年賀状の文化を新しいかたちで! スマホに届く「スマートねんが」に込めた遊び心

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遠く離れている人にも「明けましておめでとうございます」という気持ちを届けてくれる年賀状。挨拶のかたちは時代とともに多様化し、近年はSNSやメールなどデジタルツールを使って交わす人も増えています。
そういった時代背景のなか、新しい年賀状サービスとして、スマホのメッセージアプリLINEでつくって、LINEに届く「スマートねんが」が誕生しました。
この企画の責任者である日本郵便株式会社 切手・葉書室 担当部長 西村 哲(にしむら てつ)さんに、サービスに込めた想いや開発秘話などを伺いました。

西村 哲(にしむら てつ)さん

日本郵便株式会社 郵便・物流事業企画部 切手・葉書室 担当部長

西村 哲(にしむら てつ)さん

製薬会社のMR職を経て、旧郵政省入省。民営化した2007年に年賀戦略室へ配属され、初めて年賀状に関する商品開発やプロモーション企画の業務を行う。その後もさまざまな部署へ異動し、デジタルビジネス戦略部を経て、2019年に現在の切手・葉書室の担当部長となる。

LINEで送れる手軽さと、紙のあたたかさのコラボレーション!

――「スマートねんが」が2021年の12月8日にリリースされました。まずは、このサービスをスタートさせた背景や目的について教えてください。

西村:新年のご挨拶について、特に若い世代ではメールやLINEで行うという人が増えています。LINEさんの調査でも、新年のご挨拶については30代まではSNSを中心に利用し、40代以降は紙の年賀状を使っている人が多いということが明らかになったそうです。

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そこで、LINEで送れる手軽さと、紙の年賀状のあたたかさという、それぞれのよさをコラボレーションさせられないかと考えて、生まれたのが「スマートねんが」です。

通常のLINEのトーク画面だと、動画や写真、メッセージ、さらにスタンプを個別に送る必要がありますが、それらすべてをまとめて送れる、カスタマイズされたスタンプをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

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LINEスタンプは誰に送っても同じ絵柄ですが、「スマートねんが」は相手に合わせてメッセージや画像などをカスタマイズできるのが大きな特徴です。また、動画や音声※も送ることができるのは、デジタルならではの面白さだと思います。

紙の年賀状は、はがきサイズが一般的なので、決まった紙面の中でデザインやメッセージといった要素をどう配置するかでオリジナリティを出していました。今後は、紙の年賀状では実現しにくい、ハートや星といった形状も可能になってきます。スマホ画面に表示できれば、どんな形でも、どれだけのメッセージ量でも理論上は可能ですよね。

また、LINEではつながっているけど、相手の本名や住所は知らないという相手に対しても、「スマートねんが」を利用して、紙の年賀状を送ることも可能です。LINE上で、年賀状の制作から紙の年賀状発送まで完結できるので、便利に使っていただけると思います。

※ Android端末では、ボイス機能はご利用いただけません。動画に含まれる音声は再生できます。

新年のご挨拶文化を、時代に合わせたかたちで残していくために

――企画を立て始めたのは、いつ頃からですか?

西村:動き始めたのは、リリースするおよそ1年半前、2020年の半ば頃ですね。「スマートねんが」は、電通さんと弊社との協業で運営しています。売り上げもレベニューシェア(成功報酬型の契約形態)となっていて、互いに責任を持って進めていくかたちです。

切手・葉書室の検討メンバーは自分も含め4名。通常、葉書担当ラインと切手担当ラインは、それぞれ分かれて業務を行っているのですが、今回は横断的に両方から人選してチームを組みました。

――自社単独サービスではなく協業にしたのは、なぜでしょうか?

西村:社内だけですべてを行うとなると、スピードという点でなかなか難しいのが現状です。また私たち自身でも、世の中のトレンドをキャッチするように努めてはいますが、やはり限界があります。自社だけでなく、トレンドやスピードに秀でた会社さんと組むことで、スピード感をもって取り組むことができました。

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――日本郵便と言えば、やはり紙の年賀状に重きを置いている印象があります。今回デジタルを利用しようと思った理由について教えてください。

西村:日本では平安時代から年始の挨拶として文を送る習慣があったと言われていて、年賀状は日本ならではとも言える文化です。日本の年賀状のご利用者は、7割が個人、3割が企業というリサーチ結果が出ており、その割合を見ても人々の暮らしに根付いた文化だと言えます。

しかし、近年若い人たちの間では、お正月が休暇ではなく、例えばアルバイトの稼ぎ時となっているなど、「明けましておめでとうございます」という文化が徐々に薄れつつあると言われています。このままでは、年賀状だけではなく、年始のご挨拶の文化が廃れてしまう可能性もあるのです。

そこで、紙の年賀状を積極的に活用していただきたいところではありますが、まずはその前段階である「年始のご挨拶」という文化を時代に合わせたかたちで残していきたい、そしてゆくゆくは、紙の年賀状のよさにも気づいてもらいたいという想いが背景にあります。

――まずは年始のご挨拶という習慣を身近に感じていただこう、というものなのですね。

西村:はい。紙の年賀状に対して「他人ごと」と感じている方たちに使っていただくことが、このサービスの大きな役目のひとつです。年始のご挨拶という習慣が「他人ごと」から「自分ごと」になれば、いずれ紙の年賀状を出したいという人も出てくるでしょう。

あわせて、過去に紙の年賀状を利用していた人にも、このサービスがあることで「年賀状」という文化との縁を切らずにいることができると考えています。

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いよいよ完成目前! 意気揚々と向かった社内の役員説明で、まさかのダメだし!?

――サービスを企画するなかで、こだわったポイントはありますか?

西村:どんな人でも直感的に使えるよう、インターフェイスはシンプルになるようにしました。大きめの文字で、年配の方でも使いやすいのではないかと思います。

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また年賀はがきは1枚いくらで販売されるものですが、「スマートねんが」はLINEのスタンプのように、パックでの販売を行っています。今までにない価格設定なので、年賀状を出したことがない人にも気軽に使っていただけると思います。

デジタルで作ったり、受け取ったりした「スマートねんが」は、年度ごとに整理して保存できます。場所もとらないので、気軽にご挨拶の気持ちをやりとりして、残していけるようになっている点も、デジタルサービスらしいポイントです。

――紙の年賀状のように、お年玉くじもついているのですね。

西村:やはり年賀状と言えば、お年玉くじですよね。なるべく紙の年賀状に近い感覚にしたいという想いから、「スマートねんが」もくじ付きにしました。デジタルならではのポイントとしては、くじを引いたタイミングで、くじの結果がわかるインスタントくじになっている点です。ちなみに切手シートなどではなく、LINEポイントが当たるようになっています。こういう機能があれば拡散といったプロモーション効果も期待できますよね。

――開発を進めるなかでこれは苦労したというエピソードはありますか?

西村:一つ壁を越えても、また次の壁がすぐ出てくる状態でしたね(笑)。ほかにも業務があるため、リリースもギリギリとなりましたし、社内の説得にも苦労しました。

最初は「スマートねんが」ではなく別の名前でした。電通さんとも何度も協議して、「これでいける!」と、春頃に意気揚々と社内関係者への説明の場へ向かいましたが、ネーミングを変更するようにとの指摘を受けて最終的に「スマートねんが」となったのです。

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また、説明の場では、デジタルらしい動きのある年賀状が送れることをわかってもらおうと、焼き餅のテンプレートを使ってプレゼンを行いました。餅がふくらんでいくと写真が現れるという仕掛けになっているので、役員の顔写真を貼り、私たちは楽しみながらプレゼンしたのですが......顔写真を貼った役員の方からは、苦笑いをされて終わってしまいました(笑)。

――どんな時も、遊び心を忘れずに取り組まれていたのですね。デザインについて、こだわったポイントはありますか?

西村:どんなデザインが受けるかは、これまでの経験から理解していました。今回のサービスでは、紙の年賀状が持つあたたかさを限りなく伝えたいと考えていたので、年賀状として定番となるお正月の風物詩や干支の絵柄をベースに、楽しい動きなどをプラスしています。

初詣に行った先で、年賀状を送るといった新しい挨拶のスタイルも!

――年賀状を知り尽くした西村さんやチームの皆さんだからこその、こだわりを感じることができました。「スマートねんが」を通して、今後の年賀状文化への想いをお聞かせください。

西村:最終的な目標は、やはり紙の年賀状のあたたかみや文化を引き継いでいただくことですが、それ以前に「年始のご挨拶」をしない層に、「明けましておめでとうございます」というやりとりをしてもらうことが大切です。

年賀状の差出枚数を1枚→2枚にするよりも、0枚→1枚へと動かすことの方が難しい。だからこそ「スマートねんが」を通して、これまで年賀状を送り合う習慣がなかった人が、気軽に年始のご挨拶をするようになってほしいと考えています。

「スマートねんが」なら、すぐに送ることができるので、例えば、初詣に行った先で写真を撮って、その写真を使ってリアルタイムで年始のご挨拶をすることも可能です。
会社員の方の場合だと、年賀状を受け取ったのが出社日直前で、相手からいただいた年賀状のお返事を送るよりも先に、職場で顔を合わせてしまうというような場合もありますよね。「スマートねんが」なら、すぐに年始のご挨拶を返すことができ、気まずいまま初出社を迎えなくてもすみます。

――すぐに相手に送れるからこそ、新しい年賀状のスタイルができそうですね。今後の「スマートねんが」の展望があれば教えてください。

西村:まだリリースしたばかりなので反響次第ですが、次に改善するなら、年賀状だけでなく、通年でさまざまなイベントに使えるサービスにしたり、クーポン付きやキャラクターとのコラボレーションをしたり......アイディアはいろいろ出ていて、やってみたいことだらけです。

――最後に、一番お気に入りの絵柄があれば教えてください。

西村:もちろん、役員への説明時に使った焼き餅のテンプレートです。ぜひ使ってみてください。

※撮影時のみマスクを外しています

スマートねんが
            

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