郵便局の「PASSTO」にポンッ! 不要品を回収・配送するエコサービスを開始

郵便局の「PASSTO」にポンッ! 不要品を回収・配送するエコサービスを開始

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日本郵政グループ各社の若手社員を中心としてグループの変革を目指す組織「JP未来戦略ラボ」が、お客さまのエコなライフスタイルを支援すべく、衣類品などの不要品回収を担うプロジェクトを発足。2023年4月20日、渋谷郵便局と流山郵便局に不要品回収ステーション「PASSTO」を設置し、資源循環のサービスを開始しました。この取り組みは、社会の環境負荷低減だけではなく、郵便局の新しい利用方法としても注目されています。立ち上げにかかわったJP未来戦略ラボの築地 哲平(つきじ てっぺい)さんと石井 雄飛(いしい ゆうひ)さんにお話を伺いました。

築地 哲平(つきじ てっぺい)さん

日本郵政株式会社 JP未来戦略ラボ グループリーダー

築地 哲平(つきじ てっぺい)さん

2008年、株式会社ゆうちょ銀行に入社。銀行直営店を経た後、本社調査部に配属。2021年7月、JP未来戦略ラボ発足と同時に所属となり、郵便局の魅力UPに向けた施策に携わる。

石井 雄飛(いしい ゆうひ)さん

日本郵政株式会社 JP未来戦略ラボ グループリーダー

石井 雄飛(いしい ゆうひ)さん

2010年、郵便局株式会社に入社。本社金融営業部や東海支社での勤務を経て、2016年に三井住友海上火災保険株式会社へ出向。その後は本社金融営業部に所属し、2021年7月の発足と同時にJP未来戦略ラボを兼務。

新サービス「PASSTO(パスト)」とは?

――今年4月に誕生したPASSTOとはどのようなサービスですか?

築地:郵便局に回収ステーションを設置し、そこに不要になった衣類・帽子・カバン・ベルトを投函できるというサービスです。ボックスに入れていただいた不要品は、回収してリユース・リサイクルするという取り組みを行っています。回収サービスはアパレルメーカーや商業施設など国内各所で徐々に広まっていますが、期間限定ではなく常時設置していること、郵便局に来るついでに何の手続きもなく気軽に利用していただけることが本取り組みならではの魅力だと思っています。現在は渋谷郵便局と流山郵便局の2カ所での実施ですが、将来的には、皆さんの自宅近くの郵便局がタッチポイントとなることで、生活のなかに気軽なエコアクションができることを目指しています。

――PASSTOの名前の由来を教えてください。

築地:今回のサービスは、環境ベンチャー企業として国内外で実績のある株式会社ECOMMIT(以下、ECOMMIT )とともに行っています。ECOMMITの不要品回収ステーションであるPASSTOは、「PASS TO」を短縮した造語で、「次の人に渡す、未来に渡す」を意味しています。偶然ではありますが、語感が「ポスト」に似ているので、われわれとしても親近感がありますね。

――回収した不要品はどのような流れで再利用されるのでしょうか。

築地:郵便局で回収された不要品はECOMMITが自社運営している拠点へ集められ、そこから個人向け・卸向けのリユース品として再流通されたり、ポリエステルなどの素材は再資源化されたりと、選別・分別されていきます。

石井:ECOMMITでは通常、企業や自治体と協業する際は回収も含めて行っているのですが、PASSTOでは全国に配送網があるという郵便局ならではの特性を活かし、集まった不要品を郵便局自身で回収しECOMMITの拠点までお届けしています。回収から配送までを一手に担うことができる郵便局という場所を利用することで、より円滑に循環のサービスを進めることができると考えています。

「JP未来戦略ラボ」が挑戦する、「リサイクル・リユース」させる資源の循環

――このサービスを発案・実行したJP未来戦略ラボとは、どのような部署でしょうか。

築地:中期経営計画「JP ビジョン2025」で掲げる、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」の実現などに向け、日本郵政グループの課題に関して、取組方針の検討・企画立案などを行うために2021年に発足された部署です。グループ各社の若手・中堅社員を中心として、現在40名ほど在籍しています。主な業務としては、マーケティング戦略や人事戦略を考えたり、新規ビジネスを発案したり、グループにある課題を自分たちで見つけてその解決策を企画検討するということを行っています。

そのなかで、石井と私はマーケティング班を担当しています。そこでは、「郵便局の魅力UPにチャレンジする」ことを掲げ、20年後、30年後の未来も郵便局を使っていただけるような施策を検討しています。

石井:JP未来戦略ラボの発足当初は、マーケティングの一環として、まずは来局につなげるためにお客さまの潜在的なニーズを洗い出すことに力を注ぎました。お客さまを徹底的に理解するため、普段郵便局を利用していない方へ、アンケート調査やインタビュー調査を行いました。そのなかで、お客さまのニーズとして浮かび上がってきたものが、今回サービスとして形になった不要品の回収です。

――お客さまの声を汲み取って、このサービスを始めたということですね。

築地:はい。調査をするなかで、なんとなく捨てるのに困るバッグや、サイズアウトした子ども服がなかなか捨てられないという声がお客さまから上がっていたことに着目して、検討・分析を進めました。実際にサービスインするにあたっては、ニーズが見込まれる衣類関連に回収する品目を絞ったうえで、それに合わせて、PASSTOの最初の設置場所を検討し、ファッションに敏感な若者が多そうな渋谷と、ファミリー世代が増えている流山に設置することにしました。

また、不要品回収というサービスに取り組むと決めたもう一つの理由は、社会課題の解決という観点です。今、日本では年間約50万トン(※)の衣服が家庭から可燃・不燃ごみとして捨てられてしまうという現状があります。そして、「不要品をごみとして処分するのはもったいないけど、面倒くさいので捨てる」というのが、その一番の理由だと聞きました。近所の郵便局でエコなアクションを気軽にできれば、そうした社会課題の解決につながるのではないかと考えたことも、プロジェクトの立ち上げに踏み切った大きな理由の一つです。

※参照 環境省「サステナブルファッション」www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/index.html

渋谷郵便局に置かれている「PASSTO」のボックス。不要品は袋などに入れず、そのまま投函すればOK
回収品目は郵便局により異なっており、回収ボックスに該当品目が表示されています

「PASSTO」がかなえる未来のビジョン

――サービスを開始するまでに大変だった点、またPASSTOを設置した後の利用状況を教えてください。

築地:プロジェクトが動き出したのが2022年11月。それから2023年4月のサービス開始まで、半年足らずというかなりハイスピードで進めました。衣類関連のリサイクルということもあり、新生活がスタートする4月に始めたいという目標を掲げて頑張ったのですが、いろいろと調整や検討を要することもあり、大変苦労しました。でも、幸いなことに関係者の皆さんが協力的に動いてくださったおかげで、何とか予定していた4月からサービスを開始することができました。

そして、非常にうれしかったのは、始めてすぐにかなりの利用があったということです。プロジェクト立ち上げからサービス開始まで短期間で進めたため、十分なプロモーションができない状態で実施に至ったのですが、来局された多くのお客さまが興味を持ってくださいました。ボックスのなかの回収袋には1袋あたり約13~14kgの衣類などが入るのですが、開始前は1カ月で2局合計30kg程度ではないかと予想していました。しかし、結果的に、最初の1カ月だけで、計60kgを超える不要品を回収することができ驚きました。こちらが考えていた以上に多くの方が着なくなった衣類などを気軽に回収してくれる場所を求めていたとわかり、このサービスを開始して本当によかったなとうれしく思いました。

回収した品物のなかにはバッグも入っており、リユースが期待されているようである

――今後の展望を教えてください。

築地:全国のお客さまのニーズに応えるべく、できるだけPASSTOの設置局を増やしていきたいですね。ただ、拙速に拡大するのではなく、まずは今回設置した渋谷局と流山局でのお客さまの利用状況をきちんと検証し、郵便局でのオペレーション改善などの検討も進めながら、手の届く範囲からじっくりと少しずつ拡大していきたいと思っています。

また、サービスを開始したばかりのため、不要品として回収される品物が、季節によってどのような変化がつくのかまだ結果が出ていません。4月にはコート類などの冬物のアウターを多く回収した印象でしたが、12月の大掃除後などに、どのような品物がどのくらい増えるのかなど、今後も検証が必要ですね。

衣服は誰もが身につけるものなので、衣類品のリサイクル・リユースは社会が抱えている問題だと思っています。性別や世代を問わず、今後もたくさんの方に気軽に利用していただきたいです。

石井:捨てるのはしのびないが、かといってそのために行動をおこすのは面倒くさい、送るというのは少しハードルが高いかも......、そのようなちょっとした日常の困りごとを解消できるサービスがPASSTOです。これからも今回の新サービスのように、お客さまが潜在的に求めていることは何かを丁寧に掘り起こし、お客さまの生活のなかで身近な存在である郵便局のさらなる魅力UPにチャレンジしていきたいと思います。

※撮影時のみマスクを外しています。

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