】

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日本郵政グループにまつわる雑学や豆知識をご紹介する本企画。第二回目のテーマは、「切手」です。切手誕生の歴史から貴重なレア切手や多種多様なデザインが展開されている今日の切手事情まで、切手にまつわる情報をお届けします。

世界で最初の切手は19世紀にイギリスで誕生

ローランド・ヒルの肖像【郵政博物館提供】

19世紀の初めまで、イギリスの郵便は距離制で非常に高額な郵便料金を受取人が支払う必要があったため、一般の人々はなかなか利用することができませんでした。そこでローランド・ヒルという人物が、距離に関係なく安価で均一な料金を前払いし、その証拠となるものを郵便物に貼りつける新たなシステムを提案しました。


これが近代郵便制度の始まりで、このとき貼りつけられた証拠こそが世界初の切手です。ビクトリア女王の肖像が描かれたこの切手は、1ペニーの料額と黒インクで印刷されていたことから「ペニー・ブラック」の名で知られています。


切手の印刷は、大量印刷ができるだけでなく、偽造防止の観点でも優れていた、当時としては非常に進歩的なパーキンス社の印刷技術が採用されました。こうして印刷されたペニー・ブラックの最初の版は、1840年5月1日に販売。当初の発行枚数は、1シート240枚綴り(横1段が各12枚、縦1列が各20枚)のシートが283,992枚で、発売初日から大変な人気を集め、その後、増刷されることとなりました。


また、現在、世界各国で発行されている切手には国名が表示されていますが、ペニー・ブラックには見当たりません。この理由は、当時はまだ世界のどこの国も切手を発行していなかったためで、イギリスの切手には現在でも国名が表示されていません。

「ペニー・ブラック」【写真:郵政博物館提供】

日本で最初の切手デザインは「竜」だった!

日本で最初の切手が発行されたのは、1871年4月20日(旧暦の3月1日)です。このとき発行された切手には、向かい合った竜が描かれていたことから「竜文切手」と呼ばれました。4種類が発行され、日本の貨幣が円、銭に切り替わる直前であったため、「文」表示で、四十八文、百文、二百文、五百文となっています。当時の「九六(くろく)勘定」の慣行(96文を百文と表示する)により、四十八文は、百文(96文)の半額にあたります。その大きさは1辺が19.5mmの正方形で、日本で発行された郵便切手のなかで最小サイズにあたります。


ちなみに、当時の日本には、印刷の基本となる原版を複製する技術がありませんでした。そこで1シートの中にある40枚の郵便切手の図案は、すべて手作業で彫ったことから、竜の爪などの模様に少しずつ違いがあったそうです。


また、日本で最初の切手が発行された4月20日は、現在、郵政記念日になっています。さらに、郵政記念日を含む1週間は「切手趣味週間」になっており、毎年、特殊切手の発行をはじめさまざまな行事が行われています。

竜文切手4種
左上:四十八文切手、右上:百文切手、左下:二百文切手、右下:五百文切手【写真:郵政博物館提供】

「まぼろしの切手」も! バラエティ豊かな日本の切手の歴史

日本で最初の切手が発行された1871年から現在に至るまで、バラエティ豊かな切手が続々と誕生しています。

今、日本で販売されている普通切手は全部で20種類。一番金額が低いのは、郵便の父とも呼ばれている前島 密(まえじま ひそか)を図柄にした1円切手で、最も金額が高いのは500円切手となっています。
このほかにも、年間40種ほど制作・発行される特殊切手などもあります。

普通切手(左:1円切手、右:500円切手)【写真:郵政博物館提供】

さらに、日本の切手の歴史をさかのぼると、珍しい切手がいくつか存在します。なかでも有名なのが、昭和天皇のご結婚を記念して発行が予定されていた「東宮(昭和天皇)御婚儀祝典紀念切手」。結婚にゆかりのある筑波山(1銭5厘、3銭)と、当時霞が関にあった東宮仮御所(8銭、20銭)が描かれた4種類の切手は、1923年9月に発生した関東大震災のためご婚儀が延期になったことから発行が中止となります。印刷済みの切手は原版もろとも火災で焼失しており、南洋諸島に発送済の切手のみが難を逃れ、翌年1月挙行のご婚儀の際、皇室に献上されました。この切手は、約1,000組しか残っていないとされ、「まぼろしの切手」といわれています。

1銭5厘【写真:郵政博物館提供】
3銭【写真:郵政博物館提供】
8銭【写真:郵政博物館提供】
20銭【写真:郵政博物館提供】

また、1948年11月29日発行の「見返り美人」、翌年11月1日発行の「月に雁」は、その大きさで有名です。現在の郵便切手は、原則として縦・横の長さがそれぞれ15mmを下まわらず、かつ50mmを超えない条件のもと発行されていますが、これらの切手はいずれも67mm×30mmと、日本で一番大きな郵便切手として知られています。

「見返り美人/月に雁」【写真:郵政博物館提供】

お気に入りの切手で大切な人に想いを伝えよう

日本に近代郵便制度が導入され、切手の発売が始まってから、今年2022年で151年。奥深い切手の世界は、今も広がり続けています。そして、豊富な種類のなかからどれを選択するかで、送り手の気持ちまで伝えられるのは、切手ならではの魅力といえます。

皆さんも、数ある切手のなかからお気に入りを見つけて、大切な誰かに想いを込めた手紙を送ってみてはいかがでしょうか。

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