誰もが不自由なく使える、多様性あるサービスを目指して。かんぽ生命が開始した「手話通訳サービス」

誰もが不自由なく使える、多様性あるサービスを目指して。かんぽ生命が開始した「手話通訳サービス」

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2023年7月、株式会社かんぽ生命保険が開始した「手話通訳サービス」。聴覚障がいや発声障がいのあるお客さまがビデオ通話で手話通訳者とつながり、手話や筆談で保険についてお問い合わせいただけるようになりました。
今回は手話通訳サービスの立ち上げに携わった、カスタマーサービス推進部の吉永 和真(よしなが かずま)さんにお話を伺い、サービス立ち上げの背景や経緯、取り組みへの想いについて語っていただきました。

吉永 和真(よしなが かずま)さん

株式会社かんぽ生命保険 カスタマーサービス推進部 主査

吉永 和真(よしなが かずま)さん

2017年、株式会社かんぽ生命保険に入社。入社後は三重支店に配属。地元・横浜をこよなく愛し、三重支店配属の内示時には神奈川県から三重県までの通勤手段を真剣に考えていた。その後、2020年10月から本社勤務となり、2022年4月より現職。

きっかけは社員の声! 誰もがいつでも安心して利用できるサービスを

かんぽ生命のカスタマーサービス推進部は、コールセンターの運営管理をはじめとした、会社のお客さま対応を統括している部署。また、社員との接点でもあるヘルプデスクの運営も同部署の仕事です。

「当社では、中期経営計画に掲げる『CX(お客さま体験価値)の向上』の実現に向けて、『カスタマーセンター構想』を推進しています。これは、カスタマーセンターという名称の組織を作るということではなくて、シンプルに表現すると、社内のリソースや仕組みを見直しながら、社員みんな一体で、お客さまに『かんぽ生命に入っていてよかった』と感動いただけるようなきめ細やかなあたたかみのあるサポートを提供していこう、という取組みです。このカスタマーセンター構想の推進も、私たちの部署の役割です」(吉永さん)

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お客さまに感動いただけるサービスを! という考えのもと、新たに2023年7月から始まったのが「手話通訳サービス」です。

「サービス検討のきっかけは2022年4月、『かんぽ目安箱』(会社に対する意見や提案を投稿できる社内制度)への投書でした。ある社員から『耳の不自由な方、言葉の不自由な方へのサービスが不足しているのでは』と意見が寄せられたんです」(吉永さん)

意見が寄せられた当時も、郵便局などで聴覚障がいや発声障がいのあるお客さまと対面する場合には、手話や筆談などでコミュニケーションがとれるよう努めていたり、メールやチャットでもお問い合わせができる体制を整えていました。

「しかし、メールやチャットで対応できると言っても、デジタルが苦手なお客さまは、そもそもサポート画面や問い合わせフォームに辿りつくことが難しい。そして当社のお客さまには高齢者も多いため、チャットを使い慣れていない方もいるのでは、と思ったんです。

さらに、当時は新型コロナウイルス感染拡大の影響がまだ残っていた時期。対面を避けたいと考えるお客さまも多く、郵便局などでの手話や筆談が機能しない可能性がありました。保険会社に問い合わせるタイミングは、病気やケガなど緊急事態が起きた場合であることが少なくありません。そういったときこそ、聴覚障がいや発声障がいのあるお客さまが使い慣れた、手話や筆談といったツールでの問い合わせチャネルが必要であると考えたんです」(吉永さん)

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こうして社員から寄せられた一つの意見から、「耳の不自由な方、言葉の不自由な方が安心して問い合わせできるサービス」の検討が始まりました。

手話や筆談の同時通訳でスムーズに問い合わせ「手話通訳サービス」

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手話通訳サービスの対応模様。同時通訳でコールセンターへの問い合わせが可能です (写真提供:株式会社プラスヴォイス)

新たなサービスを検討するにあたって、聴覚障がいや発声障がいのあるお客さまのお問い合わせ手段についてアンケートを取ることから始めました。

「アンケート結果から、コールセンターに『手話通訳サービス』というものがあり、コールセンターに導入すると手話や筆談でのお問い合わせに対応できることを知ったんです。そこで、そのサービスを導入している企業に、導入するにあたっての留意点やサービスの利用件数など、詳しくヒアリングさせていただきました。その後、かんぽ生命の理念に共感いただき手話通訳を担っていただける業務提携先も見つかり、サービス実現に向けて動き出すことができました」(吉永さん)

このサービスを運用していくには、業務提携先の手話通訳者とかんぽ生命のコールセンタースタッフとの連携がとても重要になります。

「保険に関する問い合わせは専門用語も多いので、ただでさえ伝えるのが難しいものです。そこで、サービスを実際に開始する前に、手話通訳者とコールセンタースタッフ間で保険の内容を伝え合う検証も複数回行いました。そうした検証を行ったうえで満を持してサービスを開始したものの、当初は『本当にうまくいくのか?』と正直心配でした。でも、こちらの不安をよそに、スムーズに連携できており、ほっとしました」(吉永さん)

そうしてサービス開始となった手話通訳サービス。実際には、どのようにして利用するのでしょうか。

「使い方は本当に簡単で、インターネットで『かんぽ生命 手話通訳』と検索するだけです! 検索すると一番上にかんぽ生命の『手話通訳サービス』ページが出てきます。ページにアクセスし、『手話通訳サービスを利用する』をクリックすれば、すぐに手話通訳者へビデオ通話がつながります。

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手話通訳サービスのWebサイト。このページからサービスを利用することができます

そこから、まずは、お客さまに手話通訳者と手話や筆談でお話しいただきます。手話通訳者がお客さまから問い合わせ内容をお伺いしたあと、手話通訳者からかんぽ生命のコールセンターへ電話をつなぎます。かんぽ生命のコールセンタースタッフは、手話通訳者から問い合わせ内容を聞き、手話通訳者に回答内容を伝え、それを手話通訳者がお客さまに回答するという流れです。同時通訳に近い対応ができるので、回答をお待たせすることがほとんどなくなりました」(吉永さん)

問い合わせ経験をお客さまにとって素敵なものにしたい

サービス開始から間もないですが、利用状況についてはいかがでしょうか。

「現在までに数件のご利用がありました。件数だけを見ると少ないですが、もともと多くの件数を見込んで始めたサービスではありません。手話通訳サービスを通じてお客さまとつながることができ、『ありがとう』という言葉をいただけた。実際にお客さまに喜んでいただけたことがうれしいです」(吉永さん)

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手話通訳サービスは、多くの方の人生を変えたりするような革新的なサービスではないと語る吉永さん。

「手話通訳サービスが提供できるCX(お客さま体験価値)は一度の問い合わせ体験だけかもしれません。ただ、その一度の問い合わせ体験をお客さまにとって素敵なものにしたい、そうした想い、サービスの積み重ねが、CX向上につながっていくと信じています」(吉永さん)

「誰一人取り残さない」常にアップデートされるカスタマーサービス

最後に、カスタマーサービスをより高めていくために、必要なことは何か? という問いに、吉永さんはこう答えてくださいました。

お客さまの声、そしてお客さまのことを想う社員の声をうまくキャッチし、『なんとかできないか』と考え、動き続けることだと思います。手話通訳サービスも、社員の声を受け、聴覚障がいや発声障がいのあるお客さまの困りごとに寄り添ったことから始まりました。そして、サービスは立ち上げることがゴールではありません。社会情勢の変化もありますし、お客さまのニーズもさまざまです。お客さまによりよいCXを提供していくためにも、サービスは立ち上げてからのアップデートがより重要だと考えています」(吉永さん)

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一般的な商品と違い、保険商品はいざというときの備えであるため、加入してすぐにお客さまに喜ばれることは滅多にありません。だからこそ、日ごろのちょっとしたサービスやアフターフォローを大切にしながら、現状に満足することなく、お客さまを真剣に想ったサービスを考え続けていかなければならないと語る吉永さん。「誰一人取り残さない」という想いがベースにある、かんぽ生命のカスタマーサービスは、これからも進化し続けます。

かんぽ生命の「手話通訳サービス」サイトページはこちら
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